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179ー名詞述語文―N文

 英語には名詞述語文というのはありませんが,中国語は日本語と同じで述語が名詞で構成されている文があります。

 日本語の場合は「~は~である」という「主格+動詞+判定詞(「~である ~だ ~です ~でしょう」など)の文型で,「は」「である」などの助詞や判定詞がつき,名詞ばかりではありません。中国語の場合は完全に名詞だけを並べた文が主になります。

 日本語の名詞述語文の典型は「AはBである/だ/です」の構文です。文末の「~である」は補助的用言(<助動詞+補助動詞>),「~だ」は断定の助動詞,「~です」は丁寧な断定の助動詞で,動詞はありません。ところが,この文を中国語に訳して“A是B”としてしまうと,中国語の判定詞“是”はりっぱな動詞ですから,動詞述語文になってしまいます。(§9-1 「“是”―中国語のbe動詞」参照)

 中国語名詞述語文の典型例は二つの名詞AとB(それ以上もありますが)を並べた,“A・B”という構文になります。

 ところで,ある事柄Aについての未知の情報を一つの名詞Bをいうことで,必要十分な情報となる話題というのはどのようなものなのでしょうか。

 中国語の名詞述語文の解説では,「時間・日付・天候、年齢・職業・出身地、金額・数量・人柄」などについて尋ねたり,答えたりするときに用いると書かれています。まさにそのとおりです。ただ,上記の「」内を暗記しようとするのはいかがなものでしょうか。

 「ある事柄Aについての未知の情報を一つの名詞Bをいうことで,必要十分な情報となる話題」のときに用いられるのだと理解しておけば,自然にそれは時間・日付・天候、年齢・職業・出身地、金額・数量・人柄などの話題だったということになるのではないでしょうか。

 なお,未知情報のBは単純化して説明するために名詞だと書きましたが,名詞以外の品詞である代詞(代詞の中の指示代詞など名詞性の代詞),数詞,数量詞(数量詞連語),“的”連語がきます。(日本語では代名詞も数詞も量詞もみな名詞とみなしていますが,中国語の代詞,数詞,量詞えぞれ独立した品詞です。)

それでは日本語と中国語の名詞述語文の構造を見てみることにします。

(日本語)  今 何時ですか。    今   6時です。 
       (主語)   (述語=名詞+助動詞)            (主語)       (述語=名詞+助動詞)       
         Xiànzài   jǐ diǎn。            Xiànzài  liù diǎn。
(中国語) 现在   几 点。      现在 6 点。 
       (主  語)      (述語=名詞)              (主語)     (述語=名詞)
(英 語)  What time  is it?   It is six (now). 
        (補           語)     (動詞)  (主語)     (主語) (動詞)  (補語)  (副詞)

 日本語の「いま6時です。」は中国語では“现在6点。”となります。語順も同じで,ともに名詞述語文です。違うところはというと,日本語の述語「6時です」は<名詞+丁寧な断定の助動詞>と判定詞ともいわれる助動詞の助けがあるという点です。中国語はこうした付属語の助けを必要としません。(日本語の「今」,中国語の“现在”,異説もありそうですが,主語としておきます。)

 英語の場合には時間語は主語になることができません。ダミー主語“it”がどうしても必要になります。現在形でいっているのですから,時間語の“now”は必要ではありません。もし入れるとしたら,おまけの副詞として最後になります。述語はbe動詞ですから,動詞述語文です。


 それではこのN型群だけの会話例文を挙げておきます。

1 现在中午吗? Is it noon?(今お昼ですか。)
  已经中午了。 It’s past noon already.(もうお昼ですよ。)
2 今天几月几号? Whate is the date today? (今日は何月何日ですか。)
  今天十月一号。  Today is octhober first. (今日は10月1日です。)
3 昨天星期几? Whate day of the week is today?  (きのうは何曜日でしたか。)
  昨天星期四。Yesterday is Thursday.  (昨日は木曜日でした。)
4 你几岁? How old is your son? (君いくつ。)
  我八岁。 I am eight.  (八つです。)
5 王先生,你多大年纪了? Mr.Wang, how old are you? (王さん、おいくつですか。)
  我今年三十一岁。 I am thirty one year old. (今年31です。)
6 小姐,这个多少钱? Miss, how much is this? (おねえさん、これいくら。)
   两百二十块三毛。 Two handred twenty-three yuan. (2百20元30銭です。)


 上記の例文は,1が時間,2と3が日付,4と5が年齢,6と7が金額の例でした。以下に天候、職業、出身地、数量、人柄の例を挙げておきます。
<天 候>  今天晴天。  It is fain today.(今日はいい天気です。)
<職 業>  他驾驶员。 He is a driver.(彼は運転手です。)
<出身地> 他日本人。 He is Japanese. / He is from Japan.(彼は日本人です。)
<数 量>  我体重七十公斤。 My weight is 70 Kilogram.(私の体重は70キロです。)
<人 柄>  她慢性子。 Shi is a slowpoke.(彼女はのんびり屋だ。)
         他坏人。  He is bad person.(彼は悪人だ。)

 上記の例文はすべて“是”を補うことができます。また,上記の例文を否定形でいうとしたら,“不是”を補います。例えば「いま6時ではありません。7時です。」といいたいなら,“现在不是6点, 是7点。”というようになります。この場合は動詞“是”が使われているので,当然動詞述語文です。ということは,名詞述語文には否定形はないということです。


 中国語は英語同様配置の言葉です。ですから,名詞を二つ並べ,その意味関係を考えれと,その二つの語句の意味関係が推測されます。後に述べた語句が前に述べた語句の未知情報を補うものだとすると,そこに一つの意味をもつ情報伝達が成立します。

 こうして見ると,中国語の名詞述語文と言うのは,“A是B”という情報発信表現の動詞“是”を省略した言い方だと見ることができます。丁寧に,あるいは強調していうときには動詞“是” をいうことになります。(“是”だけでなく,“有”などを補う場合もあります。)

 日本語の場合も,いつも「AはBです」というとは限りません。例えば親しい間柄とか,急いでいるときたかに,「今何時」と聞き,「今6時」と答えることはよくあります。ただ,一音節語の多い中国語の場合は日本語に比べると省きやすいはずです。多音節語の日本語は省略する音節数が多いだけに,また文末で締める言葉ですから,「~は~です」を省くと,雑なもの言いという印象が強く感じられます。中国語は上記の「時間・日付・天候、年齢・職業・出身地、金額・数量・人柄」などについて会話では常套化され,雑なもの言いという印象はほとんどないものが多いようです。


 中国語の名詞述語文は“A是B”の“是”の省略形だと述べましたが,補うとしたらそれ以外の語の場合もあります。以下その例です。

1 我家五口人。 There are five people in my family.(わが家は5人家族です。)
2 一斤两百元。  W(1斤2百円です。)
3 白菜两斤, 萝卜三斤。W(白菜2斤,大根3斤。)
4 这药每天三次。  This medicine is to be in three separate dose every day.(この薬は毎日3回です。)

※ 1は“是”でもいいが,“有”でも通じます。2は売り手なら“卖”,買い手なら“买”。3は買い手で,“买”。
  4は“吃”,丁寧にいうと“这药每天分三次吃”。
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by damao36 | 2011-03-07 18:49 | 社会 | Comments(0)