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日本と中国は“互いに見下す大人げない関係”になる?

 深川律夫氏の城山三郎経済小説大賞作品『黄河の疾風』を読んで、7月16日にその読後の感想を5か月ぶりにこのブログにアップしました。そのサブタイトルはこの小説の主人公大塚草児の母の手紙からとって「どうして、日本人は中国人を一段下に見るのか」としました。
    「私はどんなに立派な立場の人であっても、他を見下げる人を尊敬することができません。」
     母さん、その通りだと思う。そして、日本人を思う。どうして、日本人は中国人を一段下に見るのかねえ。
    それが、母さん悲しくてしょうがないよ。 (本書237ページ)


 私は今まで「見下げる」とか「一段下に見る」とか、そんな言葉を使ったことがありませんでしたが、尖閣諸島の問題をネットで調べているうちに、JPpressの2010年の記事に「見下す」という言葉を見つけ、「これからの日本と中国の関係はまさにこの“お互いを見下す大人げない関係”という表現がピッタシ、そんな関係になるのでは」と思ったのでした。

 その記事は、『中国の新ナショナリズム』という本を書いたオクラホマ大学政治学准教授のピーター・グリースさんへのインタビューです。タイトルは「お互いを見下す日本と中国の大人げない関係 米国が恐れる「第二、第三の衝突」の必然」です。http://diamond.jp/articles/-/9614

 今日19日の新聞には「都、週内にも尖閣上陸申請」という4段見出しの記事が載っていました。やがてまもなく自衛隊が駐留し、いろんな施設ができ、きっと韓国が竹島を実効支配しているような状況が出現し、日本人の尖閣諸島国境警備の観光と釣魚のツアーなんていうのが企画されたりするのではないでしょうか。


 そういえば7月17日のJPpress記事に富士通総研経済研究所主席研究員柯 隆さんの「日中の蜜月時代はなぜ終わったのか 尖閣問題の解決を「国力」に任せてはいけな」があり、その翌日には産経新聞ワシントン駐在編集特別委員兼論説委員・国際問題評論家の古森義久さんの「中国の辞書に「妥協」「譲歩」という文字はない「永遠の摩擦」を覚悟するしかない領有権問題」という記事が載っていました。

 柯 隆さんの記事は以下のように結ばれていました。
     中国の数千年の歴史を振り返ると、国土面積の伸縮はその国力の強 弱と完全に合致する。中国に限
    らず、世界で国力の弱い国が国土を拡張するというのは聞いたことがない。反対に、国力の強い国が国
    土を縮小させることもない。
     領土・領海の所有権問題の解決を完全に国力に任せると、悲惨な結果となる。せめて日中は問題を棚
    上げし、共同開発など戦争をしない解決法を今から模索すべきである。
      http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35664

 古森義久さんの記事の結びは以下のとおりです。
     中国の南シナ海や東シナ海での領有権主張は、国際調停は不可能である。多国間の交渉も中国は断
    固として排する。たとえ2国間交渉でも中国は譲歩しない。そして相手が弱いと見ると軍事力を使って「解
    決」を図る。そうなると、相手国にとっては中国の主張に全面的に屈しない限り、紛争はどこまでも続くこと
    になる。
     米海軍大学校の「中国海洋研究所」のピーター・ダットン所長は中国の紛争相手国にとってのこの状況
    を「永遠の摩擦(パーマネントフリクション)」と表現した。紛争は永遠に続くということなのだ。
     だから日本にとっても尖閣諸島への中国の領有権主張は「永遠の摩擦」として覚悟し、毅然と対応する
    方途しかないのである。それがいやなら、中国の要求に屈するほかない。
     日本側がいくら「中国を刺激しない」という消極姿勢や妥協姿勢をとってみても、中国は譲歩はしてこな
    い。日本の主張を半分、入れて妥協することも決してない。足して2で割るという譲歩はないのである。
     だから日本は尖閣諸島という貴重な日本固有の領土を手放すという売国行為へと踏み切らない限り、
    国との「永遠の摩擦」に耐えねばならないのだhttp://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35682

 お二人の記事へのコメントを読んでみるとさんのは反論が多く、古森さんのは賛同する意見がまだ二つほどでした。

 ただ、古森さんの示される尖閣諸島領有権問題の解決策はというと、「「永遠の摩擦」として覚悟し、毅然と対応する方途しかない」「中国との「永遠の摩擦」に耐えねばならない」という我慢比べで、そんなことが日中間に“永遠”につづくとしたら、日本列島に住む身としてはなんともしんどい話ですね。

             (そういえばイギリスとアルゼンチンとの間でフオークランド紛争というのがあった。中国が
              日本を完全に見下したらあんなことが起こるかも知れない。でもその前にあの国は四分
              五裂するから、それまでの辛抱 そう考える楽天ネズミ)
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by damao36 | 2012-07-21 19:56 | 政治 | Comments(0)

台湾の「中華民国地図」には日本国との境界線がない。どうして?

 東京比例選出の衆議院議員中津川博郷氏が民主党を離党しました。理由は「尖閣諸島の国有化に反対した丹羽宇一郎中国大使を更迭しない政府の弱腰外交への抗議」と「この不景気下での消費増税に反対」だからだそうです。

 この方どんな政治家かと中津川氏のブログを覗いてみたら、「政界屈指の台湾通」と自称されていました。
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                   写真は7月9日 減税日本東京事務所開設パーティー。小沢氏右後列が中津川議員。

 6月7日のブログ記事は「中津川の尊敬する李登輝台湾元総統が、中国の学生に『尖閣は日本領』と説明。李登輝先生、ありがとうございます」で、李登輝氏とのツウー・ショットの写真もありました。

 6月8日の記事は「丹羽駐中国大使を即、クビに(更迭)しろ。『日本は変わった国』『中国へのODAを続けるべき』など、日本の国益を無視した発言の連続」でした。



 ところで、台湾の尖閣諸島に関する見解は李登輝元総統の言と同じなのでしょうか。

 2007年チベット問題が大きな話題となったときに、「チベットはいつから中国領土になったのか」という疑問で調べていたら、台湾で発行されている「中華民国地図」なるものが見つかりました。

 今日もWikipediaの「台湾」記事を検索したら、やっぱり同じ地図でした。
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 その「台湾」の記事に中華民国と沖縄との関係が書かれております。参考までに引用しておきます。
       沖縄県への認識 [編集]
       中華民国では、沖縄県地域を「琉球」と称することがある。琉球はかつて明朝や清朝の冊封国であ
      り、又、沖縄がアメリカ合衆国から日本国に編入されたことが中華民国政府との協議を経ずに進めら
      れたことを中華民国側は不満としていたとも言われるが、現在では中華民国側は、沖縄県地域に対す
      る日本の主権を否定していない[1]。しかし、例えば桃園国際空港の那覇行き便の行き先表示は「琉
      球」である。ちなみに香港から那覇行き便の行き先表示は「琉球島」となっている。


 
 そういえばこの地図、台湾と日本の国境線が書かれていません。台湾と言っても、日本の統治下での教育を受けた李登輝元総統ら内省組と大陸から移動してきた馬英九現総統ら外省組とでは、領土に対する意見も真逆なのではないでしょうか。


 それにしてもモンゴルまでが「中華民国」だというのはすごいですね。どうみても中国大陸よりもベトナムやフィリピンの目の前にある南沙諸島なども、この地図ではしっかり「中華民国」領になっています。


     
      
     (たった1週間の戦いでロシアは北方四島を今なお占有している。蒋介石がもっとしっかり中国を統一
      していたら、沖縄は中華民国領になっていたはず。私が中国人だったらそうも考える “”日 ネズミ) 


≪追加≫
尖閣問題で中国の9割以上が「武力行使」を支持 中台世論調査(産経新聞 2012.7.19 21:24 )
 【台北=吉村剛史】日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化方針に対し、中国市民の91%が「武力行使」も支持すると回答していたことが19日、中台メディアの合同調査で明らかになった。尖閣問題に「関心がある」と回答したのも中国の81%に対し、台湾は46%で、中国世論の強硬さが際立つ結果となった。

 台湾の保守系有力紙、中国時報が、中国の有力紙、環球時報との「初の両岸(中台)共同世論調査」として同日付で報じた。調査は電話で16、17日に実施。中台それぞれが計約1500人の回答を得た。

 その結果、尖閣諸島の主権問題に「関心がある」と回答したのは中国で80・8%だったのに対し、台湾では46・3%だった。武力行使については、「支持」が中国で90・8%だったのに対し、台湾では41・2%と温度差がみられた。

 台湾は尖閣諸島への主権を主張しつつも中国とは連携しないとしてきたが、「中台連携」に関しては、中国では85・3%が支持、台湾でも51・5%と過半数が容認する考えを示した。中台連携に関しては、南沙(英語名スプラトリー)諸島の問題が微妙に作用した可能性もある。
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by damao36 | 2012-07-20 20:12 | 政治 | Comments(0)

『黄河の疾風』―どうして、日本人は中国人を一段下に見るのか

 若いころは小説も読む方でしたが、しだいに読まなくなってきました。それでもせめて芥川賞くらいはと、つとめて『文芸春秋』を手にするようにはしています。しかし、ほとんどの場合が私にはつまらなく、時間のムダ、そんな感想ばかりでした。

 ところで、先日囲碁で立ち寄った公民館の図書室で、『黄土の疾風』(深川律夫著)というタイトルが偶然目に入りました。もう10年ほど前になりますが、植林ボランテイアで西安から飛行機で延安に向かい、そのとき上空から眺めた黄土高原の異様さを思い出し、どんなことが書かれているのか読んでみようという気になりました。

 その内容、「BOOK」データでは以下のように紹介されています。
      日中両国の農業の危機を克服するため、投資ファンドを設立し黄土高原で村興しを始めた大塚草児。
     一方、草児の後見人、宮崎善幸が社長を務める総合飲料メーカー・六甲酒造は、欧州穀物メジャー・オ
     レンジサントの乗っ取りの標的となっていた。村興しの成否は?乗っ取りは回避できるか?日中の架け橋と
     なる壮大な物語。第3回城山三郎経済小説大賞受賞作。

 作者は大阪外大で中国語を専攻し、上海復旦大学に留学。いまはみづほコーポレーションの銀行マンで、上海支店にも勤務された方だそうです。その前作は『連戦連敗』という作品で、第2回城山三郎経済小説大賞は逃したものの、評価は高く、中国ビジネスを描いた力作として角川文庫にも収録されているそうです。

 中国というと、今年は国交回復40周年にもかかわらず、尖閣諸島の問題などもあって、日本人の中国に対する印象は過去最悪なんだそうです。
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                   言論NPOが6月20日に発表した「第8回日中共同世論調査結果」。この結果84.39%
                        は過去最悪とのこと。中国側の64.5%という結果は過去最悪だった前回65点9%より
                        は若干改善しているとのこと。


 でも、この作品に登場する主人公大塚草児は「日中両国の農業の危機を克服するため、投資ファンドを設立し黄土高原で村興しを始めた」人物です。その大塚草児をバックアップしている六甲酒造の宮崎善幸社長やその兄で外務大臣まで務めた衆議院議員の志村泰蔵兄弟も、媚中派と言われながらもいち早く中国での企業を展開する親中派です。どうしてそのような親中国の生き方をするのか。それは草児の亡き母親ハルが15歳のときに幼い泰蔵・善幸二人の兄弟の世話をしながら引き揚げてきたことと無縁ではなかったのです。

 ちょうど真ん中の第6章は「母の手紙」というタイトルです。そこにはガンで亡くなる前に息子の草児に書き残した母の手紙がつづられていています。私はその手紙を読みながらつい年甲斐もなくこみあげてくるものを抑えることができませんでした。私もまた、8年ほど後の引揚ではありますが、16歳で日本に戻ってきた者だからかも知れません。

 作品の詳しい内容は読んでもらう事として、ここで私がなるほどと心打たれた箇所を一つだけ引用しておきます。それは母の手紙の中に書かれていた以下のくだりです。

     せっかく、中国と仲良くなったと思ったのに、日本人の心は戦前と変わらないよ……。母さん、おまえに
    何も教えてやれなかったけど、これだけは覚えておいておくれ。母さん、あまり本は読まなかったけど、岡
    部伊都子さんの随筆だけは好きでよく読んだのよ。岡部さんの言葉は、なぜか母さんの心にしみてくる感
    じがしたのです。その岡部伊都子さんの言葉に、こんなのがあるの。
    「私はどんなに立派な立場の人であっても、他を見下げる人を尊敬することができません。」
     母さん、その通りだと思う。そして、日本人を思う。どうして、日本人は中国人を一段下に見るのかねえ。
    それが、母さん悲しくてしょうがないよ。(本書237ページ)


 こんなふうに感じる日本人もいるのですね。私もまたそんなふうに思ってきた数少ない一人でした。


 北京オリンピックの始まる前、わが国ネットでは中国バッシングが花盛りでした。オリンピックが終わったら、上海万博が終わったら、中国は崩壊する、そんなことが言われていました。そうなるかもしれない、そうならないかもしれない。そんな迷いから私もこのブログでだんだん政治問題に深入りしてしまいました。

 この小説の主人公たちの心の中に流れている名曲があります。それはショパンのノクターン嬰ハ短調です。クラシックにもうといわたくし、ネットで初めて聞いてみました。心に響くいい音楽だと思いました。また、平原綾香のノクターンという曲もこの人たちの大好きな曲だというので聴いてみました。
  http://www.youtube.com/watch?v=eRqURo6FugAショパンのノクターン嬰ハ短調
  http://www.youtube.com/watch?v=EHx_bz-AKuw平原綾香のノクターン



 人間はどこに住んでいても同じなんです。なにがしかの悲しみを抱いて懸命に生きているのです。だれ一人だれかを見下げて平然とできる、そんな存在の人間はいない。このふたつの曲を聴きながらそう思ったのでした。

                   
                    (一等国民から小日本に転落した屈辱経験をもつ 屈折した“中国迷”のネズミ)
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by damao36 | 2012-07-16 15:04 | 中国 | Comments(0)