今年を振り返ると前半は中国問題でもちきりでした。
1月30日にJTなどが23品目を自主回収始めた毒入り餃子事件、3月14日にラサを中心にして発生した大規模なチベット騒乱、3月31日からはじまり、4月26日に長野入りした北京オリンピックの聖火リレーの騒動、5月12日は6万人余りが死亡した四川大地震、8月8日は“待望”の北京オリンピック開催。 北京オリンピックが終われば中国の経済はバブルがはじけ、一気に崩壊もと予想されてていた方も多く、半分はそうなるかもしれないと私も思っていたのでしたが、その前にアメリカがコケて、100年に一度の経済危機に陥り、日本もリストラの嵐が吹きまくるとは、素人の私は全く夢想だにしませんでした。 私も中国は崩壊するかもしれないと思い、「中国変革期待論か、中国崩壊期待論か」(8月5日)とか、「中国変革を現政権に期待しますか、しませんか」(9月6日)とかを書いたりしました。 http://lailai-hanyu.at.webry.info/200809/article_1.html http://lailai-hanyu.at.webry.info/200809/article_1.html http://lailai-hanyu.at.webry.info/200812/article_12.html ところで、前回の「3月に予測されていた「ドルの崩壊」」で紹介したフリーの国際情勢解説者田中 宇さんの記事「ドルの崩壊が近い」、全部で6つの小見出しがあるのですが、その一つに「チベット騒乱と中国のドル離れ」というのがありました。この記事はチベット騒乱4日後の3月18日に書かれているのですが、その後の既成マスコミやネットでは見かけない見方で、なるほどと私は感心して読みましたので、その内容を紹介しておきます。 チベット騒乱と中国のドル離れ もう一つのドルペッグ大国である中国では、先週からチベットで騒乱(自治要求運動)が起きている。中国は今夏の北京オリンピックを成功させ、欧米中心の国際社会の中で大国として認めてもらおうとする戦略をとっているが、チベット人は北京五輪の5カ月前という今のタイミングで騒乱を起こし、欧米日にもともと多かった反中国的な世論を喚起して、欧米を五輪ボイコットまで引っ張っていこうとしている。 チベット人による独立・自治拡大要求の運動は、中国共産党が政権を取った直後の1950年代から、冷戦の一環として米英の諜報機関が亡命チベット人を支援して持続させている、米英の諜報作戦でもある。その歴史から考えて、今回の騒乱も、北京五輪を成功させて大国になっていこうとする中国政府の戦略を壊そうとする、米英諜報機関の支援・扇動を受けて行われている可能性が大きい。 (アメリカでは「多極主義者」と「米英中心主義者」が暗闘しているという私独自の図式から見ると、五輪の選定会で北京を勝たせたのは多極主義者であり、五輪を潰すために「これが最後のチャンスだ」と言ってチベット人の運動を扇動したのは米英中心主義者である) チベットの騒乱が今後どこまで拡大するかわからないが、もし国際的な五輪ボイコットに発展した場合、中国は面子を激しく潰され、絶望する。すでに中国のテレビでは、チベット族の暴徒が、ラサの漢民族の商店を破壊する映像が繰り返し放映され「勤勉な漢民族をねたむ一部のチベット族が暴動を起こしている」という図式が、中国人の大半を占める漢民族の頭の中にインプットされている。騒乱での死者の多くも、チベット族に殺された漢族であるとされている。 やがて中国の世論は「米英がチベット族を扇動して暴動を起こし、北京五輪を潰そうとしている」という見方になる。最終的に五輪がボイコットされた場合、中国の世論は反欧米の方に傾き、ロシアと似た反米ナショナリズムが席巻する。 従来の中国は、親欧米を保ち、欧米に認められて大国になろうとしてきた。プーチンのロシアは、中露の安保組織である「上海協力機構」などを通じて、中国をロシアと結託した反欧米の方向に持っていこうとしてきたが、中国はロシアの画策には乗りたがらなかった。しかし、チベットの騒乱が五輪失敗につながり、中国政府が親欧米を保った大国化の戦略に見切りをつけたら、その後の中国はロシアと結束し、反欧米の色彩を強めるだろう。 以前なら、中国とロシアが組んでも大した影響はなかったが、今は違う。中国・ロシア・中東産油国が、世界の富のかなりの部分を握るようになり、しかもアメリカはドル崩壊と金融危機で急速に経済力を減退させている中で、中露が結束し、そこにGCCとイラン、ベネズエラなどの産油国が加勢したら、欧米中心の世界は終わり、覇権は非米諸国の間で多極化する事態になる。 日本人の多くは中国が嫌いなので、チベット騒乱で北京五輪が失敗したら「ざまあみろ」と思うだろう。しかし、実はそれは自滅的な間違いである。北京五輪の失敗は、中国をドルから自立させて、ドルの崩壊、ひいてはアメリカの覇権崩壊を早めることにつながる。中東大戦争が起きた場合のGCCの反応と同じで、中国に関しても、米中政治対立が通貨のドル離れを引き起こす。ドル崩壊でアメリカは弱体化してアジアから撤退し、日本は唯一絶対の後ろ盾を失い、中国に頭を下げて友好国にしてもらうか、自閉的に衰弱をしのびつつ鎖国するしかなくなる。 http://tanakanews.com/080318dollar.htm 最後の段落、私が下線を引いたところ、わが国は本当にそうなるのでしょうか。広い視野からドル崩壊を的確に予想している方なので、この見方も当たっているのではないでしょうか。 (私も予知能力は高いとうぬぼれていたが、世の中上には上がいるものだと反省している ネズミ)
by damao36
| 2008-12-27 10:34
| 中国語
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