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体感中国語133―最も中国語らしい文、日本語らしい文

 遠藤光暁氏の『中国語のエッセンス』(白帝社)を読んでいたら「最も中国語らしい文を一つだけ挙げよ」という課題が出されたら、迷うことなく“你要什么?”(What's your order?/What do you want?)の4文字を挙げるという記述がありました。

 この言葉は北京留学中の宿舎の食堂のカウンターで食べ物を注文する度に何百回となく师傅(料理を盛り付ける係の人)から聞かれたからだそうです。そして、この言葉がどうしてそのように感じられたのかについて、以下のように書かれています。

 中国人、ことに北京人は発声法からして違っていて、ハリのあるよく通る声でいきなりスパッとこう聞かれると、はじめは強力な矢が飛んできたような感じがしてひるんだものでした。
 それは声だけの問題ではありません。まず“你”という具合に自他を明白に分離して名指しで呼ばれること自体、「繊細な日本人にとってはギョッとすることです。それから「何が要るか」と聞きたいことだけを直裁明瞭にズバッと聞き、全く無駄がないのもドキッとする点です。更に、あれでなければこれ、これでなければあれを即座に選択するよう迫られているような気がして、朝起きたばかりの朦朧としてただでさえ優柔不断なのに迷うゆとりさえ与えられずに単刀直入に太刀を返えさねばならないのは気力が必要なことでした。そもそも日本だったら、こちらか注文を言うのを待っているはずで、あちらから積極的に「攻撃」をしかけてこないのではないでしょうか?



 それに対して、最も日本語らしい言葉はヨーロッパ旅行からの帰途、日本の飛行機に乗ってスチュワーデスから聞かれた「お飲み物は如何ですか」という文をやはり迷うことなく挙げたいと書いてありました。ヨーロッパではyesでなければno、noでなければyesと極めて論理的なカテゴリカルな言語生活を強いられていたので、砂漠の中でオアシスにたどりついたような思いがしたのだそうです。

 その理由を考えてみると、まず自他を分かたず、またいきなり選択を迫るのではなくたゆたいを許しつつ相手に思いやりの情を示し、更に「お飲み物」「いかが」といった敬語・謙譲語が奥床しさをかもし出し、ほんわかとしたえもいわれぬ世界を垣間見させてくれたことによるように思います。
 日本人の発声法も概してゆるやかで、特に若い女性はせせらぎが流れるような声で、これは家が……音を吸収する素材で作られ、……狭い部屋で話す生活が長かったことに由来するものと想像されます。



 でも、「たくましい中国語の方が世界標準」なのだそうで、「朝から油分のあるものをとってたくましさを身につけなければ中国語はマスターできないでしょう」とも書かれていました。

 おおむね遠藤説に賛成なのですが、語学の勉強に食事まで関係するのか、その点は賛否留保にしておきます。


    (近頃のテレビ、だみ声とヒステリックな狂声ばかりで、とんと「せせらぎが流れるような声」を耳にしない、
     それは難聴のせいかと疑うネズミ)
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by damao36 | 2009-01-31 15:32 | 中国語 | Comments(0)
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