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体感中国語158―状態・存在動詞の「有」と「在」

 中国語の動詞に限りませんが、動詞を大きく2つにわけると、動作動詞(動態動詞)と非動作動詞(静態動詞)とになります。

 私はこの中の非動作動詞をさらに状態動詞、心理・生理活動動詞、関係動詞と3つに下位分類し、その中の状態動詞をさらにまた下位分類として存在動詞なるものを設定してみました。そしてこの存在動詞の中心語は「you3)」と「(zai4)」であろうと仮定しました。

 この「」と「」、わが国の漢和字典で引くと、どちらも基本的な意味は「ある・いる」とだけ説明されています。でも、一体、この「ある」と「いる」はどう違うのでしょうか。

 そこで『広辞苑』を引いてみましたら、「」は「①あること。存在すること。②持つこと。」などとあり、「」は「一定の場所にあること。いること。」などとあるだけで、漢和字典と同じような説明でした。

 今度は「ある」の項を引いてみましたら、「有る・在る」となっていて、「ものごとの存在が認識される。もともとは、人・動物も含めてその存在を表したが、現代語では、動きを意識しないものの存在に用い、動きを意識しての「いる」と使い分ける。人でも、存在だけをいう時には「多くの賛成者がある」のように「ある」ともいう。」と説明されていました。

 そういえば『伊勢物語』ではお話が全部「昔、男ありけり」ではじまっていますが、平安時代にはまだ区別はなかったのでしょう。どうしてこのように無生物のときは「ある」生物のときは「いる」と区別して使い分けるようになったのか、今の私はまだ答えることができません。


 さて、前置きが長くなりましたが、中国語の「」と「」にはそのような区別はありません。区別があるのは、日本語に訳したときに、基本的な訳語が、「」は「~ある(いる)」となり、「」は「~ある(いる)」になるという点です。


 この「~ある(いる)」と「~ある(いる)」の違いはどう説明したらいいのでしょうか。

 例えば今私たちの目の前にボールペンが落ちていたとします。偶然ボールペンが落ちていたのを発見したときと、探していたボールペンがそこの落ちているのをやっと見つけたときとがあります。このとき、私たちは日本語ではどう区別して表現するでしょうか。

  「あ、ボールペンがここにある/あった。」

  「あ、ここにボールペンがある/あった。」

 さて、どちらがどちらなでしょうか。


 ところで、基本的にはSVO構文である中国語というのは、主語はお互いに既知の事柄で、その事柄についての新しい情報を述語以降の部分で相手に伝える構文ですから、未知の情報、いちばん伝えたいことは当然述語とその後ろにつづくことになります。

 日本語の場合も同でしょうか。

 ボールペンが落ちているのに気づいたとき、私は「あ、ボールペンがここに落ちている」というのが自然な感じがします。探していたボールペンがみっかったときは、「あ、ここにボールペンが落ちていた」というに違いありません。強調したい語を先に口にする、そんな感じがしますが、でも、「ボールペン」と「ここ」の位置を入れ替えていってもかまわない気もします。

 中国語なら前者の場合は「这儿有圆珠笔。」(Zhèr yǒu yuánzhū bǐ。)(訓読=ココニ圓珠筆有リ)といい、後者の場合は「圆珠笔在这儿。」(Yuánzhū bǐ zài zhèr)(圓珠筆ハココニ在リ)と必ずいうことになります。

 基本的に同じSVO構文の英語はどうなのでしょうか。前者なら「There is a ball-point pen here.」で、後者なら「The ball-point pen is here.」でしょうか。


 それでは「」と「」の違いを、公式として以下に示すておきます。

    有=場所詞++人・物 (いちばん伝えたいことは「人・物」)

    在=人・物++場所詞 (いちばん伝えたいことは「場所」)


 なお、以上の用法は「」と「」の用法の1つであり、外の用法もあることを、お分かりでしょうが、お断りしておきます。
 
by damao36 | 2009-10-13 08:42 | 中国語文法 | Comments(0)
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