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君は中国国歌の歌詞を知っているのか

 北京オリンピックが半ばとなり、その中で中国の国歌を聴くこともしばしばです。

 表彰台の日本人選手は国家演奏を静かにききいっている姿がほとんどですが、中国選手は口を動かしている人が多い、そんな印象ですが、違っているでしょうか。


 さて、この歌の歌詞、ご存知の方も多いでしょうが、改めて紹介しておきます。

 起來 ! 不 願 做 奴隷 的 人們 !
 把 我們 的 血肉 築成 我們 新 的 長城 !
 中華 民族 到 了 最 危險 的 時候, 毎 個 人被 迫 着 發出 最后 的 吼声。
 起來 ! 起來 ! 起來 !
 我們 萬眾 一心, 冒着 敵人 的 炮火, 前進 !
 冒着 敵人 的 炮火, 前進 ! 前進 ! 前前進 !

  (訳)
   起て,奴隷となるな人々よ。
   われらの血と肉で築こう万里の長城を。
   中華民族 今 危機にあり。雄たけびあげよ。
   戦いに起て,起て,起て。
   心を合わせ,砲火を冒せ。
   前へ。砲火を冒せ。前へ。前へ。さらに前へ。


 この歌はあの国が成立した1949年、暫定的国歌として制定されたもので、原題は「義勇軍進行曲」といいます。

 1935年(昭和10年)に制作された、「風雲児女」という映画の主題歌で、作詞家は36歳の田漢、作曲家は23歳の聶耳という青年でした。
 http://www.youtube.com/watch?v=6icFnCSF2yA&feature=related (1935年に制作された「風雲児女」の映像と歌声)


 原題の「義勇軍進行曲」の「義」(人としてやらねばならぬこと)とは、きっと外国の、特に日本の侵略を受けている中華の児女たちが当然なさねばならないこと、つまり「抗日」のことなのでしょう。その「義」のために抗日の銃を取って戦列に加われ、とアジる歌です。

 冒頭の「奴隷となるな人々よ」(不 願 做 奴隷 的 人們)の呼びかけ、一体誰の奴隷となるなといっているのでしょうか。当時はクーリー(苦力)と呼ばれた中国人が、いやシナ人が街にはあふれていました。大都会には汚れた人相の悪い車屋があふれ、裏通りのアヘン窟には「メイファーズ」(没法子)が口癖の無気力なシナ人が寝転んでいました。芥川龍之介の『上海遊紀』などに、当時のシナ大陸の第一印象がどんなものであったかが書かれています。(今の印象と比べたらどうなのでしょうか。)

 「東亜病夫」と呼ばれた当時の中華の民は危機に面しているのですから、「われらの血と肉で築こう万里の長城を」(把 我們 的 血肉 築成 我們 新 的 長城)と、ここは雄たけびです。

 最後は「砲火を冒せ。前へ。前へ。さらに前へ。」(冒着 人 的 炮火, 前進 ! 前進 ! 前前進! )と、「前へ」を繰り返します。

 この部分、日本語訳はどうしても長くなるので省かれていますが、中国語歌詞には「敵人」(敵)という文字がしっかりはいっています。

 この「敵人」、一体誰のことなでしょうか。

 その当時の「」、それは間違いなく「日本鬼子」でしょう。大日本帝国と誇称していたにっくき「小日本」です。


 この歌を作曲した聶耳は中国共産党員でしたから、国民政府による逮捕を逃れ、日本に留学していた兄を頼って、この映画が作られた1935年に日本に来ます。しかし、その年の7月17日の午後、湘南・鵠沼海岸で友人と泳いでいて溺れ、亡くなってしまいました。まだ、23歳でした。
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                        (聶耳肖像と藤沢市鵠沼海岸海岸にある彼の記念碑)



 ところで、フランスの国歌もフランス革命のときにマルセイユ義勇軍で歌われた「ラ・マルセイェーズ」ですね。その1番の歌詞は以下のように訳されています。

    いざ  祖国の子らよ  栄えある日は来たり!
    圧制の血に染む旗は  われらにあげられたり!
    かの暴虐な兵士らの  広野に叫ぶを聞かずや?
    われら腕の中に来りて われら妻子を殺さんとす
    武器をとれ 人々よ!  隊伍を組めよ!
    進め!進め! けがれし血をわれらが畑に注がしめよ (美山書房「世界の国歌」から)
    http://jp.youtube.com/watch?v=NsYFFsoFgHI(フランス国歌「ラ・マルセイェーズ」)


 世界で最も文化の香り高いフランスの国歌が「武器をとれ・・・けがれし血をわれらが畑に注がん」とあるのはおどろきです。ここは最近まで「けがれし(ドイツ人の)血」と歌われていたのだとか。直訳すると「のどをかききれ」という語句もあるのだとか。本当でしょうか。

      
  ≪お断り≫
   この稿は2008年に書いたものです。






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by damao36 | 2017-08-31 09:39 | 中国 | Comments(0)
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