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これでいいのか⑦――述語の範囲

『中国語文法ワールド』P.10凡例で,中国語の文構造を以下のように示しました。

m                 

定語主語 状語α・述語・β 補語定語賓語 



これを記す段階で,私が問題だと感じたことは「述語とは何か」「述語の範囲はどこからどこまでか」といったい述語の定義とその範囲の限定でした。

  ※ その定義と範囲をまとめたものが,P.45の≪文法用語≫の「主語と述語」です。




製本後に「これでいいのか」と疑問に感じているのは,以下の4点です。

① 上表の述語述語コアとすべきではないのか。

② 付加語の記号をα前置付加語β後置付加語)としているが,付加語をαとし,前置付加語をα1後置付加語をα2とした方がよいということ。なぜなら,後述の§17-3の動態助詞ではその方が表記しやすいから。(実際に後述でのβ使用例は少ない。

③ 前置付加語に程度副詞のお飾りの“を入れているが,それでいいのか。

   ※ 前置付加語は助動詞と進行の副詞“否定の副詞“,,お飾りの副詞“”で後置付加語は動態助詞の“,,”。補語は動作結果にかかわる結果・方向・可能の補語外的状況の程度や状態を示す程度・様態補語動作回数や持続または経過の時間量を示す数量補語になります。

④ 述語を限定する補語の限定記号を印で示しているが,これも・印でいいのではないか。

   ※ 理由は定語と主語・述語,状語と述語との修飾関係は定語・状語を省いても基本的な文意に影響しないが,付加語や補語は述語の意味に変更を来たすから。また,§7-1の表≪補語の種類とその構造≫(P.112)などもその方が整理しやすいから。




以上4点を受けて,上表を以下のように整理した方がベターではないでしょうか。

m                       

定語主語 状語α1述語コア・α2 補語定語賓語 








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by damao36 | 2017-07-30 11:07 | 中国語 | Comments(0)

これでいいのか⑤——中国語の16文型

 英語の文法書には必ずと言っていいほど5つの英語文型の説明があります。なのにどうして中国語の文法書には文型を説明したもがのほとんどないのでしょうか。日本語も同じですが,テニヲハ付着語の日本語文は主語がきて連用修飾語がきて述語で終わる,動詞述語文でいうと基本文型はの1文型だから,その説明は不要だからでしょう。中国語はあまりにも多くなりすぎると考えられているからではないでしょうか。

私は『中国語文法ワールド』§4文型と文種の≪文型表≫(P.56)で,中国語文型を16文型にまとめました。改めてその表を眺め,気づいたことが3点ありました。

 ① 動詞述語文の③~⑦は文型にまとめてもいいのではないか。

 ② 動詞述語文の⑧動詞補語文はCOOCの3文型にした方がいいのではないか。

 ③ 比較の“比”構文には動詞述語文と形容詞述語文がありますが,介詞“比”の後につづく名詞記号を⑥は,⑭は2となっている。要統一か。

※ <介詞名詞)>の名詞は介詞の賓語になるので,に統一すべきかもしれません。いや,は述語の賓語が繰り上がった記号ですから,の方がいいのではないでしょうか。


もし①と②のように整理したら,中国語の動詞述語文はCOOCOOSVO/SVOの9文型になり,これまで中国語文型16としていたのが,14文型に減るので,この方がいいのかなあと思ったりしております。

なお,“是”構文を名詞述語文とする説もあるようです。





 

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by damao36 | 2017-07-30 08:50 | Comments(0)

これでいいのか④――主述賓語の内界表出文

 拙著『日英中 三方攻読 中国語文法ワールドP.458§23-4 主述賓語の内界表出文で、以下の例を挙げて、このような主述賓語の文、111(=S2V2O2)内界表出文(略称内界文)と勝手に命名しました。

内界表出文の構造≫       は人が心の中で認識する述語動詞下線部が大賓語。

1 1  1 (=S2V2O2)  ……111(=S2V2O2)

A     应该 Wǒ kàn nǐ yīnggāi qù nàr

I think (that) you must go there.君はあそこへ行くべきだと思う

1 1  1(=S2V2C)   ……111(=S2V2C)

B 事实 证明 Shìshí zhèngmíng tā shì duì.

Fact proved that he was right.事実は彼が正しいと証明している

                     文型は他に111(=S2V2)文もある。


 この例文Aは主語が人称代詞で,Bは主語が一般名詞です。人称代詞が主語のA文はその人の心中の“つぶやき”が原型なので,従来心中文と呼んでいました。しかし,同じ主述賓語文でもB文のように一般名詞が主語の場合は“つぶやき”ととるには違和感があり、どうしたものかと思案した結果、内界表出文ならAB両文の表現内容を示せるのではと判断したのでした。

この文型の述語動詞はA文は心理活動動詞、Bは言語活動動詞が主になるようです。「心理または言語活動は外界からは窺い知ることのできない内界(人の心の中)の世界を表す語彙である。ゆえに,このような動詞を用いた文を内界表出文と呼ぶことにする」、そう考えたのですが、果たしてそれでいいのかでしょうか。100パーセントの自信はありません。

なお,「文型は他に111(=S2V2)文もある」と注記していますが、正確には常に大賓語をとる111(=S2V2O2)文、11(=S2V2C)文、または11(=S2V2)とは限らず、心理または言語活動動詞を用いた文なら、型や型もあるのではないでしょうか。とすると、表題の主述賓語の内界表出文心理・言語活動動詞の内界表出文とすべきなのでしょうか。
   ※ 《现汉》には“外界”(1 某个物体以外的空间。2 某个集体以外的社会)という語は登録され
     ているが、“内界”はない。しかし、『大辞泉』には以下のように説明されている。
      外界:2 哲学で、意識から独立してその外部に存在するすべてのもの。客観的実在の世界。
      内界:2 哲学で、意識の内部のすべての事象。意識の内面的世界。
       



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by damao36 | 2017-07-29 10:10 | 中国語 | Comments(0)

これでいいのか③――名詞の分類

『文法ワールド』§9名詞――特に時間詞・方位詞・場所詞P.184)には以下の名詞の分類≫表を乗せて,3つの印を付しています。

名詞の分類

一般名詞  可算名詞   a 個体名詞 単体であることを基本とする人・物・事)

b 集合名詞 (人・物・事の集合体)

        不可算名詞  c 物質名詞 (一定の形のない物質)
                   
d 抽象名詞 (抽象的な事物・思考など)

固有名詞 (国名・地名・人名など)

時間名詞(時間詞(時間詞は時間名詞以外に時間名詞などに介詞・方位詞の付加した連語をも含む) 

方位名詞(方位詞(方位詞は方位名詞以外に時間名詞や場所名詞との連語をも含む)

場所名詞(場所詞(場所詞は地名や場所指示の代詞などに介詞・方位詞の付加した連語をも含む)

      ※ 英語名詞の分類は普通名詞・集合名詞・固有名詞・物質名詞・抽象名詞の5つで,それを可算名詞と不可算名詞に区
       分する。中国語同様性・数の区別のない日本語は実用としては普通名詞と固有名詞の2区分でよく,代名詞や数詞も
       名詞としている。

※ 中国語文法では普通名詞という用語ではなく,一般名詞という用語が用いられている。状語とはならないの一般名詞との固有名詞の総称を本書は普通名詞とする

※ 一般名詞adは可算・不可算を問わず<数詞量詞>からなる数量詞を付けて,数えることができる。adは用いる量詞の違いから分類されたものである。

 ところで,この表について私自身疑問がわいてきました。英語や日本語の文法書には普通名詞という用語は出てきますが,一般名詞という呼称は見かけません。逆に私が参照した中国語文法書には普通名詞という呼称はなく,一般名詞という呼称が専ら使われています。最初は普通名詞も一般名詞も同じなのだろうと思っていたのでしたが,執筆段階では2番目の印のように「状語とはならないの一般名詞との固有名詞の総称を本書は普通名詞とする」と考えて記述したのでした。

でも,これはどうも間違いのようで,正しくは「時間名詞・方位名詞・場所名詞に対応する名詞の呼称が一般名詞で,普通名詞は表aの個体名詞の別称である」が正しいと思えてきました。なぜなら,英語の普通名詞は本書の分類a 個体名詞の別称のようなのです。また,表固有名詞も英語では不可算名詞の一種としているので,本書もそれに倣うことにします。

そこで,申し訳ありませんが,上記表を以下のように訂正することとしました。

一般名詞 可算名詞  a 個体名詞 (通名詞とも)単体であることを基本とする人・物・事)
            b 集合名詞 (人・物・事の集合体)
     不可算名詞  c 物質名詞 (一定の形のない物質)
            d 抽象名詞 (抽象的な事物・思考など)
            e 固有名詞(国名・地名・人名など)

時間名詞(時間詞(時間詞は時間名詞以外に時間名詞などに介詞・方位詞の付加した連語をも含む) 

方位名詞(方位詞(方位詞は方位名詞以外に時間名詞や場所名詞との連語をも含む)

場所名詞(場所詞(場所詞は地名や場所指示の代詞などに介詞・方位詞の付加した連語をも含む)


    ※ 英語名詞の分類は普通名詞・集合名詞・固有名詞・物質名詞・抽象名詞の5つで,それを可算名詞と不可算名詞に区
       分する。中国語同様性・数の区別のない日本語は実用としては普通名詞と固有名詞の2区分でよく,代名詞や数詞も
       名詞としている。

※ 中国語文法では一般名詞という用語が用いられているが,これは状語となることの多い時間詞・方位詞・場所詞以外の名詞を指す。個体名詞は普通名詞ともいう

※ 一般名詞adは可算・不可算を問わず<数詞量詞>からなる数量詞を付けて,数えることができる。adは用いる量詞の違いから分類されたものである。

 



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by damao36 | 2017-07-28 09:55 | Comments(0)

これでいいのか②――日英中の文成分語順

『中国語文法ワールド』§3-2文成分で,日英中文の文成分を5W1Hによって比較する以下の表(P.45)を掲載しました。

)誰が/何がいつ/どこで/どのように/何を~する 

()誰が/何が~する何をどこで/いつ/どのように

()誰が/何がいつ/どこで/どのように~する何を



この比較,日本語と中国語はこれでいいと考えますが,英語ははたしてこれでいいのでしょうか。


英語の場所と時を表す「どこで/いつ」は日中語とは逆ですが,文末という点ではこれでいいでしょう。しかし,副詞句に相当する「どのように」を最文末に置いているのは問題でした。たいていの副詞は述語動詞の前に置かれています。ゆえに,ここは以下のように訂正します。

()誰が/何がどのように~するどのように何をどこで/いつ

123

※ つまり,英語のは3か所に分かれるので,略式の副詞句はM1M2M3になります。

田中茂範氏の『文法がわかれば英語は分かる!』(NHK出版)には「助動詞+middle副詞+動詞」を一塊とする《動詞チャンク》を説明し,英語の副詞(節)は文のどこに配置されるかで,initial副詞,middle副詞,final副詞と3分類できると述べていました。
 







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by damao36 | 2017-07-27 20:30 | 中国語 | Comments(0)

これでいいのか①――「支那語」の説明

    お詫び
      5月に上梓した拙著『
日英中 三方攻読 中国語文法ワールド』は自己責任校

    正の段階で体力・気力がなえ,個人的な問題やコンピュータ不調などがあって

    購入された方には誠に申し訳ないのですが,コンマが読点,英語の字間が密着,
     修正忘れなどの散見される誤植の多い書になってしまいました。

    訂正・補足一覧は別途旁つつありますが,その訂正段階で新たに気づいたこ
    とを「これでいいのか
」というタイトルで,まとめておきます。




『中国語文法ワールド』P.14≪中国語の名称・いろいろ≫,最後の項目は「支那語」です。その支那語」を以下のように説明しました。

王朝名の秦(しん)に由来するとか。戦前わが国での一般的な呼称。皇軍の大陸侵攻イメージと重なるから,蔑称と受け取られがちである。


「支那」という呼称、一部の人たちからは「どうして中国を支那と呼んではいけないのか。」といった声もありました。この問題,これまであまり考えたことがなかったのですが,どうして支那は侮辱語とされているのか、私も疑問に思ったので、調べてみました。その結果,以下のように改めた方がよいと思うようになりました。

王朝名の秦(しん)に由来するとか。戦前のわが国では国内での中華民国の呼称を支那共和国と呼び、略称の中国・中華も原則用いなかったことから,支那という語は蔑称と受け取られた。



詳しくは「支那(シナ)という語はどうして侮辱語になったのか」をご覧ください。http://damao36.exblog.jp/24680049/







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by damao36 | 2017-07-27 18:13 | 中国語 | Comments(0)

いちばん意味の多い動詞、それは“打”

 いちばんいろんな意味をもつ動詞、それは“打”です。《现代汉语词典》語釈の“打”には24項の動詞の意味が記されています。その例文を以下に挙げておきます。答えは下枠です。

1 这场比赛如果你们(     ), 就失去决赛资格。

2  节日的天安门(     )得格外壮观。

3 他六十多岁了, 怎能跟小伙子(    )?

4 她俩凑在一起(     )

5 你别(    ), 听我说下去。

6 这一番话(    )了他的心。

7 听不清他在说什么, 光听到她嘴里 (    )

8  晚上没睡好, 白天老是 (    )

9 我已经 (    )人去找他了。

10 能不能完成任务,我心里直 (    )

11 动不动就(    )训斥人。

12 他从小在农村(    )长大的。

13 这是正经事,咱们可别(    )

14 走在冰上两脚直 (    )

15 病刚好, 走路还有点 (     )

16 不应该(    )群众的积极性。

17 他成年累月跟牲口(    ),养牲口的经验很丰富。

18 (    )您了,明见吧!

19 缺你一个也不(    )

20 对来人上下(    )了一番。

21 留下一个排在这里(    )

22 孩子们在院子里(    )

23 任务完不成就要 (    )

24 工作时间请勿 (    )

25 (    )几时走。

26 (    )同伴的下落。

27 每次讨论问题,他总是 (    )

28 把事情的底细(    )清楚。

29 连这点事情做不好, 我对他的工作能力不能不 (    )

30 这一炮(    )了,下一步就好办了。

31 这个念头趁早 (    )

32 在对方无情的 (    )下,他毫不动摇。

33 有话直说,不用 (    )

34 事情已经调查清楚,你用不着替他 (    )

35 他没有经验,这件古董买打眼(     )

  这件红衣服真 (    )

36 我问他,他跟我 (    )

37 他俩正在争吵,你去(     )吧。

38 路上碰见人, (  了个     )

  已经给你们( ),怎么还要这样干?

39 他刚才在会上(  了个   )就走了。

40 要保质保量地按时打活,不能 (    )

41 衣服(    )了,熨平了再穿。

42 做事不能只在钱上(    )

43 他讲的话老是在我脑子里(    )

打败  打扮  打比  打喳喳  打岔  打动  打嘟噜

打盹  打发  打鼓  打官腔  打滚  打哈哈  打滑

打晃  打击  打交道  打搅  打紧  打量  打埋伏

打闹  打屁股  打扰  打算  打听  打头炮  打问

打问号  打响  打消  打压  打哑谜  打掩护  打眼

打佯  打圆场  打招呼  打照面  打折扣  打皱

打主意  打转

  •  “打”には」動詞以外に介詞(同“)にもなります。以下がその例。

     44 起,每天晚上学一小时。

     45   打从春上起,就没有下过透雨。

     46   这孩子打小就聪明。


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by damao36 | 2017-07-12 10:47 | 中国語 | Comments(2)

「支那(シナ)」という語はなぜ侮辱語とみなされたのか

 拙著『日英中 中国語文法ワールド』の中国語の名称いろいろ」(P.14)で、「支那語」という項目を取り上げ、「王朝名の秦(しん)に由来するとか。戦前わが国での一般的な呼称。皇軍の大陸侵攻イメージと重なるから,蔑称と受け取られがちである。」と説明しました。
   ※ 『文法ワールド』の「支那」の説明、正確とはいえないので、以下のように訂正します。
   
   王朝名の秦(しん)に由来するとか。戦前わが国での一般的な呼称。わが国
     が中華民国を「支那共和国」と呼び、「中国」「中華」という語を用いよう
     としなかったことから、侮辱語と受け取られた。

 最近ある若い人から、「どうして戦前はわが国の一般的呼称が戦後は蔑称とされたのですか」との質問を受けました。
TSTAYAの教養新書週間ベストテン第1位のケント・ギルバードさんの新著『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇(講談社新書)

の序言に、「はるか以前から日本の中国という地域に住む方々には申し訳なく、本当は抵抗があるのですが、本書は便宜的に中国という表記を使います」と書かれているとも教えてくれました。確かにそう書かれていました。ギルバードさん、本当は「支那」と表記したかったのでしょうか。「支那」という表記で統一されている別の新書も並んでいました。

 このことについてこれまであまり気にしたことがないので、まずはネットの以下のサイトを覗いてみました。

  支那 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/支那

  シナ(支那)を「中国」と呼んではいけない三つの理由 - Tamacom www.tamacom.com



 「『中国』と呼んではいけない三つの理由」の目次は以下の5項です。
1.
中国の人達の置かれた困った立場
 ・正しい地名が恐くて使えない
2.
中国は由緒ある日本の地名
 ・比較にならない程古い中国の歴史
 ・すべては外務省の通達から
 ・驚くべきマスコミの力
 ・押し付けに従うのはやめよう
3.
シナは世界の共通語
 ・「支那(シナ)は日本人だけが使った差別語である」の嘘
 ・「シナ人はシナと呼ばれることを嫌がっている」のうさん臭さ
 ・「意図的にシナと呼ぶ態度がシナを差別語にしたのだ」のでたらめ
4.
二つの「中国」
 ・中華思想とは何か
 ・新たな秩序を持ち込んだもう一つの中国
 ・シナを「中国」と呼ぶことは日本の基本的立場に反する
5.
なぜ日本人にシナと呼ばれると都合が悪いのか
 ・打ち砕かれた古い中華秩序
 ・シナの独立と乗っ取り
 ・「中国」の意味の変更による侵略の正当化
 ・シナを「中国」と呼ぶことは侵略の手助け

 確かに1・2に書かれているように、中国地方の人は東北や九州出身の人なら「東北人です」、「九州人です」と言っても問題ないでしょうが、中国地方の人は問題ですね。ただ、固有名詞が同じということはよくあることで(中国の地域名に「東北」もあります)、「『中国』と呼んではいけない」問題の本質は3~5でしょう。

 3の「シナは世界の共通語」、確かにそういえそうです。英語のChinaと同根といえそうです。また、漢字文化圏以外の国々に対してはその国々の呼称にいちゃもん付けていません。また、中国・上海のポータルサイト「新浪网」の企業名はこの記事の指摘の通りsina.comでした。孫文も「支那」という語を政治運動の初期には用いていたとのことです。ということは、中国人自身もシナという発音、それに類似する語に特段の差別意識はもともとはないと言えるのでしょう。なのに、どうして清朝政府や中華民国政府は日本政府に対して「支那」という呼称を用いないように外交ルートを通して抗議してきのでしょうか。不快感を示す中国の政治家や知識人たちがいたのでしょうか。相手に不快感を与えることが分かっていても、日本政府はどうして「支那」という呼称を使い続けたのでしょうか。

 戦前の東京帝国大学をはじめとする大学の中国に関する学問の学科名は支那哲学・支那文学・支那語でした。そうした学科名の変更やマスコミ用語から「支那」という語が消えたきっかけは外務省の岡崎という局長の発議からだそうです。その文書を以下に転記しておきます。

  文合第三五七號 

 昭和二十一年六月六日

                                              外 務 次 官(官印)

   内閣書記官長   殿

    支那の呼稱を避けることに關する件

   本件に關し外務省總務局長から六月六日附で都下の主な新聞雜誌社長に對し念のため寫の
  やうに申送つた。右參考のため御送りする次第であるが、機會があつたら御關係の向へも同樣
  御傳へを得たい。

   本信送付先 各省次官、内閣書記官長、法制局長官、統計局長、内閣審議室、各都道府縣、
   終戰聯絡地方事務局長


   中華民國の國名として支那といふ文字を使ふことは過去に於ては普通行はれて居たのである
  が其の後之を改められ中國等の語が使はれてゐる處支那といふ文字は中華民國として極度に
  嫌ふものであり,現に終戰後同國代表者が公式非公式に此の字の使用をやめて貰ひ度いとの
  要求があつたので今後は理屈を拔きにして先方の嫌がる文字を使はぬ樣にしたいと考え念の
  ため貴意を得る次第です

   要するに支那の文字を使はなければよいのですから用辭例としては

    中華民國、中國、民國。

    中華民國人、中國人、民國人、華人。

    日華、米華、中蘇、英華

   などのいづれを用ひるも差支なく唯歷史的地理的又は學術的の敍述などの場合は必しも右に
  據り得ない例へば東支那海とか日支事變とか云ふことはやむを得ぬと考へます

   ちなみに現在の滿洲は滿洲であり滿洲國でないことも念のため申添へます

      昭和二十一年六月七日


                                            岡 崎  外務省總務局長


 この文書に「今後は理屈を拔きにして先方の嫌がる文字を使はぬ樣にしたい」とありますが、当時の日人の「支那」と「中国」という用語に対する考え方にはどういう理屈があったのでしょうか。toma.com記事の4・5と同じな理屈なのでしょうか。

 私自身は支那 - Wikipedia の記事の最後に紹介されているお二人の意見に今のところは賛成なのです。

   加藤徹は「中国人が『支那』という日本語に違和感を感ずるのは、同じ漢字文化圏の国だから
  である。互いの自称を漢字
で書けば、そのまま意味が通じるのに、日本人はわざわざ『支那共和
  国』という国名を作った。中国人はそこに、悪意と屈辱を感じたのだ。国どうしでも個人どうしでも、
  対等の関係なら、相手の自称を認めるのがマナーであろう」と指摘している
。評論家の八幡和郎

  は、著書の中で「支那といっても抗議される由縁はないはずだが、あえて相手の嫌がる呼称を使
  うこともない。それが大人の対応だ」と述べている。

 なお、toma.comの4で「中国」または「中華」という語には中華思想があるという記述があり、その中で「日出處天子致書日沒天子」「東天皇敬曰西皇帝」という聖徳太子の隋王朝に対する堂々たる態度を示す有名な文言を紹介しておりました。おそらく「日本」という国名の由来もこのあたりにあるのでしょう。この「日本」という国名もまたいわゆる中華思想の亜流なのですから、相手も「日本」という国名を受け入れているのですから、わが国も相手がぶっ倒れるまで喧嘩をする気ならそれでもいいでしょうが、そこまでの覚悟は熟してないでしょうから、「中国」と呼ぶのが大人の態度ではと思うのです。

≪追記≫
 「支那(シナ)」という語を当時の中国政府や一般人が侮辱語と感じるようになったのは、支那 - Wikipedia の記事によると、中華民国成立以降のようである。以下にその関連部分を転記しておきます。

   梁啓超1901(明治34年)に「中国史叙論」において「吾人がもっとも慙愧
 にたえないのは、我国には国名がないことである」とし唐や漢は王朝名、支那は
 外国人の使用する呼称、中国・中華は自尊自大の気味があるとしながら「やは
 り吾人の口頭の習慣に従って『中国史』と呼ぶことは撰びたい」と述べている。
 近代主権国家への性向をもつ政治運動で結集核となったのは、清朝というより
 も「中国」であって、この時期に次第に国名として定着しつつあった。辛亥革命
 経て成立した中華民国の国号について、日本政府は正式な国名を使用せず
 伊集院彦吉駐清公使の進言による「支那」を採用した。于紅によれば、これは
 近代日本の対中大陸政策を表徴するものであり、日中関係の不対等化を意味。
 日本政府は中国政府と締結する条約の文面など、正式呼称を用いることが不
 可欠な場合を除き、この共和国に対する呼称を「支那共和国」と称することを定
 めた。以上の結果、日本における「支那」という呼称は、以下の2つの概念に対
 する呼称として使用されることになった。馬廷亮駐日代理公使からは「中華民
 国」を使うようにという抗議があったが、牧野伸顕外務大臣はすでに官報に告示
 済であり、訂正しがたいと回答している。ただし両国間で往復する公文書に際し
 ては、日本文では「支那共和国」、漢文では「中華民国」が用いられることとされ
 た。






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by damao36 | 2017-07-01 09:28 | 中国語 | Comments(0)