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体感中国語112―過去と完了の助動詞の減退

日本語は英語や中国語に比べると、なぜか助動詞や助詞の多い言語です。昔はどうだったのかと思って、古語辞典で助動詞を調べてみましたら、だいたい以下のような変遷でした。

<受身・尊敬・自発・可能>  (れる・られる) ←(る・らる
<使役>     (せる・させる・しめる) ←(す・さす・しむ)
<過去・完了> () ←(き・けり / つ・ぬ・たり・り)
<推量>     (う・よう・らしい・べし・まい・ようだ←(む・らし・べし・じ・まじ・めり・らむ・けむ)
<打消>     (ぬ・ない) ←(ず)
<希望>     (たい・たがる) ←(まほし・たし)
<断定>     () ←(なり・たり)
<伝聞・様態> (そうだ) ←(なり)
<比喩・例示> (ようだ・みたいだ) ←(ごとし)
<丁寧>     (ます・です


ここからわかる大きな変化はというと、一つは「」を示す語の簡略化、もう一つは丁寧の助動詞が表れているという点ではないでしょうか。


き・けり / つ・ぬ・たり・り」と6つもあった過去と完了の助動詞は「」1つになっています。推量・未来の表現も現在推量の「らむ」、過去推量の「けむ」に該当する現代助動詞は見当たりません。どうしてなのでしょうか。


そこで、漢文訓読法での助動詞の用例を調べてみました。結果は以下のとおりです。

<受身>  「」,「らる」( jiàn, bèi)
<使役>  「しむ」(使 shǐ)
<推量>  「」(×)  「べし」(kě,dāng,yīng,yì,hé)
<打消>  「」(bù)
<断定>  「なり」(yě)     
<比況>  「ごとし」(rú,ruò)
                 ( )内は該当漢字。×は該当漢字なし。

 
漢文訓読で使用されている助動詞は「受身、使役、推量、打消、断定、比況」の6項目の10種類だけで、古文で使用される助動詞26種類に比べると約3分の1でした。訓読で助動詞として、あるいは一部助動詞として読まれる代表的な漢字はは「 jiàn、 bèi、使 shǐ、kě、dāng、yīng、yì、hé、bù、yě、rú、ruò」の12文字だけでした。


以上のことからいったいなにがわかったというのでしょうか。

私の勝手な推測なのですが、現代日本語に過去や完了という「時」を表す助動詞が減退した原因は漢文訓読文体の影響からではないのか、ということです。

私たち日本人は日本の古典として、主として高校でですが、漢文というものを今も学習しております。そこで読む漢文訓読文体の文章は過去や完了を表わす助動詞を一つも使わずに、いいたいことを表現している文章です。

私たち日本人は漢字を男文字といい、仮名に対して真名と呼び、明治憲法をはじめとする戦前の公式文書は漢文訓読文体が主流だったのですから、その影響は大きかったのではないでしょうか。そうした漢文訓読文体の影響を受けて、現代日本語も過去と完了を表わす助動詞は減退し、たった1語の「」で済むようになった、そのように推測できるのではないでしょうか。


そこで質問です。

過去や完了をどうしても表したいとき、漢文はどう表現しているのでしょうか。現代中国語はどう表現するのでしょうか。
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by damao36 | 2008-10-31 15:10 | 中国語 | Comments(0)
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