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「絆」字考―「きずな」ならいいが、「絆」はよくない

 2011年を表す漢字は「(きずな)」でした。

 多くの日本人がこれまでは用いる事のまれであったこの字にある種の親しみを覚え、年賀状とか、子供の名前とか、いや政党名まで出てきそうな様子です。

 漢和字典の『漢字源』を引くと、「①きずな。ほだし。ア牛馬などの足をつなぐなわ。イものをつなぎとめるもの。自由を束縛するもの。『羈絆』 ②ほだす。つなぐ。つなぎとめる。」とありました。熟語は「絆創膏」のみでした。下付き熟語には「脚絆」(江戸時代の旅装「手甲脚絆」。日本陸軍が足に巻いていたゲートル)が出ていました。

 「きずな」を『広辞苑』で引くと、「①馬・犬・鷹など、動物をつなぎとめる綱。梁塵秘抄『御厩(ミマヤ)の隅なる飼ひ猿は―離れてさぞ遊ぶ』  ②断つにしのびない恩愛。離れがたい情実。ほだし。係累。繋縛。平家一○『妻子といふものが、…生死(シヨウジ)に流転(ルテン)する―なるが故に』。『夫婦の―』」とありました。

 今、私たち多くの日本人がこの「」という漢字から思い起こす意味はもっぱらこの②の「断つにしのびない恩愛。離れがたい情実」、そういう意味で持ちいているのでしょう。


 さて、漢字の本家中国ではどうなのでしょうか。

 『OXFORD CONCISE Chinese-English Dictionary』(牛津精选 汉英词典)を引いてみました。(日本語は引用者)
  (动)(cause to) stumble; trip; 绊手绊脚 be in the way.(邪魔になる。手足まといになる) 绊了一跤Tripe over sth.(つまずいて転ぶ)

 『现代汉语词典』を引くと、この親文字の下の熟語は「绊脚石」(足かせ。足払い)「绊马索」(敵の馬を引っかけて倒す張り縄)「绊儿」(足かせ。足払い)「绊手绊脚」「绊子」(足かせ。足払い)と5つだけで、『広辞苑』②の意味の熟語は見当たらず、どうもこの「」の字を「断つにしのびない恩愛。離れがたい情実」=「きずな」と解釈するのはわが国での転用、そんな感じがしてきました。


 今朝の新聞によると、民主党を離脱した人たちの新党名は「きずな」にするのだとか。「“きずな”党ならいいですが、“”党と漢字では書かない方がいいですよ」、私の忠告が聞き入れられるのなら、そう忠告したくなりました。(それなら漢字でどう書いたらいいのでしょうか。“紐帯”党でしょうか?)

     (「菅」と言う字を漢和辞典で引いたら、④番目の意味に「わたくし。よこしま。姦。」とあるので、「菅には
      “姦”の意味もある
」と前首相に忠告したのでした。しかし、無視され、今や私はこの人のことを“奸・姦”
      直人
と呼んでいる 漢字にこだわるネズミ)
          

≪参考≫http://damao36.exblog.jp/11281679/(菅には“姦”の意味もある)
by damao36 | 2012-01-01 16:15 | 社会 | Comments(0)
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