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体感中国語120―再説・中国語の文型は結局いくつか(2)

私は動詞述語文の文型は7種類程度だと考えていましたのに、呂淑湘氏の『用語辞典』の分類では動詞述語文として16文型も挙げているので、どうして私は呂氏の半分も挙げられなかったのかについて、今回はまとめてみました。

私が考えた動詞述語文7種類に該当する文型・文例は前回紹介しましたので、今回は呂氏が挙げているその他の文型を紹介します。

⑥主語―状語―動詞―動詞客語―助詞その他            (我们明天开始播种小麦。)
⑧主語―状語―動詞―節―助詞その他                 (我们都认为这个办法很好。)
⑨主語―状語―数量客語―状語―動詞―数量客語―受事客語―数量客語―助詞その他
                                         (我以前学过一年英语。)
                                     (近来一天只上半天班。)
                                     (你再等我五分钟好吗?)

⑩主語―状語―数量客語―受事客語―数量客語―状語―動詞―数量客語―助詞その他
                                         (我们什么工作都认真干。)
                                     (我最近一次电影也没看。)
                                     (这个星期一次也没过来。)
                                     (我这三本书只看过一本。)

⑪主語―状語―“把”客語1―状語―動詞―客語―数量客語2―助詞その他
                                         (这孩子现在长得挺高了。)
                                     (他今天把屋里收拾得又整齐又干净。)

⑫主語―状語―“把”客語―状語―動詞―兼語―動詞2(形容詞・節)―助詞その他
                                          (大家一致选老王当组长。)
                                      (我现在把这支笔送给你用吧。)

⑬主語―状語―“被”(+名詞)―状語―動詞―受事客語―数量客語―助詞その他
                                          (衣服被露水浸透了。)
⑭場所(時間)―状語―動詞―名詞―助詞その他             (古代曾经有过这么一个勇士。)
⑮主語(場所)―状語―動詞(趨)―客語(物)―助詞その他      (胡同里忽然跑出一群小孩儿。)
⑯主語―状語―“把”客語―状語―動詞(趨・趨)―客語―(趨・趨)―助詞その他
                                          (他深深地爱上了音乐。)
                                      (你最好把这封信带去。)



⑥と⑧は文型②のが「動詞客語」か「節」、つまり英語の動名詞とか不定詞の名詞用法、名詞節みたいなものなので、広い意味でSVOの②文型に含めていいのではないでしょうか。(前回例文では⑥が欠番でしたので、ここを⑧とせず、⑥としました。)

⑨、⑩は「数量客語」、つまり数詞が動詞の前、動詞のすぐ後、客語の後にきたものをどうするかということです。動詞の前なら状語、後なら数量補語としたらいけないのでしょうか。ただ⑪文型は「受事客語」が動詞の前に来ているところが私の案にはなかったので、これはSOV型として新設すべきかもしれません。

⑪と⑫はいわゆる“把”構文で、目的語を“把”という取っ手でつかまえて無理に動詞の前に引きずってきた文型です。この“把”構文は介詞構文でもありますので、介詞構文はすべて状語であると私は理解していたので、特に取りあげませんでした。日本語文法でも「ヲ格」、「二格」は連用修飾語に当たり、連用修飾語は中国語では状語、英語では副詞句・節と理解しているのでしたが、これは誤りで、“把”構文は賓語(客語・目的語)ととり、SOV型とか、SOVO型とかなるものを認めるべきなのでしょうか。なお、⑫はいわゆる兼語文です。

⑬は受身文です。”被“はふつう動詞としていますので、私は受身文は連動文でもあるSVOVO型にしています。呂氏は”被“を介詞とでもとったのでしょうか。

⑭はいわゆる存現文、“有”構文です。英語の“there is”構文です。文頭の場所(時間)詞を主語とすべきか、動詞の後の名詞を主語とすべきか、説が分かれているとのことですので、私は面倒なので後者の説をとって倒置としております。

⑮と⑯の動詞は①とあわせて「趨向動詞」が加わる文型です。「趨向動詞」とはあまり耳にしない用語ですが、体感「50」で取り上げた方向動詞のことでしょう。

”“”“““”“”“”“”“”“”“”とその組み合わせである“上来上去”、“下来下去”、“进来进去”、“出来出去”、“回来回去”、“过来过去”、“开来开去”、“起来”といった語を指します。私はこれは方向補語になると考えましたので、特に文型としては設定しませんでした。


さて、結局中国語の文型、一体いくつになるのでしょうか。 (増えたとしても1つくらいで、私の試案でいいのではないでしょうか。)
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by damao36 | 2008-11-24 13:43 | 中国語 | Comments(0)

体感中国語119―再説・中国語の文型は結局いくつなのか(1)

私は体感22「中国語の文型はいくつ」で中国語の文型を以下のようにまとめました。

Ⅰ 動詞述語文    ①S+V
              ②S+V+O
              ③S+V+O+O
              ④S+V+C
              ⑤S+V+O+C
              ⑥S+V+C+O
              ⑦S+V+O+V+O   

Ⅱ 名詞述語文    ⑧S+N

Ⅲ 形容詞述語文   ⑨S+A             
               ⑩S+A+C
               ⑪S+V+O+A

Ⅳ 主述述語文     ⑫S+P(S+A)

                (Nは名詞、Aは形容詞、Pは述語の記号です。)

ところで呂叔湘主編の『中国語文法用例辞典』(原題『现代汉语八百』日本語版)には、巻頭に「現代中国語文法概説」というのがあり、「動詞述語文型表」というのがついていました。それによると、呂氏の分類では動詞述語文だけでなんと16文型もあり、びっくりでした。

どうしてそんなに違いがでたのか、私のどこが誤りなのかなどはおいおい整理することにし、まずは呂氏の文法成分にかかわる用語についてみてみることにします。

呂氏は以下のような用語を使って文型を分類していました。私の動詞述語文文型に該当する文型をピックアップしてみました。

① 主語―状語―動詞(+趨)―助詞その他                (咱们就走回去吧!
②主語―状語―動詞―受事客語―助詞その他             (你学过英语吗。
                                           (这已经成为制度。)
  主語―状語―動詞―非受事客語―助詞その他            (你明天去上海吗?
③主語―状語―動詞―客語1―客語2―助詞その他          (张老师一千教过我们数学。
④主語―状語―動詞(+得)―補語―助詞その他             (这孩子现在长得挺高了。
⑤主語―状語―動詞(+得)―客語―補語―助詞その他         (他一句话说得大家都乐了。)
⑦主語―状語―動詞―客語状語―動詞―客語―助詞その他    (我已经打电话通知工厂了。
       (動  詞  句 1)   (動  詞  句 2)


ここでまず私がはじめて目にした文法用語は「受事客語」と「非受事客語」の二つでした。「客語」というのは私が用いる「賓語」と同じで、「目的語」のことだということは知っていましたが、「受事~」という語と連なっているのははじめて見ました。でも、ついこの前、ホンコンで購入した台湾出版の『我的第一本 文法書』(國際學村)に「目的語」のことを「受詞」と書いていたのを見て、そんな言い方もあるのかとびっくりしたばかりでしたから、「目的語」というのを「ある動作を受けとる言葉」と受け取る解釈が中国語では成り立つのかなあと思いました。

「受事客語」はすぐ理解できましたが、「非受事客語」はいまもまだ理解できないでいます。英語の「補語」のことかと思いましたが、例文からみるとどうも自動詞の後に来る名詞のようで、どうして特に区別する必要があるのか、よくわかりません。英語の補語に該当する名詞はどうなっているのか、この二つのどちらに入るのでしょうか。

中国語の補語については、私の文型案ではと表記していますが、近頃は述語の一部にした方がいいのではないのか、一層のこと削除しようかと思っていたのでしたが、呂氏の書にも補語というのもあったのでそのままにし、のある④、⑤の例を挙げておきました。しかし、⑥に該当する例がなぜかありませんでした。私がないのをあるとしたのか、それとも呂氏が書き忘れたのか、今後の検討課題です。


ところで、私は「呂氏の分類では動詞述語文だけでなんと16文型もあり、びっくりでした」とはじめに書きましたが、それは動詞述語文の文型は7種類程度だと私は思っていたからでした。

私はどうして呂氏の半分も挙げられなかったのでしょうか。その報告は次回でいたしましょう。
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by damao36 | 2008-11-23 20:53 | 中国語 | Comments(0)

体感中国語118―疑問詞についての疑問(3)

私は「体感115」で、疑問詞についての疑問として以下のようなことを挙げました。

疑問に思うのは、中国語の疑問代詞という用語を日本語でよく見る疑問代名詞という語に置き換えていいのか、ということです。「怎么」があるので、置き換えるべきではない、疑問代詞は日本語の疑問詞というのに似た言い方で、正確にいうなら「谁」、「哪儿」、「什么」は疑問代名詞で、「怎么」は疑問副詞と英語のようにいうべきだということです。


ところが今日、昔買っておいて放置していた王力氏の『中国語法理論』(中華書局出版 1955年版)を眺めていたら、その答えが書かれていました。

代詞的定義及其範圍――英文的Pronouns譯成中文、該是「代名詞」。現在我們用「代詞」這個名稱、不用「代名詞」、因為我們想把它的範圍推廣些。普通對於「代名詞」的定義:「凡詞用以替代名詞者叫做代名詞」;而我們對於「代詞」的定義是:「凡詞能替代實詞者叫代詞」。。((『中国語法理論。』下冊 1頁)

(訳)代詞の定義とその範圍――英文のPronounsを中国語に訳すなら「代名詞」である。しかし、いま私たちは「代詞」という名称を用い、「代名詞」とはいわない。なぜかというと、私たちはその範囲をすこしばかり広げて用いているからである。「代名詞」の定義といえば「名詞にとって代わるもの」のことであるが、私たちが用いる「代詞」を定義するなら、それは「実詞にとって代われるもの」といういいである。


これで疑問代名詞と疑問代詞はイコールではないということがはっきりし、私の疑問点の一つが氷解しました。

ところで「代詞」には人称代詞、指示代詞、それに疑問代詞の3つがあるといわれています。

人称代詞は「ある人物にとって代わるもの」、指示代詞は「事物にとって代わるもの」と考えて別に矛盾は感じないのですが、疑問代詞は一体「何にとって代わるもの」なのでしょうか。

これについても王力氏の著書に解答がありました。

疑問代詞所代的是什麼?――疑問代詞既是表示疑問、還能替代什麼呢?嚴格地說、疑問代詞并不是一種代詞、它只是一種「求代詞」;它要求對話人把名詞代詞等等去替換說話人的「誰」「什麼」等等。(60頁)

(訳)疑問代詞は何の代わりなのか――疑問代詞は疑問を表す以外に、さらに何の代わりをしているのだろうか。厳密に言うと疑問代詞は何かの代わりをする語などではなく、単に「代詞を求めている」語に過ぎないのである。相手が名詞や代詞などで話者の「だれが」「なにが」などの疑問に答えることを求めている語なのである。


これでまたもう一つ疑問が氷解しました。


≪参考≫
王力氏については下記のサイトをご覧ください。
http://www.guoxue.com/master/wangli/wangli.htm

王力氏はロンドン留学中にデンマークの言語学者オットー・イェスペルセンに傾倒し、上記の書を書こうとしたとのことです。このイェスペルセンの著書『文法の原理』(安藤貞雄訳 上。中・下)という書が、2006年岩波文庫版として出版されているとのことです。

私にはもう手遅れですが、イェスペルセンの『文法の原理』を読み、、呉淑湘や王力の書をじっくり読むことができたら、もっとまともな”中国語文法論”が書けるのでしょうね。
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by damao36 | 2008-11-23 15:18 | 中国語 | Comments(2)

体感中国語117―中国語の品詞は結局いくつか

中国語言学会会長をも務めた呂叔湘(1904~1998)主編の『现代汉语八百』を日本語版にした『中国語文法用例辞典』(牛島徳二主編 東方書店)を購入しました。これまでは私には専門すぎて、“ブタに真珠”と敬遠していたのですが、自分なりに中国語の文法を考えてきたので、こうした専門書で検討するのも必要と考え、購入することにしました。

さて、今まで私が書いてきた内容と比べてみると、いろいろと修正したり、書き換えたりしなければならないことが出ているようです。またなかなか理解できないこともあります。

今回はまず品詞について比べることにします。

これまで私は『现代汉语词典』によって品詞を以下のように12種類に区分してきました。

1名詞、2動詞、3形容詞、4数詞、5量詞、6代詞、7副詞、8介詞、9連詞、10助詞、11感嘆詞、12擬声詞

現在日本で出版されている多くの文法書や辞典ではもう1つ助動詞という項がありますが、英語は助動詞という独立した品詞を立てていない、倉石武四郎の『岩波中国語辞典』も助動詞の項はないということもあって、私は『现代汉语词典』にならっていまのところ助動詞は動詞の一部としております。


ところで、呂氏の『用例辞典』はどうなのでしょうか。

見出しの品詞は以下の12種類です。
1名詞、2量詞 3指示詞、4代詞、5数詞、6動詞、7助動詞、8動詞、9副詞、10介詞、11接続詞、12助詞

でも、「第2節 品詞」で挙げられている品詞名は以下の13種類です。
1名詞、2方位詞 3数詞、4量詞、5指示代詞、6動詞、7形容詞、8副詞、9介詞、10接続詞、11助詞、12感嘆詞、13擬声・擬態語

見出しに方位詞と感嘆詞、擬声・擬態語の3品詞がないのは、『用語辞典』にそうした語彙は取り上げていないからです。

見出しには指示詞と助動詞があるのに、「第2節」では指示詞と代詞が指示代詞に、動詞と助動詞が動詞にまとめられてしまっています。どうして見出しでは分けているのに、品詞としてはまとめてしまうのか、これは私にははなはは疑問で、今後の課題です。


それではこの『用語辞典』の品詞区分と私がよりどころにしている『现代汉语词典』との区分を比べてみることにします。

「指示代詞」と「代詞」、「擬声・擬態語」と「擬声語」は呼称の違いに過ぎないでしょう。「連詞」を「接続詞」としているのはきっと訳語による違いです。ただ、「方位詞」というのが一つ増えています。この「方位詞」というのは体感51「方向詞、そして場所詞」でふれた「方向詞」と同じです。”东・南・西・北“、“左・右”、“上・下”、“里・外”、“前・后”といった語で、多くの書は名詞に数えていますが、ふつうの名詞とは違うところがあるので、きっと微妙なのでしょう。


(品詞名の呼称は各書によって違っていることはよく見られることです。例えば介詞を前置詞、連詞を接続詞、感嘆詞を間投詞、擬声・擬態語を擬声語または擬音語などです。)
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by damao36 | 2008-11-23 08:01 | 中国語文法 | Comments(0)

体感中国語116―疑問詞についての疑問(2)

英語の「when」、「where」は疑問副詞なのに、日本語の「いつ」、「どこ」は疑問代名詞、中国語の「什么时候」、「哪儿」は疑問代詞となるのはなぜなのでしょうか。以下の例文で考えてみました。


1 いつ行きますか。        明日行きます。
  什么时候去?         明天去。
  When will you go?     I ‘ll go tomorrow.

2 どこに住んでいますか。    上海に住んでいます。
  住在哪儿?          我住在上海。
  Where are you living?   I am living in Shanghai.


まず私にとっては理解がすっきりする英語から説明します。

1の「when」は疑問副詞、それに該当する「tomorrow」は名詞ではなく副詞でしょう。動詞「go」を後ろから限定しているからです。

2の「where」も疑問副詞、それに該当する平叙文の「in Shanghai」は「前置詞+名詞」ですが、文法成分としてはやはり動詞句「am living」を限定している副詞句。ですから、これも広い意味の副詞でしょう。


日本語はどうでしょうか。

1の「いつ」も2の「どこ」もなぜか副詞ではなく、代名詞です。「いつも行く」とか「どこがいいの」とか、格助詞が付くからなのでしょうか。

いつ」、「どこ」に該当する「明日」と「上海に」はどうなのでしょうか。

1の「明日」は動詞「行く」を限定しているので、英語のように副詞といってもいいのに、名詞です。「明日がいい」とか「明日は天気だ」とか、やはり格助詞や係助詞が付くからでしょうか。主語ともとれるからでしょうか。でも、英語だって「Tomorrow is another day.」なんていう時の「Tomorrow」は名詞です。だから、格助詞が付くときは名詞とすればいいのに、なぜそうはいわないのか、やはり疑問です。

2の「上海に」は「名詞+場所の格助詞」で、ここは連用修飾語です。連用修飾語は英語の副詞句・節に当たるので、ここは英語と同じと見ていいでしょう。


中国語はどうなのでしょうか。

1の「什么时候」は「疑問代詞+名詞」の連語でした。2の「哪儿」は疑問代詞です。まあ、この2語、広義の疑問代詞でしょう。でも、なぜ英語のように副詞でないのでしょうか。日本語と同じで、主語ともとれるからなのでしょうか。

什么时候」に該当する「明天」は日本語と同じく名詞です。「哪儿」に該当する「上海」は補語動詞「」の後につづくので賓語です。賓語になれるのは名詞です。だから、これは名詞です。


私の疑問の解明、今はここまでで、結局完全な氷解とはいえません。もう一つの疑問、どうして英語と中国語は代名詞や代詞が独立した品詞なのか、これもまた私の中ではフリーズしたままです。
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by damao36 | 2008-11-18 12:25 | 中国語文法 | Comments(0)

体感中国語115―疑問詞についての疑問

文章の書き方というのに5W1Hというのがあります。

だれが  いつ  どこで  なにを  どのように  ○○する。       なぜなら。
Who   when  where  what    how      ?          Why ~?
(主 語)    (連     用     修     飾     語)     (述 語) 

英語の「who when where what why」の5つのwと「how」の頭文字hです。


上は日本語の語順で並べましたが、中国語の語順なら以下のようになるでしょう。

谁  什么时候  (在)哪儿  <怎么>   做   <怎么>   什么?      为什么?
だれが いつ     どこで    どのように  ○○する  どのように   なにを        なぜなら。
(主語)  (状            語)   (述                    語)    (賓 語)。
                          (副 詞 + 動詞/形容詞 + 補 語)



ならば、英語の語順はこうでしょうか。

Who      what   how   where   when ?      Why ~?
だれが  ○○する なにを どのように どこで   いつ。        なぜなら。
(主語) (述語・動詞) (目的語) (副        詞        節)  

  
ところで、英語は日本語や中国語と決定的に違うところがあります。それは日本語と中国語は疑問の個所が主語であればその位置が「だれ/」に、動作の対象ならその位置が「なにを/什么」になる、つまり、疑問文も平叙文と同じ語順です。しかし、英語は必ずこうした疑問の個所は文頭に来るということです。



さて、私がいまいちこの疑問詞について疑問に思うことがあります。

一つは日中英のこうした疑問詞の品詞が必ずしも一致してないのはなぜか、ということです。

日本語の「だれ いつ どこ なに どのように なぜなら」をふつう疑問詞と呼んでいます。でも疑問詞というのは品詞名にはありませんから、文法的なはたらきから品詞名を決めるとしたらどうなるのでしょうか。私は「だれ」、「なに」、「いつ」、「どこ」は名詞で、疑問代名詞と呼んでいいと考えました。「どのように」は厄介で、「連体詞+名詞+断定助動詞連用形」という連語、「なぜ」は副詞と考えました。この「なぜ」が「なぜならば」となれば、接続詞とするべきでしょう。


中国語はどうなのでしょうか。辞書で調べると「」、「哪儿」、「什么」、「怎么」は疑問代詞とあります。「什么时候」は「疑問代詞+名詞」、「为什么」は「動詞+疑問代詞」といずれも連語ととっているようです。 疑問に思うのは、中国語の疑問代詞という用語を日本語でよく見る疑問代名詞という語に置き換えていいのか、ということです。「怎么」があるので、置き換えるべきではない、疑問代詞は日本語の疑問詞というのに似た言い方で、正確にいうなら「」、「哪儿」、「什么」は疑問代名詞で、「怎么」は疑問副詞と英語のようにいうべきだということです。


英語を見ると、「who」と「what」は疑問代名詞で、「where」、「when」、「why」は疑問副詞とあります。「how」は単に副詞と示されています。ここで疑問なのは日本語の「いつ」、「どこ」は名詞で、中国語の「什么时候」は「疑問代詞+名詞」の連語、「哪儿」は疑問代詞(疑問代名詞)で、いずれも名詞性の語なのに、英語の「where」、「when」は疑問副詞だということです。これはどうしてなのでしょうか。



もう一つ疑問に思うことがあります。

それは日本語は正式には代名詞という独立した品詞はなく、名詞の一種です。なのに中国語と英語は独立した品詞に数えられています。どうしてなのでしょうか。
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by damao36 | 2008-11-16 21:45 | 中国語 | Comments(0)

体感中国語113―人称代名詞、日英中の違い

法政大学教授の王敏さんの新著『日本と中国―相互誤解の構造』(中公新書、2008)を読んでいたら、中国人による日本文化研究の嚆矢である周作人(1885-1987)が夏目漱石『吾輩は猫である』についての評論で、こんなことを述べているといって、以下の一文を紹介されていました。

 中国語では『吾是猫』とするしかなく、英語では『I am a cat』と訳しているから間違いとはいえぬけれど、しかし原文の面影がだいぶ損なわれていることはあらそえない。
 夏目の猫がもしOre wa neko jaといったとすれば、車夫の家あたりのクロみたいになるし、Watashi wa neko de gozaimasu なら、さしずめ三弦の師匠のところのミケといったところだろう。(中略)一言で教師苦沙弥家の名無しの猫君の鼻息が歴然とあらわれてくるから妙である。(中略)英語でも中国語でも、こういう微妙な口振りを伝えることができない。(『日本談義集』所収の小論「吾輩は猫である」平凡社東洋文庫、二〇〇三年)


周作人さんは魯迅の4歳年下の弟で、1906年から5年余り、日本に留学した方だそうです。周作人さんは、一人称代名詞とその述語の文末表現の違いによって、話題の背景の微妙な違いを表現する日本語に「妙である」と驚いているのです。私たちにとっては当たり前のことでも、一人称代名詞はほとんど「我」だけですむ中国語のネイティブにとっては驚きなのでしょう。人称代名詞の少ない英語のネイティブもきっと同感に違いありません。


それでは中国語の人称代名詞とはどのようなものか、まとめてみます。

第一人称                   (複数)我们wǒmen    咱们zánmen
          I  my  me  mine        we  our  us  ours

第二人称          nín(敬称)     你们nǐmen
          You  your  you  yours    you  your  you  yours

第三人称               他们tāmen  她们tāmen  它们tāmen
          He  his  him  his         they  their  them  theirs
          She  her  her  hers


人称疑問詞    shéi(shuí)
          who whose whom

中国語の人称代名詞、これだけ知っていれば十分です。英語は主格、所有格、目的格、それに所有代名詞と中国語よりは多いですが、日本語のように相手によって人称を代えないと礼を欠くということはなく、そういう点では中国語と英語は似ているといえましょう。

なお、中国語では主格と目的格は同形で、所有格、所有代名詞は人称代名詞に構造助詞の「~的de」をつけて定語(日本語の連体修飾語、英語の形容詞節)を作ります。ただ、ちょっと注意が必要なことは、この「~」、いつも必要というわけでなく、緊密に結びついて熟語化している場合人称代名詞+家族や人間関係・所属集団名の場合はいらないということです。なにをもって緊密と考えるか、どこまでを人間関係・所属集団名とみるのか、これは自然にいい慣れるしかないのでしょうか。
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by damao36 | 2008-11-02 19:41 | 中国語 | Comments(0)