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体感中国語143―日英中の文法成分はこうだ

 人が人に語りかけるとき、一語だけで意味を伝えることができる場合もありますが、複雑な自分の意思を伝えようとすると、どうしても多くの単語を並べて表現することになります。

 その並べられた一つ一つの単語がどのような役割をもって、一つの文の中で用いられているのか。そうした文中における単語または単語の集まりが果たす役割のことを文法成分(文法要素)と呼ぶことにします。

 まずは前回で挙げた基本文の例文をもとに、私たちの母国語日本語の文法成分から見てみることにします。

 1 あの子は(が)中学生だ。  
 2 あの子は(が)かわいい。  
 3 あの子は(が)泣いた。
 4 あの子は背が高い。    

 この文は「主語+述語」からなる日本語の基本文だと説明しました。この中の例文の3は動詞述語文なのですが、動詞には自動詞と他動詞があって、この例文は自動詞の例でした。他動詞となると述語動詞の動作が及ぼす相手を必要とするので、そこにもう一つ別の成分(要素)が必要になります。


 それでは他動詞「する」の例で、自動詞の場合とどう違うかを考えて見ることにします。

 3’  あの子は宿題をしている。 
    The boy is doing his homework. 
    那个孩子做在作业。

 日本語例文の後半「宿題をしている」は「宿題」(名詞)と「し」(動詞“する”の連用形)がいわゆる自立語で、日本語は自然な発音で読むと自立語を中心にした文節という最小単位に区切られますので、ここは「宿題を」と「している」の2区分となります。「宿題を」は「している」を修飾しているので連用修飾語と呼び、「している」の部分が述語となります。このように日本語の動詞述語文には主語と述語だけでなく、もう一つ連用修飾語という成分があるということです。これは英語では目的語といわれる成分です。


 さらに、これも前回では触れられませんでしたが、もう一つ大事な成分があります。例えば3’の例文を「青い服を着たあの子は宿題をしている」とすると、下線部はどのような文法成分になるのかという問題です。

 3”  青い服を着たあの子は宿題をしている。 
    The boy in a blue uniform is doing his homework.
    穿着青衣的那个孩子做在作业。

 この下線部は「あの子」という名詞を修飾すます。しかし、それだけのはたらきで、「青い服を着たあの子」を大きな主語と見なすこともでき、主語としての「あの子」のはたらきには影響はありません。このように名詞(体言)を単に修飾するだけの役割をもつ部分を連体修飾語と呼んでいます。

 まとめると日本語の文法成文は主語述語連用修飾語連体修飾語の4つあるということになります。


 それでは英語はどうでしょうか。

 1  The boy is a student at junior high school. 
 2  The girl is pretty.
 3  The baby cried.
 3’  The boy is doing his homework.
 3”  The boy in a blue uniform is doing his homework.
 4  The boy is tall. 

 例文のゴチ部分がすべて動詞です。なぜか英語では述語とはいわずに品詞名です。その前が主語です。

 ならば1の動詞の後の「a student」はなんでしょうか。答えは補語です。主語がどういう性質のものかを補足している部分です。その後の「at junior high school」は副詞句/節(その他の要素)です。オマケ、つけたしの部分です。

 2と4の「pretty」「tall」はともに形容詞ですが、これも補語になります。be動詞といっしょになって主語の状態を補足します。

 3’と3”の「his homework」、この部分、日本語では連用修飾語ですが、英語では目的語です。3”の「in a blue uniform」、日本語では連体修飾語ですが、英語では名詞句/節となります。

 要するに英語の文法成文は主語動詞目的語補語副詞句/節名詞句/節の6つになります。


 それでは中国語はどうなのでしょうか。

 1 他是个中学生。
 2 她很可爱。
 3 那孩子哭了。
 3’ 那个孩子做在作业。
 3” 穿着青衣的那个孩子做在作业。
 4 他个子很高。

 1の「个中学生」、異論のあるところですが、賓語(目的語とも)です。「」は英語のbe動詞に当たるといわれていますので、英語だと「be動詞+名詞」の名詞部分は補語になります。しかし、中国語には別の成分に補語という名称が付けられているので、賓語(目的語)と呼ばれています。要するに動詞の後の名詞はすべて賓語と考えるのです。

 3’と3”「做在」が述語ですから、その後の「作业」は名詞なので賓語になります。3”の「穿着青衣的」は「那个孩子」を修飾しているので日本語と同じ連体修飾語と呼んでも構いませんが、中国語では定語と呼んでいるので、私はではできるだけ定語を使うことにします。なお、3’の「那个孩子」の「那个」は厳密には定語ですが、「あの子」同様面倒なので「那个孩子」で一語とみなしました。

 ここで日本語や英語とは違う中国語独特の文法成分があります。それは補語です。もう一つ、日本語では連用修飾語の一部、英語では副詞句/節になる状語です。

 補語のごく簡単な例は3’と3”の「 做在」の「」がそれに該当します。広い意味では述語に含めてかまわない成分です。詳しくは補語の説明をしている部分をお読みください。

 最後になりますが、4のバージョンで状語の例を挙げて、説明します。

 4’ 他个子比我高。
    彼は私より背が高い。
    He is taller than I am.
 
中国語の「比我」、この部分はどういう状況下で「他个子高(背が高い)」かを述べているので、状語といいます。日本語の「私より」は連用修飾語ですから、わが国の中国語文法で状語を連用修飾語といっている場合も多くみられます。ただ、状語=連用修飾語ではなく、状語=連用修飾語-賓語(目的語)です。英語の「than I am」は副詞節です。

 中国語の文法成文をまとめると、主語述語賓語補語定語状語の6つになります。


 それでは中国語の文法成分の用語解説を付けておきます。

【用語解説】
主語:英語のように文の述語の形を決める主となる語句という意味ではなく、「主格補語」の略語として、「主
    語」という語を中国語文法用語として私は使うことにします。

述語:コトの動き、ありよう、性質などを表現する語。1語とは限らず、ときに述部(述語チャング)の意味で用い
    ることもあります。

賓語:大部分は英語の目的語と同じですが、英語の名詞の補語もふくみます。日本語式命名法なら前者は
    「対象補語」、後者は「同格補語」です。英語の目的語と補語の合わさったものなので、英語の目的語と
    混同しないよう中国語の賓語を使うことにします。

状語:主語(主格補語)と、賓語(対象補語・同格補語)を除いた時間格補語(時間語)、空間格補語(時間
    語)、限定補語(副詞)の総称を「状態補語」とよび、その略称を「状語」とします。

定語:日本語の連体修飾語です。名詞を修飾。限定するので「名詞限定補語」とよび、その略称を「定語」とし
    ます。

補語:現行文法でよばれている補語のことですが、この補語は主格補語や状態補語が動詞の前にあるの
    に対して述語のすぐ後ろにつきます。述語にさらなる結果や様態、可能性や方向、数量などをつけくわ
    える役割です。「述語補完語」とよび、その略称を「補語」とします。
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by damao36 | 2009-04-13 22:24 | 中国語 | Comments(0)
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