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186―農夫の言葉と猟師の言葉

 中国語文は「土星とそれをとりまく環」のようなもので,「土星」の動詞の周りにそれ以外の要素が「環」をなしているとしたら,英語は西欧近代文明の産物,「鉄道列車」では,と私は下手な喩をしていましたが,近ごろはまた別の考えが浮かんできました。

 どうも中国語の状語(ほぼ日本語の連用修飾語)をまとめていたら,どうして中国語は(日本語もですが)状語の先頭は時間を表す時間詞で,次は空間の場所詞なのか,つまり,どうして「初めに時間ありき」なのかが,気になってきました。それに引き比べ,英語は場所詞,そしてシンガリは時間詞です。

 中国語文というのは,これも日本語もですが,一番強調したい誰もが関心をもっている既知の情報は真っ先に言い,一番伝えたい,あるいは知りたい未知情報は最後に言う,そういう言葉のようです。その関心のある情報と伝えたい知りたい情報との間に,中国語と日本語はその未知情報を成り立たせている具体的な状況・条件を挟み込んでいます。つまり聞き手は関心ある事柄がどのような具体的状況・条件下で,どう変化したのか、どういう結果が得られたのか,そんな情報を受け取ることになります。

 それに対して英語はどうなのでしょうか。関心ある事柄とその変化や結果がどうであるかをまずは受け取ります。そのあと,追い追い,付け足し・おまけ・付録みたいに外的状況・条件が追加されます。

 そこでこれもまた突飛な空想なのですが,中国語からは常に空模様を気にしながら田畑を耕す農夫の姿が浮かんできました。英語の方はというと、猟銃を持った狩人が獲物をぶら下げ,その後ろには何匹かの猟犬を従える,そんな図柄です。

 「農耕民族の発想と狩猟民族の発想から見た各民族の言語構造」,そんなタイトルで研究論文を書いたら,どこかの大学が(できたら日本一の東京大学が),日本語を「薬箱をかかえた富山の薬売り」などという貧しいイメージしか思い浮かばないそんな私に,博士号を贈呈してくれるのではないでしょうか。
by damao36 | 2011-06-24 10:57 | 中国語文法 | Comments(0)
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