これでいいのか⑲――介詞構文の<前“不”型>と<後“不”型>

 介詞構文のほとんどは状語として述語の前に来る前置型です。この状語についてはこのブログの前回記事で「状語には①述語の時空間を示す状語時間詞・方位詞・場所詞,それに時空間を示す介詞連語),②述語と関わる人・物・事の働きに関わる状語述語と人・物・事との関連を示す介詞連語),③述語の状態を示す状語副詞や形容詞など)とがある」と書きました。

上記の状語の分類によると,介詞連語は①と②に関わるのですが,介詞連語を用いた介詞構文を否定の副詞“”で否定するとき,大多数は述語の直前ではなく,述語を修飾する状語の介詞連語の直前に置かれます。しかし,介詞連語の前ではなくその後の述語の直前に置かれる型もあります。この2つの介詞構文の否定の型を相原茂氏は著書『読み解く文法』(現代書館)で,<前“”型>と<後“”型>と命名しています。

ところで,拙著『中国語文法ワールド』の§16介詞または§22-2 “把”構文例文を当ってみると,その点に関する解説がほとんどなことに気づきました。介詞構文の否定には<前“”型>と<後“”型>とがあるという視点をも加えておくべきではと反省しております。

 それでは介詞連語の<前“”型>と<後“”型>とはどういうことなのでしょうか。『読み解く文法』の例を用いて私なりに説明しておきます。

   A 跟她说话  彼は彼女と話をしない。彼は彼女と話したがらない。

B 在家啤酒私は家ではビールは飲まない。外でなら飲む。

A’他跟她说话 彼は彼女と話さない。彼は彼女と口も利かない間柄である。

B’我在家啤酒私は家ではビールは飲まない。○○酒なら飲む。

ABの“”は<前“”型>です。この型の“”は状語の介詞連語“跟她”と“在家”,述語または述・賓連語の“说话”と“啤酒”,その両方を否定しています。ABの“”は<後“”型>です。この型の“”は述語または述・賓連語の“说话”と“啤酒”のみを否定しています。ゆえに,意味が少々異なります。

※ B文の述語“说话”はいわゆる構文の離合詞です。辞書等では1語としてお使われているので,とすべきか、とすべきか迷っております。

 

上記のAB両文は<前“”型>にも<後“”型>にもなる文でした。ところが,<前“”型>のみ,あるいは<後“”型>のみの文もあります。以下の例Cが前者で,Dが後者です。

C 跟他一块

  D 离学校

どうしてそんな違いがあるのでしょうか。<前“”型>の文は介詞連語と述語VPまたは)とが一体化して,主語の「主観的な意欲」を述べる動態性の叙述になるが,<後“”型>の文は状語の介詞連語の条件下における主語の「客観的な事実」を述べる静態性の叙述になるからだそうです。

Cの述語“”は動作動詞で,動作動詞は動態性なので「主観的な意欲」を述べることになり, Dの述語“”は形容詞で,形容詞は性質や状態を述べる静態性なので「客観的な事実」を述べることになる,そういうことです。

それではどうしてAB文のように「主観的な意欲」を述べる<前“”型>になったり,「客観的な事実」を述べる<後“”型>になったりできるのでしょうか。それは述語の“”“”は動作動詞ですが,賓語の“”“啤酒”と連なると「『話をする」または『ビールを飲む』行為をしたい」という意欲の表現にもなりますが,「『話をしている」または『ビールを飲んでいる』状態にある」という静態性の客観的な事実の叙述にもなるからです。


 ところで,拙著『文法ワールド』の介詞などの例文には“”以外に,“/没有”の例がいくつか出ています。/没有”も“”同様<前“/没有”型>と<後“/没有”型>があるので,理屈は“”と同じかというと,どうもそうではなさそうなので,はたまた疑問にぶつかてしまいました。






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# by damao36 | 2017-09-02 09:46 | 中国語 | Comments(0)