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体感中国語50―方向動詞と方向補語


どうして中国語は動詞の中でわざわざ方向・移動を表す動詞を取り上げて“趋向动词”(日本語では方向動詞または移動動詞)なんていうのでしょうか。

方向・移動の基本形を矢印で示すと、←印と印でしょう。印は何かが話し手の方向へと移動してくることです。中国語では“”です。印は何かが話し手からだんだん遠い方向へと移動することです。中国語では“”です。

この“来”“去”が基本的な第一段階の動きです。この動きを表す“来”“去”をA類の方向動詞と考えましょう。

次に、(上への移動)、(下への移動)、(中への移動)、(外への移動)、(再びもとの所への移動)、(過ぎ行く移動)、(両側への移動)、(起き上がる移動)が考えられます。これを中国語では“上”“下”“进”“出”“回”“过”“开”“起”といいます。以上の8つの動きを第二段階の動きだと中国人は考えるのです。これをB類としておきます。

以上のA類とB類とですべての単純な方向・移動の表現はできると考えるのですが、A類とB類とが組み合わさった方向・移動として、中国語は「B+A」で、以下の15の動きを表現します。これをBA類としておきます。
〔↑ ←、↑ →〕  (上来,上去)
〔↓ ←、↓ →〕 (下来,下去)
〔↙ ←、↙ →〕 (进来,进去)
〔↗ ←、↗ →〕 (出来,出去)
〔⊃ ←、⊃ →〕 (回来,回去)
〔― ←、― →〕 (过来,过去)
〔↔ →、↔ ←〕  (开来,开去)
〔∠←〕       (起来)

これですべての動きが表現できるのかどうか私にはわかりませんが、とにかく中国語はある動作・行為を表す語の後ろに補語として、A類、B類、さらにBA類を加えて、本動詞が本来の動作・行為をしながら、さらにある方向への移動エネルギーが与えられるのです。

「V+方向動詞」という方向補語の構文で述語に賓語(目的語)が加わるとき、その賓語をどこに置くかということが問題になります。ややこしいので整理してみました。

1 「V+A類」の場合(賓語が動作主の受け手ならばどちらも可。賓語が動作主ならb。
 a 「V+A類+賓語」
 b 「V+賓語+A類」

2 「V+B類」の場合
  「V+B類+賓語(非場所語)」

3 「V+BA類」の場合(BA類の中で賓語がとれるのは“上”“下”“进”“出”“回”に限られる。)
  賓語が場所語の場合   a 「V+B類+賓語+A類」
  賓語が非場所語の場合  a 「V+B類+賓語+A類」
                   b 「V+賓語+BA類」
                   c 「V+BA類+賓語」
賓語が非場所語の場合、その賓語が動作の受け手なら、a・b・cいずれも可。その賓語が非場所語であれば、aかc。


賓語をどこに置くかというところで場所語とか非場所語とか出てきて、説明が急にややこしくなってしまい、自分でもよくわからなくなってしまいました。ネイティブだってこんな理由は少しも知らずに使っているのでしょうし、少しくらい間違っても通じるですから、まずはいいやすいようにいえばよいと今はそう割り切ることにしました。
by damao36 | 2008-02-19 15:35 | 中国語文法 | Comments(0)
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