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体感中国語154―主語は誰か―原爆慰霊碑の碑文

 新中国発足当時の中国指導者の通訳をしていた劉有徳さんの『日本語と中国語』(講談社)を読んでいたら、戦前日本に留学していた知日派の政治家で文学者、中国全人代副委員長をされた郭沫若氏が、広島市を訪れたときの話が紹介されていました。

 郭沫若氏は原爆死没者慰霊碑(世界平和都市記念碑)の碑文「安らかに眠って下さい 過ちは繰り返しませぬから」を読んで、「この文の主語はだれだろう」と周りの記者に問いかけます。そのあとしばらく歩いて、トルーマン米国大統領の写真の前まで来たとき、「ああ、この方が最後に署名をされたらいいのだ」とつぶやいたそうです。


 調べて見ると、この碑は古典専門の広島大学の雑賀忠義教授が文案を書き自ら揮毫されて、1952年8月に設立されたものだそうです。

 その年に訪れたインドの国際法学者で極東裁判判事を務めたラダ・ビノート・バル博士が、「原爆は日本人が落としたものではない。日本人が主語となるのはおかしい」と、早速疑義を呈されます。

 広島市民の中にも、この碑文は慰霊者の霊を冒涜しているということで、1970年、「原爆死没者慰霊碑を正す会」が発足し、署名活動をして碑文抹消を求めます。

 しかし、当時の広島市長はこのように説明し、碑文は抹消されることはありませんでした。

  「碑文の主語は世界人類であり、人類全体への警告、戒めである」


 その後、1983年に日本語と英語の碑文趣旨の説明板が設置され、2008年には韓国、中国、ロシア、フランス、イタリアの説明版も増設されました。


 その説明板に刻まれている「安らかに……」の部分の中国語訳と英語訳は以下のとおりです。

      请安息吧, 战争错误不再重演!

       LET ALL THE SOULS HERE REST IN PEACE
      FOR WE SHALL NO REPEEAT THE EVIL


 
 なお、広島市の中国語訳が書かれる以前の中国報道記事は、英語訳を参照したのでしょうか、以下のように訳されていました。

       让这里所有的灵魂安息, 为了我们再重演不幸(错误)。
      让人们的灵魂在这里和平地安息吧! 我们再不要重复错误!


http://yutaka901.fc2web.com/page2ax2g.html#8
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by damao36 | 2009-09-16 12:07 | 中国語 | Comments(0)
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