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167 量詞(!)―予告の信号

 具体体的な事物や場面を挙げて相手に伝えるときに,数量を明らかにする必要がしばしばあります。そのとき日本語では「数量+数助詞+具体的な事物名」になります。中国語も同じで,この数助詞のことを中国語では「量词」(liàngcí)といいます。

 日本語の助数詞はもともと名詞としての独立性をもっていた語が接尾語(少数ながら接頭語もある)化したものです。しかし,日本語文法ではふつう独立した品詞としては数えず,名詞の一部として名詞に含ませています。しかし,中国語の場合は独立した品詞の一つに数え,しかも「単独で文法成分になれる」実詞に入れています。

 日本語の数助詞も200種類ほどあるそうですが,日本語の語り手のほとんどは数助詞への関心は低く,日ごろ使われているのも20語以内でしょうか。それに比べ日常的に使われている中国語の量詞は多く,細かいので,非中国語ネイテイブは意識的に学ぶ必要があります。

 それではなぜ中国語は量詞が複雑なのでしょうか。 

 それはどうも中国語の基本単語は単音節であるということと関係します。既述しましたが,中国語の音節数は1340ほどあり,日本語は104音節数ですから,その13倍にものぼっています。

 音節数が多いということは,短い発音で多くの事物や動作を表現できるということになります。人間社会の発達にともない,使用される語彙数は増えるわけですが,中国語は1音節の単語を2つ組み合わせることによって基本的にその語彙を増やしてきています。1音節語と1音節語の組み合わせは,計算上では100万音節数を超えるそうですから,2字の漢字熟語でほぼ十分というわけです。

 日本語は基本的に音節を並べることによって単語を形成しますが,中国語というのは基本的にほとんどの音節がある意味をもったりっぱな1語なのです。ですから,総じて中国語の表現は同じことを日本語で表現するのに比べると短い音節数ですむということになります。

 短い音節数ですむということは大変いいことなのですが,しかし,話し言葉としては聞き逃しやすいというマイナス点にもなります。場が共有されていなかったり,突然の場合であったりすると,短く発音される単語は長い発音の単語に比べ,やはり理解しがたいはずです。

 それを補う一つの方法が,中国語における量詞の発達で,量詞の役割について中国語学者の上野恵司さんは以下のような推論を述べています。

    車で見通しのよくない道路を走っている時,この先に交差点があるということを知らせるために予告信
   号が設けられていることがある。中国語の助数詞は   コミュニケーションにおける予告信号の役割を
   果たしていると考えていただくとよい。(中国情報局・コラムから)



 それでは中国語の量詞の種類を挙げておきます。(『中日辞典』より)

名量詞個体または集合体の物の数,長さや重さ、時間や金額などを示す語)
 a個体量詞  その事物の形の特徴などをとらえ,数を数えるときに使う語。
    一张桌子 一条路 一管毛笔
 b集合量詞   複数の物をひとまとまりにして数えるときに使う語。
   一对夫妻   一份饭   一副眼镜   一双鞋  一套西服
 c不定量詞   正確な数ではなく,大体の数を数えるときに使う語。
   一点儿心意  一些问题
 d容器量詞   容器に入れたものを1単位として数えるときに使う語。
   一碗米饭  一杯咖啡  一瓶啤酒  一桌菜  一车西
 e借用量詞   本来は身体部分や道具を表す名詞で,それを物の数量を表す名量詞として借用した語。

 f単位量詞   度量衡,時刻・時間,金額の単位を表す語。
   30公里 3点30分  3小时   3年  3千3百日元

動量詞  (動作の回数や分量を数えるときに使う語
 g専用動量詞 (動量詞専門に使われている語。「遍,场,次,顿,回,趟,下」など。
   数詞と組み合わせて動詞の後ろに置き,動作の回数や期間,分量を表す。動量詞専門に使われている
   語で,「遍,场,次,顿,回,趟,下」などである。
        说一遍  去一回   来一次  骂一顿   走一趟  看一下
 h借用動量詞 (本来は身体部分や道具を表す名詞を量詞として借用した語
   本来は身体部分や道具を表す名詞で,それを物の数量を表す動量詞として借用した語。
   看一眼   打一券   踢一脚   放一枪  咬了一口   切了一

      
 細かくは上記以外に「準量詞」(“1年”“两国”といった特殊な名詞),「複合量詞」(2つの量詞を組み合わせた語)という分類もありますが,省略します。
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by damao36 | 2010-10-17 12:12 | Comments(0)