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体感中国語79―品詞はどのように決定するのか

ハートで感じる英語塾の大西泰斗先生が「red」という単語を示して、「品詞はなんですか」と質問します。みんな形容詞だと答えました。ところで、先生の答えは、「正解はわからない」でした。

1 Red is the color of passion.
2 I live red.
3 The skirt is red.
4 I like the red skirt.
5 The logs were burning red.

                              (1っと2は名詞、3と4は形容詞、5は副詞なのだそうです。)



上記の例文を挙げ、「英語では品詞というのはおおよその目安に過ぎない。実際に文の中の位置を見なくてはわからない」と説明しました。また、「英語は配置の言葉だ。<並べると説明>、<前から限定>が原則。英語は名詞だ、形容詞だなどと目くじら立てて覚えることはない。英語は配置の言葉だから、どこに並べるかによって意味が決まる。それを覚えることがとても大切なのだ」ともおっしゃいました。

中国語も配置の言葉だと思うので、英語と同じだと考えていいでしょうか。それともどこか違うところもあるのでしょうか。


私は形容詞の例はないものかと考えたのですが、思いつかず、前に品詞の決定で悩んだことのある「」という漢字をまずは思い出しました。この文字はもともと動詞だの思うのですが、介詞(前置詞)のときもあります。副詞のときもあります。

1 我今天家。 (私は今日は家います。)

2 我今天家看书。 (私は今日は家読書です。)

3 我看书。 (私は本を読んでいます。)

4 我现在住上海。  (私は上海に住んでいます。)



さて、上記の「」の品詞はなんなのでしょうか。


1は動詞です。他に述語になりそうな語は見当たりません。

2は「看」がこの文の述語動詞でしょう。ここの「」は「家で」という「で」に該当する介詞でしょう。

3は「看」と「喝」という動作を表す語が2つあります。いわゆる連動文でしょうか。ここは「+看(動詞)」となって、「」が「看」という動詞を<前から限定>していると理解すべきでしょう。「つづいている状態で見る」、つまり「見ている」という意味になります。このように前から動詞を限定しているので、ここは副詞です。

4の「」は「+上海」ととらえて「上海に」の「~に」に該当する介詞だとする考えもありそうですが、動詞「住」だけではこの文で言いたい「住んでいる」という意味に解するのに無理があります。また、介詞構文が述語の後に来ることもないのではないでしょうか。だからここは「住+」と複合動詞ととらえ、「住む」という状態に「存在している」という状態をドッキングさせて「住んでいる」という意味になるとすべきでしょう。つまりここは「住」という本動詞のもつ意味に「存在している」という意味の「」を補足した形式で、補語的はたらきの「」だと見るべきでしょう。


さて、ここで疑問がわいてきてしまいました。

3と4、いずれも「~している」と訳せそうなのですが、3を「看在」とし、4を「在住」としたらいけないのでしょうか。
by damao36 | 2008-09-15 10:12 | 中国語 | Comments(0)

体感中国語78―漢字熟語の基本構造

漢字は表音文字ではなく表意文字だといわれていますが、その9割は形声文字だそうです。その形声というのは、形が意味で声が発音ということですから、この文字はふつう偏が意味を表し、旁が音声を表しています。したがって、漢字というのは表意と表音をあわせもつ表語文字という人も最近はみられます。どちらがいいのでしょうか。

表意文字、あるいは表語文字である漢字はもともと一つの事柄に一つの文字をあて、その結果、4,500年の漢字の歴史の中で8万もの文字が生まれてしまいました。しかし、そんなに漢字ばかりだと煩わしいからでしょうか、漢字と漢字の組み合わせによる熟語が生まれてきました。そして今も新しい事柄にふさわしい熟語が生み出されているのです。でも、その熟語の多くは日本語の漢語では常用漢字約2,000字、中国でも中国の常用字2,500字と次常用字1,000字内での組み合わせでしょう。

こうした漢字熟語、中国では私のカンですが、9割以上が2字の漢字による組み合わせです。中国語の音節数は日本語の音節数104の10倍以上の約1,300ほどだと前に書きましたが(参照 体感27)、この約1,300音節による2字の組み合わせは100万組にも上るのだそうで、ですから中国語の熟語は日本語の漢字熟語と比べると、同音異義語は意外と少ないのです。

それでは今日は漢字熟語の組み合わせがどうなっているかを整理してみることにしました。


もうふた昔も三つ昔も前になりますが、中国語学者の藤堂明保さんが、主として古典語の漢文についてでしたが、漢字熟語の成り立ちを5つに分類していました。今、その分類を参考に現代中国語の語彙の構造を整理してみることにしましょう。

1 主述型 (SV型)
  dìzhèn  tóuténg  guóyīng  rénzào   tiānshēng   tǐhuì
  地震     头疼     国营     人造    天生    体会  (名詞・動詞)

  yǎnrè
  眼热  (名詞・形容詞)



2 修飾被修飾型 (α・N/V型)
  zhūròu  diànnǎo  guógē
  猪肉     电脑    国歌   (名詞・名詞)

  hōngqí   lǎorén
  红旗    老人  (形容詞・名詞)

  xuéxiào
  学校   (動詞・名詞)

  jīdòng  míngǎn
  激动   敏感   (動詞・動詞))



3 並列型 (NN、AA,VV型)
 Rénmín  dǔdì  shāngxià   mǎodùn
 人民   土地   上下   矛盾   (名詞・名詞)

 guǎngdà   hēibǎi  dàxiǎo   qíguài
  广大   黑白   大小   奇怪    (形容詞・形容詞)

 shēnghuó   jiàoyù   xuéxí   mǎimài
  生活   教育   学习    买卖   (動詞・動詞)



4 補足型(①動補型 ②動賓型) (VC、VO型)
   tuīchí  kuòdà   tígāo   shuōmóng  dǎdǎo   wánchéng
 ① 推迟    扩大   提高    说明   打倒    完成   (動詞・動詞)

    zhùyì   jiéhūn   sànbù   huíjiā   xiàchē
 ②-1  注意   结婚   散步   回家   下车    (動詞・名詞)
  
   Yǒulì  xiàyǔ   lìchūn
 ②-2 有力   下雨   立春    (動詞・名詞)




5 認定関係型(副詞限定型)(αN、αV型)
  fēifǎ
  非法   (副詞・名詞) 
 
  Bùtǒng   kěnéng   wèizhī   wèilái  jiānglái   dāngrán
   不同   可能    未知   未来    将来    当然  (副詞・動詞)
  


漢字熟語の構造は中国語文法の構造でもあります。例えば1の「头疼」は1語とも取れますが、1文とも取れます。そのせいでしょうか、1は意外と多くはありません。また、5は認定・判断にかかわる副詞の修飾関係なので、数に限りがあります。ほとんどは2、3,4でしょう。

4が2つにわかれているのは、中国語は「述語+補語」、「述語+賓語」という文型があるからです。②がさらに2つになっていますが、1の方はいわゆる離合詞です。2の方は名詞を引っ張っている動詞が存在の「有」であるとか、人為的なコントロールのきかない自然現象に関わる動詞表現です。この構文の語または文は日本語になおすと「力がある」、「雨が降る」などと後ろの名詞が主語になるいわゆる存現文でしょう。

以上の5つの語構造は書きことばである古典語からの分析でしたので、口語である現代中国語としては接尾語をもつ語構造と音訳を取り入れた外来語を加える必要がありそうです。長くなりましたので、外来語は項を改めて考えることとし、以下に接尾語型を挙げておきます。

6 接尾語型 (N子、N儿、N头)
  Bùtǒng kěnéng wèizhī wèilái jiānglái dāngrán
    桌子   筷子   鼻子   裤子   裙子    蚊子    屋子    院子

  Bùtǒng kěnéng wèizhī wèilái jiānglái dāngrán
  花儿 活儿 老头儿 小孩儿

  Bùtǒng kěnéng wèizhī wèilái jiānglái dāngrán
  木头   石头    枕头   罐头


≪参考≫
人民中国「漢字が表す二つの世界」(中国社会科学院文学院 李兆忠)
http://www.peoplechina.com.cn/maindoc/html/200303/fangtan.htm
by damao36 | 2008-09-14 09:30 | 中国語 | Comments(0)

体感中国語77―「状語」ってなにか

体感中国語20「日英中の基本的語順はこうだ」でも書きましたが、日英中の語順は日本語が「「だれが/なにが、いつ・どこで・何を・どのように、どうする」だとしたら、英語は「だれが/なにが、どうする、何を、どのように・どこで・いつ」、中国語は「だれが/なにが、いつ・どこで、どのように、どうする、(こんなふうに)何を」というふうになると私は考えています。
     ≪追記≫中国語の語順に「こんなふうに」を追加しました。これは補語の部分です。


「彼は今日センターで中国語を勉強する。」という具体例を入れて、図式化して示すと以下のようになります。

日本語  だれが/何が + いつ・どこで・何を + ~する   
        (主            語)   +   (連     用    修     飾      語)   +   (述        語)    
      「彼は  今日  センターで  中国語を   勉強する。」

       
英 語  だれが/何が + ~する + 何を +どこで・いつ 
        (主          語)   +    (動      詞)    +  (目 的 語)  +   (副   詞   句/節) 
     「 He  / studies /Chinese/at the Center・ today. 」 


中国語  だれが/何が + いつ・どこで + ~する + 何を    
        (主           語)   +   (状             語)  +   (述    語)   +   (賓   語)
       Tā      jīntiān    zài Zhōngxīn      xué     Zhōngwén.
     「 他 / 今天 在 中心 / /中文。」


具体例の日本語の「いつ・どこで・何を」の部分は学校文法ではいずれも連用修飾語(節)と呼ばれる部分ですが、英語だと「~を」に当たる部分が目的語で他が副詞句・節です。この副詞句・節の部分は今後αと呼ぶことにします。中国語は英語と同じく「~を」に当たる部分が目的語(中国語では賓語)、その他の部分が状語となります。この状語も今後はαと略称することにします。ついでに日本語の連用修飾語の一部もαとしましょう。この部分、中国語は日本語に近く、英語とは違って日本語のように述語の前に置きます。


そこで、もう一度、略称を使って、日英中の構文を整理することにします。

日本語  S + α /O+
         
英 語  S + + O/C + α
      
中国語  S + α+ O
    Cは英語の補語。中国語の補語は述部チャンクとして述部に入れることにしました。

さて、中国語の状語とは状況語とでもいうべきもので、述語(動詞・形容詞)の前にあってその動詞や形容詞の時間や場所、状態や程度、などを表す修飾的な成分のことです。英語でいえばその他の要素、副詞性修飾語でしょう。


中国語は英語同様配置の言語だとよくいわれていますが、どうして副詞性修飾語の部分を中国人は日本語のように述語よりも先に口にしてしまうのか、そこがいまいちわからないでいるところです。

ただ中国語の状語の各要素の並び方は、日本語は融通が利くようですが、中国語は先に時間や場所、状態や程度と書いたように、なぜか必ず時間が先で、その次に場所がくるようです。

時間や空間、英語はつけたしに過ぎませんが、日本語も時間や空間は先に言いますので、東アジア人は常に自分の置かれている時間や空間に格別関心を寄せる傾向があるからに違いない、そんなふうに考えたのですが、考えすぎでしょうか。
by damao36 | 2008-09-13 17:33 | 中国語 | Comments(0)

体感中国語76―中国語の動詞チャンク(chunk)はこうだ

日本語の助動詞を調べようと思って、外国語としての日本語を教えている人のための文法書『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』(フリーエーネットワーク)を見てみたら、品詞には助動詞という項はありませんでした。

どうしてそうなるのかというと、《助動詞》などを含むフレーズは動詞の活用形として扱っているからなのです。

ですから、学校文法では動詞の活用を「未然形」、「連用形」、「終止形」、「連体形」、「仮定形」、「命令形」と6種類にわけて教えますが、日本語文法の立場では「否定形」、「意向形」、「受身形」、「使役形」、「マス形」、「テ形」、「タ形」、「タリ・タラ形」、「辞書形」、「バ形」、「可能形」、「命令形」(p.351)と、学校文法の倍の12種類にわけて説明すことになります。

もうすこし具体的に補足すると、「否定形」というのは《未然形+助動詞ナイ》、「意向形」というのは《未然形+助動詞ウ/ヨウ》、「受身形」というのは《未然形+助動詞レル/ラレル》、「使役形」というのは《未然形+助動詞ウセル/サセル》、「マス形」というのは《連用形+助動詞マス》、「テ形」というのは《連用形+接続助詞テ》、「タ形」というのは《連用形+助動詞タ》、「タリ・タラ形」というのは《連用形+助動詞タリとタラ》、「辞書形」というのは《終止形・連体形(動詞の場合)》、「バ形」というのは《仮定形+接続助詞バ》、「可能形」というのは《可能動詞・未然形+助動詞ラレル》、「命令形」というのは《命令形》といったふうになり、助動詞の多くは動詞の活用の中に吸収されています。その方が外国語教育としての日本語教育に有効なのでしょうか。


ところで、英語の表現文法の用語にはチャンク(chunk)という語があり、「助動詞+middle副詞+動詞」を一塊の《動詞チャンク》とするという考え方がありました。(田中茂範著『文法がわかれば英語は分かる!』NHK出版)
      注:英語の副詞(節)は文のどこに配置されるかで、initial副詞、middle副詞、final副詞と3分類できるそうで
        す。日 本語はそんな区別は必要なさそうですが、中国語はどうなのでしょうか。



さて、中国語は動詞を中心とした日本語の動詞フレーズ、英語の動詞チャンクみたいなものはどうなるのでしょうか。

私は以下のように考えたのですが、正しいでしょうか。

副詞+助動詞動詞動態助詞+補語+語気助詞
by damao36 | 2008-09-12 11:54 | 中国語 | Comments(0)

体感中国語75―中国語の「量詞歌」と音読教育

去年のNHKテレビの「中国語会話」講座には文法体操なるものが取り入れられていました。今年の講座も中国人出演者の李浩とローラー・チエンが走りながら単語を繰り返すコーナーがあります。

中国の初等教育のことばの学習は、身体を通して覚える方法が日本よりも重視されている、だからではないかと推測するのですが、どんなものでしょうか。


というのは、わたしは中国の小学校の1年生の授業を見学したことがあるのですが、1年生が文字を覚えるのに右手を上げて、書き順に従いながら、みんなで声をそろえて「」、「」、「」、「」、「」、「」、「横折」、「横撇」、「竖钩」と大声を出しながら、文字の形をなぞることを繰り返していました。ピンインの学習なんかも、みんなで声を上げて斉唱していました。中国では列車の中などで、母親が子どもといっしょに声を出して絵本を読んでいる風景もよく見かけました。

ところで、中国の小学校1年の教科書には以下のような「量詞歌」というのがあって、みんなで声を合わせて量詞(助数詞とも)の大切さを学習するのだそうです。その視聴覚教材も販売されているので、教育熱心な家庭では就学前に言葉遊びとして復唱させる、そんなこともあるのでしょう。

牛,兩馬, 三鯉魚,四鴨, 五書,六筆, 七果樹,八花, 九飛機,十車。
量詞千萬別説差。

(一頭の牛、二匹の馬、三尾の鯉、四羽のアヒル、五冊の本、六本の鉛筆、七本の果物の木、八輪の花、九機の飛行機、十台の車。 量詞は絶対間違いません。)


また、ネットにはこんな量詞の問題がありました。「紅紅が明明から手紙をもらいました。それを読んだ紅紅は思わず噴き出しました。どうしてですか」というのが問いなのですが、いったいどうなおしたらいいのでしょうか。

親愛的紅紅:
你好!我是你的好朋友明明,星期六,媽媽帶我到城去了,給我買了一衣服,一褲子,還有一鞋子。媽媽還買了很多好吃的呢,有一雞腿,二魚,三黄瓜,四蘋果,五梨,請你到我家來一起吃,好嗎?

                            你的朋友:明明



また「数字歌」というのを取り入れている幼稚園もあるのだそうです。

一二三,爬上山,四五六翻跟頭。  七八九,拍皮球,伸出兩只手,個手指頭。


日本でも読み聞かせや音読教育の大切さが言われているようですが、学校で大きな声を上げる教育、どのくらい盛んなのでしょうか。日本語の助数詞も結構むずかしいところもありますが、でもわざわざ学校や家庭で教えるほどのことではない、そんな感じがします。中国語の量詞に日本語よりも重い任務がなにかあるのかなあと考えたりしています。


また、日本でも読み聞かせや音読教育の大切さが言われているようですが、学校で大きな声を上げる教育、どのくらい盛んなのでしょうか。


≪追記≫
「量詞歌」とか「数字歌」とかいっていますが、英語の「ABC」の歌のように特別のメロディーがあるわけではないように思います。中国語は四声というのがあるので、定型フレーズを声を出して読むと、自然にある種のメロディーが出てくる、それで「歌」といっているのではないでしょうか。
by damao36 | 2008-09-11 18:29 | 中国語 | Comments(0)

体感中国語74―助動詞とはなんだろうか

英語の助動詞は大きく「態度表明型の助動詞」、「機能付加型の助動詞」、「分詞補完型の助動詞」と3つに分類される、とのことです。 (『文法がわかれば英語はわかる!』田中茂範著・NHK出版)

「態度表明型の助動詞」というのは話し手の判断など心的態度を表現するときに用いる助動詞、「機能付加型の助動詞」というのは疑問文や否定文をつくるときに用いる助動詞、「分詞補完型の助動詞」というのは現在完了形、過去完了形、現在進行形、過去進行形、受動態構文を作るときに用いる助動詞ということになります。

態度表明型の助動詞はcan(could), must, may(might), will(would), shall(should) など、機能付加型の助動詞はdo、分詞補完型の助動詞はhavebeといった語になります。


ところで、日本語と中国語の助動詞はどうなのでしょうか。

日本語も中国語も疑問文や否定文にするときに助動詞を必要としません。また、テンスを表す分詞構文というのもありません。ですから、日本語と中国語の助動詞は「機能付加型」と「分詞補完型」はありえないと見当をつけることができます。

だとしたら、日本語と中国語の助動詞はすべて「態度表明型」(大西泰斗先生の呼称なら「こころを描く助動詞」)になると考えてもいいのでしょうか。


日本語の助動詞11種類約25語の意味を三省堂『新明解国語辞典』の付録から抜き出してみます。

受身・尊敬・自発・可能(れる・られる)/使役(せる・させる・しめる)/丁寧(ます)/時(た・う・よう)/推量(らしい・べし・まい・ようだ・みたいだ)/打消(ぬ・ない)/希望(たい・たがる)/指定・断定(た・です)/伝聞(そうだ)/様態(そうだ)/比喩・例示(ようだ・みたいだ)

『広辞苑』で助動詞の項を引いてみたら、「主として話し手の判断を表現する」と説明されていましたが、この「話し手の判断」をもう少し敷衍して、私は「話し手の判断や気持ちを表現する」と定義することにしました。

また、日本語助動詞の意味をつらつら眺めてみて、英語では本動詞で表現するのもあるので、「態度表明型」とはいっても、日本語の「態度」は英語よりも幅が広い、むしろ「事態判断型」とでも言った方がいいのではないだろうか、と思いました。


さて、中国語です。

中国語の助動詞は英語と同じく本動詞の前にきます。したがって、本動詞が表す動作・作用・状態・存在などの持続や変化に枠をはめる、そういうはたらきをする語ということになります。

いま身近に見る中国語の助動詞を並べてみました。わずかに12ほどでした。

当、得、该、敢、会、可以、肯、能、想、要、应当、应该

これを「~できる」、「~してもよい」、「~かもしれない」という能力・許可・確実性グループ()と「~すべきだ」、「~するべきだ」、「~するはずだ」という当然・必然グループ)、「~したい」、「~するつもりである」という願望・意欲グループ)とに分けられるのではないでしょうか。

 
   huì    can      be able to      be skilful
可以 kěyǐ    can      may
néng    can      be able to

 
dāng    should       ought to
děi    must      have to
  gāi    should      ought to

 
xiǎng    want to
yào    want to      will
gǎn    dare to
kěn    agree      consent       be willing to

他に「应当」、「应该」がありますが、これは「」、「」の強調形と考えたらいいでしょう。「愿意」、「值得」、「可能」なども助動詞に入れる場合もありますが、賓語が略されて直接本動詞につながって補助的はたらきをしているから、配置の関係で助動詞としているのでしょう。「」、「」が英語の助動詞にはありませんが、他は英語の態度表明型助動詞と対応しているといえるようです。


最後になりましたが、中国語の助動詞を別名なんというかご存知ですね。そうです。「能願動詞」です。からそう名づけられたのでしょう。

中国語の助動詞も英語の助動詞も私は日本語の助動詞と同じくりっぱな品詞の仲間だと思っていたのですが、正式には助動詞という品詞名はなく、動詞の一部だそうです。どうしてなのでしょうか。
by damao36 | 2008-09-10 18:48 | 中国語文法 | Comments(0)

体感中国語73―限定と説明、そして補足

「ハートで感じる英語塾」の大西泰斗先生は「英語は配置の言語だ」、「前から限定、説明したければ後ろに並べる」ということを、繰り返しおっしゃいます。

中国語だって英語に負けないくらい配置の言語でしょうから、大西先生に倣って、中国語の配置の公式を考えてみることにしました。

そこで私なりの結論、まだ検証が不十分ですから仮想というべきすが、以下のような公式を思いつきました。

中国語は限定も説明も前から。補足は後ろに並べる。」

それではこの中の語句を説明することで、この公式を説明をすることにします。

限定」というのは後ろに来る述語にアミをかぶせること、枠をはめることです。助動詞がそうですし、副詞がそうです。

説明」というのは述語の動詞や形容詞がどういう状況や条件のもとで展開されるのか、存在しているのか、その状況や条件を説明することです。中国語の場合はこういう文法成分を「状語」といいます。日本語は連用修飾語ですが、英語はその他の要素でしょうか。英語の前置詞構文は文法的なはたらきがいろいろあるようですが、中国語の介詞構文はほとんどがこの状語のはたらきをしているのではないのか、そんな感じがしております。

以上が「中国語は限定も説明も前から」です。


次の「(中国語の)補足は後ろに並べる」ですが、この中の「補足」という語の意味は、述語のいい足りないところを後から補充する表現ということです。中国語の場合は文法成分用語でいうところの賓語(目的語)と補語が、述語の後に付いて、その役割を果たしています。

おわかりのように賓語(目的語)というのは、動詞の動作が目指すところ、到達するところを示す語句です。中国語の補語というのは、英語の補語とはかなり違って、述語となる動詞(形容詞もありますが)の動作(形容詞の場合は状態)が行われた結果だとか、回数だとか、程度だとか、状態だとか、方向だとか、可能性だとかを補足する表現のことです。この賓語と補語が必ず述語の後に付いて、述語のいいたりなかったところを補足するのです。


さて、この仮定の公式、正しいのかどうか、折を見てすこしずつ検証していくことにします。


≪追記≫
ところで、肝心の日本語の配置はどうなっているのでしょうか。

日本語は限定も説明も補足も述語の前から。ただし、話し手の判断や気持ちの表現は述語の後に付属語を加える。」

これでよろしいでしょうか。
by damao36 | 2008-09-09 11:22 | 中国語 | Comments(0)

体感中国語72―「どうぞ」、「どうも」、「どういたしまして」

「どうぞ(~してください)」という意味の中国語「」(pleaseの“チィ~ン”)について、前回書きましたが、この「」という漢字、もともとはどんな意味があるのかと思って、藤堂明保さんの『漢字語源辞典』を引いてみたら、「青眼(くろめ)をもって(まともに、まじめに)相手を見る」が原義で、中国語の“チィ~ン”という音は「すみきっている」というのが基本義であるとのことでした。

「青眼」と書いて「くろめ」と読ませるのもおもしろいのですが、その「青眼」を『広辞苑』で引いてみたら、「自分の好む人をよろこび迎える心があらわれた目つき」と説明されていました。その反対語は「周囲から白眼視される」の「白眼」だそうです。

中学校で「どうぞ」というのは「please」というのだと習い、高校で「I"m really pleased with your work.」(我对你的学习感到很满意)という例文が出てきて、この単語は本来は「うれしい」とか「たのしい」とか「気に入っている」とかいう動詞なのだということもわかったのですが、どうして「うれしい」という動詞が「どうぞ」という間投詞、あるいは感嘆詞になったのかという思いはずっとつづいていました。でも、今回、中国語の例と思い合わせてみて、人間の考えること、感じることは洋の東西を問わず共通していると改めて気づき、納得しました。

英語や中国語の「どうぞ」にはきっと「あなたがなさる動作を私は歓迎していますよ」というメッセージが込められているに違いありません。

それにしても、日本語の「どうぞ」は「なにとぞ」、「どうか」、「よろしい」、「どうにか」という表現と言いかえができることはわかりますが、その原義、基本義は私にはやっぱり理解できていないのです。



ところで、「どうぞ」に似た日本語に「どうも」という言葉があります。

「感謝・祝福・謝罪・悔みなどの意で、口頭の挨拶に広く用いる語」と『広辞苑』には書いてありました。

誠にそのとおりで、この言葉は意味が漠然としているので、通訳者泣かせの言葉ベスト1だそうです。中国人がこの言葉の発音に似せて「多魔」と漢字表記をしているのを見て、うまい当て字だと感心したことがありましたが、この言葉も私にはその原義、基本義がすっきりしない日本語です。



また、こんなことがありました。

先日いろいろとお世話になった外人さんに、「Thank you for everything.」といってお礼を言ったら、「You’re welcome.」と答えられました。私はなんでこんなときに「welcome」といわれるのか、訳がわからなかったのでしたが、後で聞くと、中国人がこのようなときによく使う「不用客气」と同じ意味だと知り、なるほどと思いました。

日本語なら「どういたしまして」なのでしょうが、日本人を○十年もやっている私なのに、これもまた原義、基本義がうまく説明できない日本語なのです。
by damao36 | 2008-09-08 13:33 | 中国語 | Comments(0)

体感中国語71―pleaseの”チィ~ン”、使役の”チィ~ン”

王老師の家に伺うと、マンション玄関のドアを開けて、老師は右手を外から内に大きく移動させながら、大きく響く声で、満面に笑みをたたえて「チィ~ン」とおっしゃいます。すこしもたもたしていると「チィン、チィン」とさらにおっしゃいます。

中に入ると、「チィン ヅゥオ」とソファを指さし、奥さんがお茶を持って来られると、「チィン ハァ ツァア」とお茶を勧めてくれます。

これを文字で書くと「请(进)」(Come in, please.)、「请坐」(Have your seat, please.)、「请喝茶」(Please, here’s your tea! )です。日本語では「どうぞお入りください」、「どうぞお座りください」、「お茶をどうぞ」の意味ですね。

この「请 qǐng」は「どうぞ(あなたは)~してください」の意味ですから、私は「pleaseの“チィ~ン”」と呼ぶことにしました。

それでは、「请喝茶」、これに主語などを補った「你请喝杯茶吧」を例にして、その構造を見ることにします。

请 / 你 / 喝 / 杯 茶 吧
(動詞)  (主語)   (動詞)   (賓      語)
             
文頭の「请~」。一応これを動詞と見ることにしましたが、ひょっとしたら別の品詞、たとえば「副詞」なのかもしれません。英語の「please」、本当は「うれしい」という動詞ですが、「どうぞ」の意味のときの品詞は間投詞ですね。

なお、この形は「请~」がなくても、基本的な意味に変化はありません。ただ敬意表現がなくなっただけです。



ところで、私はめったに言わないのですが、会社経営のA君はよく若い人たちをつかまえて、「今天我请客,咱们去喝一杯吧」といいます。そのせいでしょうか、A君は若い人たちにとても慕われています。この文の意味はご存知のように「今日はぼくがおごるからいっぱいやろう」ですね。

この中の「请客」、どの辞書にも一語として登録されていて、「ごちそうする」という意味です。さて、この熟語、おそらくは「我请你做客人吧」の省略形なのでしょう。そのように理解して、その構造とその訳の過程を以下のように分析してみました。

我 / 请 / 你 / 做 / 客。
(主語)  (動詞)  (賓               語)
             (主語)    (動詞 + 賓語)

(文型)  「S+使役動詞+O/S+動詞+賓語」
(語順訳) 「私は (お願いして)~させる あなたに(そのあなたが)なる お客さん」
(訳)   「私があなたをお客さんにさせます。」
      「私がご馳走します。」

この分析を見て、どのようなことがわかったでしょうか。

私はこの文型は目的語の「 你」が後の動詞の主語をも兼ねる兼語文だということがわかりました。また、最初の動詞「请」は「お願いして~させる(してもらう)」という使役動詞なのですから、これはりっぱな使役文だということに気づきました。そこで、このような「请」を「使役の”チィ~ン」と呼ぶことにしました。


「pleaseの“チィ~ン”」と「使役の”チィ~ン」、どうやって見分けられるのか、みなさんはおわかりになられたでしょうか。
by damao36 | 2008-09-06 15:14 | 中国語文法 | Comments(0)

体感中国語70―受身文いろいろ

日本語の動詞に「れる」、「られる」という受身の助動詞を付けると受身を表す動詞句をつくることができます。その句を述語として用いると日本語の受身表現ができます。英語は「be助動詞+過去分詞」で受動態をつくります。

中国語は前回見たように「“”など受身のマーカー+賓・主語+動詞+結果補語等」という構造が受身形のその典型例になります。しかし、受身のマーカー語「被、叫、让、给」を必要としない意味上の受身文というのも結構あって、構文形態だけで受身かどうかを判断できない厄介さがあります。

逆に言うと、日本語で受身表現だから中国語も当然受身だろうと「被、叫、让、给」のいずれかを機械的に使おうとすると、おかしな中国語になることが多いということです。

おかしな中国語の受身表現をしないためにはどうしたらいいのでしょうか。私はその心得を以下のようにまとめて、今後の実践の目安にすることにしました。


 中国語の受身のマーカーは「被、叫、让、给」の4語です。

使役を表す語はたくさんあったので、受身の語もたくさんあるのではと思ったのですが、受身のマーカー語は「叫、让、被、给」の4語だけでした。

」は書面語的なので、会話では「叫、让」を使うことが多いでしょう。「」は北方方言からひろまったものです。いずれも入れ替えて表現することは可能ですが、「」と「」はすぐ後の「行為するもの」を省いてもいいのに、「叫、让」は省けないという点が違います。また、「」は「服は子どもに汚されてしまった」という意味で「衣服被孩子给弄脏了」と「(让、被)」と呼応して、受身形を強める用法もあります。


 受身文のマーカー語のあとにつづく動詞は他動詞です。自動詞は能動文でいうしかありません。

 「怒る」という日本語の単語は自動詞ですが、日本語だと「彼に怒られた」ということができます。しかし、中国語の「怒る」である「生气」は自動詞ですから、中国語では日本語のように受身の構文にあてはめて「被他生气了」ということができません。そのようなことを言いたいときは、「被他批评了」と他動詞に代えていうか、「他生了我的气了」といわなければなりません。

それなら自動詞か他動詞かをすぐに見分ける方法はあるのでしょうか。私はまだ見つけていません。


 受身のマーカー語「被、叫、让、给」を使った受身表現は相手から不愉快な思いを受けたことについて言うのが基本です。

日本語の受身文の中の直接受身というのは別名迷惑受身とも呼ばれているとのことですが、中国語の場合は受身形の代表である「」という文字が持つ原義が色濃く影響を続けていると考えるべきなのでしょうか。この見方が正しいかどうか、受身の例文を探して確認してみてください。

ただし、ここ1世紀の西欧文明の影響で、主に書面語として「」をホメ言葉として平気で使うようになったとのことです。例えば「彼にほめられた」、「彼は国会議員に選ばれた」などは「被他夸奖了」、「他被选为国会议员了」と新聞などで書かれ、そのように話されています。しかし、一般の日常会話の中では、「」は特に被害意識を強調したいときの言い方で、多くはその意識が希薄な「」、「」が使われています。「」より、「」がさらにやわらかい感じでしょうか。


 中国語の受身文には受身のマーカーのない受身文が結構あります。意味上の受身無標識の受身かくれ受身などと呼ばれる受身文です。

受身のマーカー4語のあとにつづく動詞は自動詞ではなく、他動詞であることが条件だということは上述しましたが、他動詞の中でも以下にあげた語は、なぜかマーカー4語は必要としないで、受身文になるとのことで、これらの単語を使った文が意味上の受身文なのです。

その語とは「写完」、「做好」、「解决」、「召开」、「搬来」、「寄来」、「打扫干净」などだそうですが、
これらの単語がもつ共通点は一体なんなのでしょうか。


 受身のマーカー語「被、叫、让、给」は介詞(前置詞)ととる文法書が多いようです。でも私は今は動詞だと考えておきます。

岩波辞書では「被」は副詞となっています。なお、使役の代表的なマーカー語「叫、让、使、请」は動詞ととっているのが普通なのですが、『誤用から学ぶ中国語』ではその中の「叫、让」2語は介詞ととっています。

中国語の介詞はもともと動詞なのですから、動詞的影響は十分残っているのですから、どちらでもいいのかなあ、と思ったりしています。

なお、「」が副詞になる理由、私なりに考えると、こうなりました。

上述したように「」という語は「叫、让」とは違って、すぐ後の行為者(動作主)を省略することができます。例えば「我被他骗了」(私は彼からだまされた)は「我被骗了」ともいえます。この「被骗」の「」はすぐ後の動詞「」を限定しているはたらきです。動詞を限定する、それは副詞だという理屈です。

この理屈、おわかりでしょうか。

別の例で説明してみましょう。

例えば私たちがよく使う「被害」とか「被告」という漢字熟語があります。この「被害」という熟語は「害を被る」と読むことができます。その構造は「動詞+名詞」で、VO型ということです。

もう一つの「被告」の方はどうでしょうか。これは「告げられる」としか読めません。つまり、日本語は「動詞+助動詞(られる)」で、V型ですが、中国語は「副詞+動詞」の構造です。だから中国語の「」は副詞だというのです。

被骗」も「被告」と同じ構造です。だから副詞なのです。これで、この理屈おわかりでしょうか。
by damao36 | 2008-09-05 18:11 | 中国語文法 | Comments(0)