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2010年 12月 20日 ( 1 )

174 補語とは

 中国語の文法成分の一つ補語というのがありますが,英語で使われている補語とはそのはたらきが違っています。

 その違いについてはすでに触れていますが,再度説明します。

英語の補語の形式上の特徴は不完全自動詞であるbe動詞などの後にくる名詞または形容を指していいます。例えば以下の文です。
 A I am a Japanese. (我是日本人。  私は日本人だ。)
 B You can call me Xiao Wang.  (你叫我小王吧。 小王と呼んでくれ。)
 C You look happy.   (你好像很高兴。 あなたはうれしそうだ。)

 Aは主語の「I」を説明すると「a Japanese」ですから,「I=a Japanese」の関係になります。主語のことを補足説明しています。Bは「me= Xiao Wang」です。目的語の補足説明です。Cは形容詞「happy」が主語の状態を補足説明しています。

 このように英語の補語は主語や目的語がどういう性質・属性を有しているのか,主語または目的語がどのような状態にあるのか,そういうことを説明し補足する語句のことです。


 ところで、日本語文法でも補語という用語を使う人がいます。いわゆる学校文法では出てきませんが,最近の外国人向け日本語文法書を見ると,補語という用語を使っている書が多く見かけます。

 例えば『入門 日本語の文法』(村田水恵著 2007)では日本語の9つの格助詞「が」「に」「を」「へ」「で」「から」「まで」「と」「より」のついた名詞フレーズは全部補語としています。主語も日本語では必ずしも必要でないからでしょうか,主語はガ格補語または主格補語です。要するに補語とは文の基本要素としてはなくてもいい部分,どうもそういう意味で用いているようです。

 上記の英語の例A.B・Cを中国語に訳して,その文成分を考えると,すべて補語ではありません。英語のAはVC文でしたが,その中国語訳“我是日本人”はVO文です。この““日本人”は賓語(目的語)です。B文訳の“你叫我小王吧“の”小王“も賓語(直接目的語)です。C文訳は形容詞述語文です。


 それなら中国語の補語とはどのような成分をいうのでしょうか。

 例えば「食べる」という行為があります。中国語では「吃」です。もしあなたが「ご飯を食べ終わった」といいたかったら,「吃完了」(A)といいます。「食べてしまう」とその動作の進行に主眼を置いていいたかったら,「吃下去」(B)です。「食べきれる」といいたかったら,「吃得了」(C)、「食べきれない」といいたかったら,「吃不得」(D)です。「一度食べたことがある」とその回数をいいたかったら,「吃过一次」(E)です。「食べすぎちゃった」といいいたかったら,「吃得多了」(F)です。「食欲はある」といいたかったら,「吃饭也很香」(G)です。

 このように基本的な動作である「吃」の意味を拡充して言い表すときに,基本的動作・状態語の後ろに追加する語句を,中国語では補語と呼んでいます。英語の補語が主語・目的語の補足語,日本語の補語が文の基本要素ではないものとしたら,中国語の補語は述語の補足語で,重要な述部の意味決定をします。したがって,中国語の補語は述語とは切り離せない述部の一部になります。

 「基本的動作・状態語の後ろに追加する述部の一部」,それを中国語の補語というのですが,その意味上のはたらきから,A結果補語・B方向補語・C可能補語・D数量補語・E程度補語・F状態補語・と以下の六つに分類できます。

 分  類             構造                  例 語(訳)
A 結果補語         V+V/A+(賓語)          “吃完了”。(ご飯を食べ終わった)
                 V+介詞連語             “生于1985年。”(1985年生まれ)   これは疑問あり

B 方向補語         V+V(方向動詞)+(賓語)     “吃下去。”(食べ物を呑み込む)
                 V+(賓語)+V(方向動詞)

C 可能補語         V+得/不+V+(賓語)        “吃得上。”(食べきれる)
                                       “吃不得。”(食べきれない)

D 数量補語         V+数量詞/連語+(賓語)      “吃过一次”(一度食べた)
                 V+(賓語)+数量詞/連語

E 程度補語         V++A                 “吃饭也很香”(食欲がある)

F 状態補語         V+(得)+A            “吃得多”(たくさん食べる)
           
     注1  Vは動詞,Aは形容詞です。
     注2  程度補語と状態補語(様態補語)は区別しにくいこともあって,どちらかにまとめている書もあ
        ります。また,方向補語は単純方向補語と複合方向補語に,数量補語は動作量補語と時間量補
        語,比較数量補語に分ける説もあります。
by damao36 | 2010-12-20 20:32 | 中国語文法 | Comments(0)