私はときどきスカパーでCCTVの新聞聯播を見るのですが、だいたいトップニュースは最高指導者たちの動向とか外国元首との接見とかなどです。
ところで、今年に入って、1月末のダボス世界経済フォーラム年次総会出席に合わせて、中国の温家宝首相はスイス、ドイツ、スペイン、イギリス、そしてEU本部を歴訪しました。温首相はこの旅は「中国が改革開放路線を堅持し、経済発展を促進すること。中国とヨーロッパ諸国における戦略関係を強化し、金融危機を克服するため、国際社会で団結すること。」が目的だと述べ、「自信の旅」になったと語っていました。ただ、サルコジ大統領がダライ・ラマと会談した報復に、フランスは飛び越えて訪問しないいう”強腰”外交でした。 次に胡錦涛主席です。2月10日から17日まで、サウジアラビアとアフリカの4カ国、マリ、セネガル、タンザニア、モーリシャスを公式訪問しました。資源獲得だけが目的でないこともアピールするため、どの国が資源のない国か私にはわかりませんが、そうでない国も含まれているとのことです。 、 もうお一人。2012年から中国の国家主席就任が予定されている習近平国家副主席です。2月8日から22日の2週間、メキシコ、ジャマイカ、コロンビア、ベネズエラ、ブラジル、マルタと中南米の計6か国を公式訪問しています。 さて、この間、1月から2月にかけての日本の首脳外交はどうだったのでしょうか。 1月11、12日の日韓シャトル首脳会談がありました。1月31日のダボスでの世界経済フォーラム年次総会に麻生首相が出席し、日本の金融危機対策についての講演、そのあとを受けてのG7財務相・中央銀行総裁会議がローマで開かれ、中川財務大臣とIMF専務理事ストロス・カーン氏との間で、「日本政府と国際通貨基金との間の融資取極」が締結されました。その席でストロス・カーン理事は「今回のG7の最大の成果は日本によるIMFへの増資だ。日本による貢献と融資は、これまで人類の歴史で最大のものだ」と日本の貢献に対して最大の讃辞を述べたとのことです。なお、この賛辞は経済成長を続けていながら、なかなかIMFに貢献しようとしない中国への皮肉でもあったそうです。そして2月17日のヒラリー国務長官来日による会談、翌18日のサハリンでのロシア・メドべージェフ大統領との首脳会談がありました。 でも、国民に伝わってくるのは、ダボスでの首相の原稿読み間違いとか、3度も英元首相トニー・ブレアをトニー・ブラウンといい間違ったとか、はなはだしいのは中川財務相の”メロメロ”記者会見で、IMFのストロス・カーン専務理事の日本礼賛の声は無視されました。ヒラリー米国務長官との訪日は日本が最初の訪問先であったということと麻生総理のホワイトハウス招待というのが成果でしょうか。メドべージェフとの会談はまだロシア領とも決まっていないサハリンにのこのこ出かけ、国益をないがしろにしかねない北方四島返還問題に踏み込んだとの批判の声もあがっています。 ところで、昨年の今ごろはマスコミもネットも中国関係のマイナス話題でいっぱいでした。偽デズニーに残酷サファリー、段ボール肉まんに少林サッカ。はたまた毒ギョウザ事件に、チベット騒乱。北京オリンピック・ボイコットの聖火リレーの混乱に、6万8千人もの死者を出した四川大地震、そして大仰で口パク歌唱付き開閉会式典の北京オリンピック開催。こうした話題で盛り上がり、本当に退屈しませんでした。 私もオリンピックが終わったら中国経済のバブルがはじけて一気に動乱、混沌、崩壊へと向かうかもしれないと懸念していたのでしたが、その前に、思いもかけずアメリカの金融バブルがはじけ、世界中が100年に1度の経済大不況になり、「中国崩壊前に米国がこけるとは夢想だにせず」という一文を書いたのでした。 http://lailai-hanyu.at.webry.info/200812/article_13.html 今年は天安門事件20周年、ダライ・ラマ亡命50周年。中国建国60周年と節目の年でもあり、日本同様、アメリカなど先進国輸入に依存していた中国経済もご多分にもれず大不況にさらされています。失業問題に加えて、食の安全問題や炭鉱事故、地方での動乱などもつづいています。 でも、肝心のアメリカの方が日本や中国よりも大変らしく、私が日ごろ目にする新聞やテレビではアメリカの困窮ぶりは聞かないので、本当かどうかわかりませんが、「田中宇の国際ニュース」によると、今月1日、米国カリフォルニア州政府は資金調達難からついに支払い不能に陥り、夕張市みたいに財政破綻を宣言したとのことです。そして「加州政府の会計責任者はこの日、州政府の手持ち資金が底をつき、同日に支払われるはずだった州民に対する福祉手当、奨学金、税の還付金など総額37億ドルが支払えないと発表した。支払いを受けるべき人々に対して借用書(IOU)を発行し、いずれ支払い可能になったら払うことになり、州職員の人件費を浮かすため、平日に2日間、役所を閉めることにした」(揺らぐアメリカの連邦制)、そういう状態なのだそうです。 90年代、李登輝の中国6分割論というのがありましたが、昨年末にロシアの著名な学者(Igor Panarin)が「2010年6-7月に、米国は内乱で6つに分裂する。東部諸州はEUに加盟し、中西部はカナダと合併し、南部はメキシコが、加州は中国がとり、ハワイは日本か中国のものになり、アラスカはロシア領に戻る」というアメリカ連邦の崩壊予測をして話題になったとか。また、昨年10月には米国防総省は、南北戦争以来150年ぶりに、内乱など自国内の有事に即応できる部隊を新設し、国内動乱への備えを始めたとか。本当に本当なのでしょうか。 http://tanakanews.com/090218UnitedStates.htm 今回のヒラリー国務長官のアジア歴訪、日本との同盟を固めながら、中国との積極的な協力の時代に入り、閣僚級の経済対話の枠組みだけでなく、自らが参加する「戦略・経済対話メカニズム」まで拡大することで原則合意します。どうもアメリカと中国は同じ船の乗客になってしまったようで、アメリカ国債の22.3%を保有する中国がもし崩壊するようなことがあると、アメリカも沈んでしまうのでしょう。とすると、当分中国だけが崩壊することはないということでしょうか。 そういう国際構造の中で日本が果たす役割を日本の政治家たちは私たちにしっかり示してもらいたいものです。 昨年11月のワシントンG20で麻生首相はIMFへの1000億ドル(約10兆円)の資金提供を最初に表明したのでしたが、そのことについて国際政治学者の上久保誠人さんは「感謝されても無視される “外交下手”麻生首相の10兆円支援」と評しています。その1文の中から現在の日本外交の問題点と思われる最後の段落を引用して、この項を終わります。 (以下引用) 近年、訪日する外国首脳が激減していることが気になる。また、同じ会議に出席しながら首脳会談を拒否されるケースも目立っている。G20で麻生首相は、ブッシュ米大統領と会談できなかった。サルコジ仏大統領に至っては洞爺湖サミットで来日していながら、日仏首脳会談を拒否して帰国してしまった。 これは、日本の首相の政権基盤が脆弱なことを、諸外国が知っているからだ。国内を説得する力のない首相とは、会談しても時間の無駄だと思われているからなのだ。 強い外交交渉力の源泉は、国内の強い政権基盤である。麻生首相が、外交で得点を稼いで国内の難局を乗り切りたいと思うなら、まず総選挙で権力基盤を固める必要があるのではないだろうか。(Daiyamondo Online) (中川さんローマの夕食会、翌日の昼食会、早退して仲間内で飲み直したらしく、 私も白人相手ならきっとそうしたに違いない 白人・英語コンプレックス ネズミ)
by damao36
| 2009-02-23 10:07
| 政治
|
Comments(2)
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by
kawazukiyoshi at 2009-02-23 16:36
よく纏められていますね。
じっと見ていたら、日本のやり方がわかってきます。 表面だけを取り繕う姿勢では世界に通用しないでしょう。 今日もスマイル
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damao36 at 2009-02-24 21:03
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