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体感中国語29―中国人がおしゃべりなわけ


むかしむかい、私の家の近くに鍛冶屋さんがいて、私は鉄を溶かす「ふいご」をよく動かして、お手伝いをしていました。

また、終戦直後はたいていの家に七輪なるものがあり、主婦は竹筒を使ってフーフー息を吹きかけて火を起こしていました。あの竹筒も「ふいご」(吹子)と呼んでいたでしょうか。


ところで、中国語の発音なのですが、私もなかなかうまくいきませんでした。日本語にもある中国語の単母音、「ア」・「イ」・「ウ」・「オ」は、すべて日本語より口を大きく開けると説明されるのですが、口をいくら大きく開けても、うまくいきませんでした。


もう10数年前ですが、昆明から石林にミニバス(面包車)で行ったことがありました。そのバスは亭主が運転手で、かみさんが客の呼び込み、兼バスガイドでした。

そのおかみさん、2時間近くかかったのでしょうか、石林に着くまで、マイクも使わず、よく響く声で、のべつ幕なしに何をいっているのかはわかりませんでしたが、ガイドをしてくれたのでした。


その音声を聞かされながら、私は「中国語の発声は『ふいごの理論』」という法則を発見したのでした。


若い人はそもそも「ふいご」がわからないでしょうから、『広辞苑』の説明を引用します。

「把手(とつて)を手で押し、または引いて、長方形の箱の内に気密にとりつけた板状ピストンを往復させて風を押し出すもの……、風琴に似た構造をもち、足で踏むものなどがある。」

つまり、私たちのお腹は「長方形の箱」なのです。「気密にとりつけた板状ピストン」というのはいまいちわからないところもあるのですが、要するに横隔膜です。その膜で中の空気を把手に緩急強弱をつけて、口形をこころもち変えながら押し出すのです。するとどうでしょうか、ネイティブの発音になるはずです。


戻ってきてから、その理論にもとづいて、ブツブツというよりも、アーアー、オーオーとわめきながら、散歩を繰り返しました。

するとどうでしょうか。ある晩私は、お腹の底から口先までがエントツになっていて、もくもくとその口から中国語を吐き出している夢を見たのです。それからというもの、自分では発音はまあまあだと思えるようになったのでした。


あのミニバスのおかみさん、そのおしゃべりをしている様子は、まるで深呼吸を繰り返しているみたいでした。だから、声を枯らすことなく、おしゃべりできたのです。

そうです。中国語を話すということは深呼吸を繰り返すこととまったく同じなのです。それは、心地よい運動なのです。だから、いくら話をしても疲れないのです。だから、中国人はなべて大声で、私たちよりもおしゃべりなのです。


この偏見、正しいでしょうか。
by damao36 | 2008-02-02 15:04 | 中国語 | Comments(0)
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