カテゴリ:中国語文法( 65 )

内界表出文、このネーミングは適切か。

 中国語には一文中に述語動詞が2つある文があります。SVOVO文型の連動文とSVO/SVO文型の兼語文、それにSVO(=SVO)文型の、特定呼称のない文です。この名無しの文を私は文型名を主述賓語文(賓語がSVOなので)、文種名を心中文または内界表出文(略して内界文?)と呼ぶことにしました。物事を明確に区別するためには、「名無しの権兵衛」ではやはり不便ですよネ。
   ※ 内界という語は「内部の世界。心の中の世界」と大辞泉にはあります。《现代
     汉语词典》には“外界”という語は登録されていますが。”内界”と言う語はあり
     ません。

 この内界文になる述語動詞はi以下のような語になります。日本語訳は「~と〇〇」になることが多く、英訳では関係詞を用いることが多いようです。
    

≪主な心理・言語活動動詞≫

猜 应 打算 担心 断定 感谢 高兴 计 
害怕  怀疑 迎 得 决定 决心 渴望 肯定
明白  盼望 期待 说 说明 厌 听见 听说
希望 喜欢 相信 想 /认为 定 知道 愿意
证明      巴不得 恨不得       


 この文型、主語が人称代詞で動詞が”喜欢、相信、想、”などであれば、主語の心の中の”つぶやき”になるので、心中文がいいと思ったのですが、主語が物事で動詞が”决定、说、说明、证明”などになると心の中の”つぶやき”とはいえないので、「外界」の対義語の「内界」にしたのでした。上記の動詞、心理動詞とか言語活動動詞とかに区分けすべきでしょうか。





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by damao36 | 2017-06-15 17:41 | 中国語文法 | Comments(0)

名詞の分類。これでいいのか。

 5月から6月にかけて作成した『日英中 三方攻読 中国語文法ワールド』の紹介記事や訂正一覧の本ブログ記事、手違いから削除されてしまいました。103.png。「16文型22文種。これでいいのか」や「中国語は英語の近いか、日本語に近いか」(その1~3)などです。

 5月中旬、やっとのことで上記著書を上梓したのですが、監修者や校正者の最終校正以降、さらに加筆の必要を感じたり、パソコン不調で行間移動が起こったりして、自己責任の校正段階、半年以上の時間はあったのでしたが、自分の原稿ながら校正への意気は上がらず、誤植の多い書になってしまいました。また、書物の形態で改めて読み直してみると、考え違いにも気づき、削除した記事にはそのことについても触れていましたが、消滅してしまいました。上記図書を購入された方には申し訳ないことなので、今後もできるだけ本ブログで気づいた考え違いなどを発表しようと思っております。なにとぞご海容、ご堪忍のほどよろしくお願い申し上げます。

 理解不足の第一弾として「名詞の分類。それでいいのか」を記載しておきます。

名詞の分類≫(『中国語文法ワールド』P.184)

一般名詞  可算名詞   a個体名詞 単体であることを基本とする人・物・事)
              b 集合名詞 (人・物・事の集合体)
        不可算名詞  c 物質名詞 (一定の形のない物質)
              d 抽象名詞 (抽象的な事物・思考など)
固有名詞 (国名・地名・人名など)
時間名詞(時間詞(時間詞は時間名詞以外に時間名詞などに介詞・方位詞の付加した連語をも含む)
方位名詞(方位詞(方位詞は方位名詞以外に時間名詞や場所名詞との連語をも含む)
場所名詞(場所詞(場所詞は地名や場所指示の代詞などに介詞・方位詞の付加した連語をも含む)

      ※ 英語名詞の分類は普通名詞・集合名詞・固有名詞・物質名詞・抽象名詞の5つで,それを可算名詞と不可算名
           詞に区分する。中国語同様性・数の区別のない日本語は実用としては普通名詞と固有名詞の2区分でよく,代
           名詞や数詞も名詞としている。
          中国語文法では普通名詞という用語ではなく,一般名詞という用語が用いられている。状語とはならない
           一般名詞との固有名詞の総称を本書は普通名詞とする。
         ※ 一般名詞adは可算・不可算を問わず<数詞量詞>からなる数量詞を付けて,数えることができる。ad
           は用いる量詞の違いから分類されたものである。

訂正名詞の分類

一般名詞  可算名詞   a 個体名詞 単体であることを基本とする人・物・事)
              b 集合名詞 (人・物・事の集合体)
        不可算名詞  c 物質名詞 (一定の形のない物質)
              d 抽象名詞 (抽象的な事物・思考など)
              e 固有名詞 (国名・地名・人名など)
時間名詞(時間詞(時間詞は時間名詞以外に時間名詞などに介詞・方位詞の付加した連語をも含む)
方位名詞(方位詞(方位詞は方位名詞以外に時間名詞や場所名詞との連語をも含む)
場所名詞(場所詞(場所詞は地名や場所指示の代詞などに介詞・方位詞の付加した連語をも含む)


 どこが考え違いかというと一般名詞と普通名詞の定義です。名詞の分類で日英語では普通名詞という用語を用いているのに、私が見た中国語文法書では普通名詞という語は用いず、一般名詞という語を用いていたので、その違いを私はのように理解したのでした。

 今は一般名詞というのは主語や賓語となるよりも状語(連用修飾語・副詞句)として用いられることの多い名詞の一つである時間詞・方位詞・場所詞に対する呼称だと考え直しています。普通名詞というのは上記表では可算名詞のaの個体名詞に違いない、そう思っています。なお、固有名詞はやはり一般名詞のeが正しいでしょう。

 




 


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by damao36 | 2017-06-14 17:15 | 中国語文法 | Comments(0)

125ー英語には未来があるのに推量はない、中国語は未来も推量もない

≪ある東洋人と西洋人との会話≫
A:あれ,英文法には未来形というのはあるのに推量形がない。どうして。
B:未来と言うのは今の自分の位置から見てこれから先のことだよ。世界は自分の周りから徐々に広がってい
  るのだから,その広がりの認識からスタートすべきだからさ。
B:世界は自分の周りから広がるのかなあ。まずは天地があって,そこに自分が生まれただけだよ。他の生き
  物が無心に生きているように,人も自分自分と主張することなんか止めて,自然の中で自然に生きればい
  いのよ。
B:だから君たちは科学技術が遅れたのさ。人は人類の幸せのためにどんどん自然に挑戦しなきゃあ,生き
  てる意味がないじゃあないか。
A:そうかなあ。もうそんな世界になっているから,そうするしかないけど,お天道様はそんな人間世界をどう眺
  めていらっしゃるのかなあ。


 三省堂の『新明解辞典』の助動詞付録には「た」が過去と完了,「う・よう」が未来の助動詞と出ていました。でも,日本語の助動詞の説明で,未来とあるのは少数で,この「う・よう」は「らしい」「べし」「まい」らとともに広義の推量の助動詞とするのがふつうです。

 この語は<断定の助動詞「だ」の未然形+推量の助動詞「う・よう」>で「~だろう」となり,過去の場面では「~た・だろう」,現在の場合では「~ている・だろう」になり,直接過去や現在とはかかわらないから,未来でもいいのでしょう。

 でもこの語の主な意味は①主体の意志 ②客観事実の推量,想像ですから,広義の推量の助動詞の仲間であることも事実です。どうもこの語はたまたま未来とだけしかかかわらない,そんな推量の語なのしょう。

 日本語文法には過去・現在・未来という用語は少なく,未来に代わる語としては推量という用語が目に付きます。過去・現在・未来という概念に欠けるという点では中国語も日本語と同じですが,なぜか推量と言う用語も目にしません。

 <将然>(もうまもなく~する)と言う語を目にしますが,あまり使われない難語なので,<推量>,これは中国語ではあまり使われないので,日中共同で使える<推測>,それを大いに使ったらいい,私はそう考えるのですが。
       ※ 日本語の古語は特に推量の助動詞が多い。「む・むず・べし・べらなり・らし・めり・けらし・なり・
          らむ・けむ・まし・じ・まじ」と13もある。どうしてでしょう。
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by damao36 | 2013-01-15 21:13 | 中国語文法 | Comments(0)

214 授与文―二重賓語文

 日本語の目的格である「ニ格/ヲ格」は修飾成分の連用修飾語の一部ですから,日本語の基本文成分にはO(目的語)という成分はありません。英語はSV文やbe動詞のSVC文にはO成分はありませんが,Oという成分をもつ文型は一般動詞文のSVO文やSVOO文・SVOC文の3文型があります。

 中国語はというと,私案ではありますが,代表文型はSVO文ですが,O(賓語)をもつ文型はみんなで7つです

 その中でOを複数もつ文型は,英語は第4文型のSVOO文だけですが,中国語は授与文(SVOO文)と連動文(SVOVO文)とがあります。しかし,連動分は二つの動詞に二つのOなので,一つの動詞に二つのOとすると,授与文だけとなります。

 ただし、この授与文はSVOO文がもともとの文型ですが,その一つのOを介詞“把”“给”“跟”“向”などを用いて述語動詞の前に移動させて介詞連語の処置文というのがあります。その文型は<S+介詞O+V+O>で,下線部<介詞O>(SO’VO文と表記する)は形式上は状語ですが,実質上はやはり賓語です。ですから,中国語の二重賓語文にはこの文型をも入れておくべきでしょう。
  ※ 介詞連語の処置文には<SO’V>文型と<SO’VO>文型とがある。後者のVに位置する動詞は賓語
    を二つ必要とする授与型動詞。したがって,授与文というのはSVOO文とSO’VO文の2型になる。

 私たちの言語表現で,一つの動詞で2つの賓語を必要とする表現とはどのようなものなのかを考えてみると,それは他動詞の中の,「誰かに何かを与える」「誰かから何かを受け取る」「誰かに何かを述べる」という表現をするときに用いる動詞になります。上記の意味をまとめて授与型動詞とし,その動詞を用いた文が授与文になります。主な授与型動詞を挙げておきます。
≪授与型動詞群≫
A 「与える」という意味をもつもの。(O2は動作の結果O1に移動するので,→印。)
    罚fá(罰する)    付fù (支払う)      给gěi(与える)        还huán(返還する)
    交jiāo(手渡す)     教jiào(教える)      借给jiègei(貸す)     卖mài (売る)
    求qiú(求める)     送sòng(送る)      投tóu(投げる)     找zhǎo(おつりを探す)
    租zū(賃借する)

B 「取得する」という意味をもつもの。(O2は動作の結果Sに加わるので,←印。)
    夺duō(奪う)        借jiè(借りる)        奖jiǎng(買う)       买mǎi(買う)
    拿ná(手にもつ)     骗piàn(だます)      收shōu(受け取る)     偷tōu(盗む)
    租zū(賃借りする)     赢yíng(勝ち取る)

C 「述べる」という意味をもつもの。(O2は言語動作の内容だから,→印。)
     报告bàogào(報告する)  称chéng(称する)   告诉gàosu(教える)      回答huídá(回答する)
    叫jiào(呼ぶ)          骂mà(ののしる)   请教qǐngjiào(教えてもらう)  说shuō(責める)
    通知tōngzhī(通知する)  问wèn(尋ねる)     写xiě (写す)            祝 zhù(願う)

  ※ 上記授与型動詞の中には介詞連語の処置文<SO’VO>文型のみでしか用いられないものもある。

A 
1 我给你 这个。 Wǒ gěi nǐ zhèige.
  I give me that. (これ、差し上げます)
2 我还你 这本书。 Wǒ huán nǐ zhè běn shū.
   I give this book back to you. (この本をお返しします)
3 我送你 生日礼物。Wǒ sòng nǐ shēngrì lǐwù.
   I will send you a present for your birthday. (誕生プレゼントを送ります)
4 我教你 日文。Wǒ jiào nǐ Rìwén.
   I teach you Japanise.(日本語、教えますよ)
5 我想求您 一点儿事。 Wǒ xiǎng jiù nín yìdiǎnr shì/
   Can I ask you a favor? (一つお願い事があります)
6 谁借给你 这么多的钱? Shéi jiègèi nǐ zhème duō de qián.
   Who lent you so much money?. (誰がそんなにお金を貸してくれたのかい)
7 妈妈买给我 一本词典。Māma mǎigei wǒ yì běn cídiǎn.
  Mother bought me a dictionary the other day.(母が私に辞書を買ってくれた)
    ※ Aの第一賓語と第二賓語の関係は「受け取る」(have)の意味をもつ。例えば1なら,<“你” 
      have “这个”>の意味が成り立つということ。
    ※ 6・7の<動詞+“给”>の“给”,《现代》では介詞としているが,「動詞転用の語の場合は動詞と
      する」により,私は補語動詞とする。つまり、「貸して与える」「買って与える」の「与える」。
    ※ 述語が<動詞+“给”>型の動詞には“给”がなくても同じ意味をもつものとないと文が成り立た
      ないものとがある。6はなくても同じで,7はないと意味不明の例。
    ※ 中国語は英語とは違って,述語のあとが長くなるのを好まない。したがって,SVOO文は意外と少
      ない。上記の授与文も介詞“把”“给”“跟”“向”などを用いて第一賓語をVの前に持ってくることが
      多い。例えば7を下例のように表現する。この場合の“给”を動詞としたら連動文になるが,ふつう
      介詞にとり形式上は修飾成分の状語である。(“给我”がなくても文は成立するから。)
          例 妈妈给我买一本词典。Māma gě iwǒ mǎi yì běn cídiǎn.


B 
8 我借你 一百块钱。 Wǒ jiè nǐ yìbǎi kuài qiáni.
   I borrow one hundred yuan off you. (100円お借りします)
9 他骗我 两百美元。 Tā piàn wǒ liáng bǎi měiyuán.
   He swindled me of 200 dollars. (彼から200ドルだまし取られた)
10 打麻将,我赢了他 三次。Dǎ májiàng, wǒ yíngle tā sān cì.
   I have won him to ply mahjong three times.(マージャンで彼に3回勝った)
11 我买了新车 二百万日元的。 Wǒ mǎile xīnchē Èérbǎi wàn Rìyuǎn de.
   I bought a new car two million Japanese yan. (200万円で新車を買った)
      ※ Bの第一賓語と第二賓語の関係は「与える」(give)の意味をもつ。例えば7なら,<“你”
        give “一百块钱”>の意味が成り立つということ。
      ※ 7・8で用いているの“借”日本語ではもっぱら「借りる」という意味で使われているしかし、中国
        語では「借りる」と「貸す」の両義をもつ。単用の場合は日本語と同じ「借りる」の意味になること
        が多い。7は「貸す」意味であるが,「貸す」意味の場合は“借给”という動・動連語で覚えておい
        た方が間違いが少ない。
      ※ もし<述語動詞+数量詞>であれば,この数量詞は数量補語になる。しかし,8~11の文はそ
        の中間に第1賓語があるので,この数量詞は第2賓語である。8~11の英文の数量詞は副詞句
        VOC文である。


C
12 我问你 一个问题。 Wǒ wèn nǐ yí ge wèntǐ.
   I ask me a question. (ひとつ質問があります)
13 祝你 早日恢复健康。Zhù nǐ zǎorì huīfù jiànkāng.
   I hope you’ll be well soon. (一日も早く回復しますように)
14 我告诉你 好消息。Wǒ gàosu nǐ hǎo xiāoxi.
   I tell me the good news. (いい知らせがあります)
15 请告诉我 最受欢迎的观光景点。 Qǐng gàosu wǒ zuì shòu huányíng de guānguang jīngdiǎn.
   Can you tell me the popular tourist spots? (人気の観光スポットを教えてくださいた)
16 他骂我 傻瓜。Tā mà wǒ shǎguā.
    He called me a champion idiot. (バカと彼にいわれた)
17 你可以叫我 小龙。Nǐ kěyǐ jiào wǒ Xiǎo Lóng.
    You can call me Xiao Long. (私をショウローンと呼んでください)
18 我们都称他“铁牛”。Wǒmen dōu chnég tā “Tiěniú”.
   We all call him Iron Ox. (私たちは彼をアイロン・オックスと言っている)
19 上级评他 优秀员工。Shàngjí píng tā yōuxiàu yuǎngōng.
    His boss judged him a model worker. (上司は彼を優秀な職員だと認めた)
      ※ Cの12~15の第一賓語と第二賓語の関係は「受け取る」(have)の意味をもつ。例えば10な
        ら,<“你”have “一百块钱”>の意味が成り立つということ。16~19の第一賓語と第二賓語
        の関係の「である」(be)の意味をもつ。例えば16なら,<“他”is “傻瓜”>の意味が成り立つと
        いうこと。
      ※ 英文は12~15はSVOO文で,16~19はSVOC文である。

20 你问他 能不能明天来。Nǐwèn tā néng bù néng míngtiān lái.
    Will you ask him if he can come tomorrow? (明日これるかどうか彼に聞いてください。)
21 我回答你 不可做这个。Wǒ huídá nǐ bùkě zhòzhèige.
    l answer you not to do it. (これをしたらダメだと回答します。)
22 我期待他 更一步的前进。 Wǒ qīdài tā gèng yíbù de qiánjìn.
   I’m looking fouward to his further success.(彼がさらに向上することを期待しています。)
  ※ ここはいわゆる私の名づける”心中文”。述語あとの代詞が第一賓語で,そのあとは第2賓語。  

 二重賓語文でSVOO文を取る文は,中国語の場合はあまり多くはありません。その理由は,上記の注でも既述しましたが,中国語は英語とは違って,文のコアであるSVが英語のようには密着してないこと,中間には英語なら最後に付けたす文成分である状語がはさまっていることが多く,その後に出てくるVとOが長いと理解しにくいというその文構造にあります。したがって,二重賓語文は単純なものが多く,介詞“把”“给”“跟”“向”などを用いて第一または第二の賓語をVの前に持ってくる例文のの方が多くみられます。中には,第一賓語や第2賓語を主題としてしまっているものもあります。

 それでは以下にSVOO文型ではなく,SO’VO文型の授与文例を挙げておきます。
22 我向她说实话。Wǒ xiàng tā shuō shíhuà.
   I’ll tall her a truth. (彼女に本当のことを話す)
23 请把办公地址的更改通知他们。Qǐng bǎ bàngōng dìzhǐ de gènggǎitōngzhī tāmen.
    Please notify them of the change of the office’s address.(事務所の住所変更を彼らに知らせなさい)
24 今天的报纸 给我拿来。Jīntiān de bàozhǐ gěi wǒ nálai.
    Please bring me today’s paper. (今日の新聞を持ってきてくれ)
25 他所知道的事情全部告诉我了。Tā suǒ zhīào de shìqing quánbù gàosu wǒ le.
    He told me all he knew about it. (彼は知っていることはみな教えてくれた)
      ※ 24・25は介詞省略とも考えられるし,主題だとも考えられる。
      ※ SVOO文型に書き換えると,“我说她实话” “请通知他们办公地址的更改”“拿来给我今天的
        报纸”“全部告诉我了他所知道的事情”となる。しかし,7を書き換えると「彼女についての本
        当の話をしよう」とも解釈できる。23は“办公地址的更改”を言い忘れて付け足したニュアンス。
        24は“拿来”とまず命じて,“给我今天的报纸”といった感じ。25はも“了”を入れてそこまでが
        一区切り,あとは追加という感じで発音すれば,自然に聞こえる。
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by damao36 | 2012-06-27 17:09 | 中国語文法 | Comments(0)

213 賓語――日語・英語と比べて学ぶ

 中国語の述語動詞後の名詞または名詞性連語は賓語という文成分と考えて間違いありません。この賓語は日本語の連用修飾語の中の目的格(ヲ格・ニ格),英語の目的語にほぼ同じです。ですから,わが国中国語文法書の多くは英文法で用いる目的語という用語を用いています。しかし,私は中国で使われている賓語(宾语bīnyǔ)という用語を用いることにします。
  ※ 賓語の“宾”は“客人(跟“主”相对)”の意。“客语”(客語)ともいう。一番奥座敷にいるからか。

 なぜ目的語と言う用語は使わずに,私たちにはなじみのうすい賓語という用語を用いるのか,それは中国語の賓語は英語の目的語とは大きくは一致するが,イコールではないからです。

 例えば「私は日本人です」という文です。
 1 (日本語)   私は   日本人です。      <名詞+助詞+名詞+助動詞>   ……名詞述語文
            (主語)   (述語)                                      (SN文)
   (英 語)   I   am   a Japanese.    <代名詞+動詞+冠詞+名詞>   ……動詞述語文
            S   V     C                                     (SVC文)
   (中国語)  我   是   日本人。 Wǒ shì Rìběnrén. <代詞+動詞+名詞> ……動詞述語文
           (主語)(述語)  (賓語)                                   (SVO文)

 日本語文には動詞は用いられていません。述部のコアは名詞ですから,これは名詞述語文です。

 英語は不完全自動詞be動詞が用いられています。この語は「AはBである」という意味で,Aの属性(固有の性質)や状態がBであると説明する語です。動作などを示す一般動詞とは大きく異なります。「主語の“I”(A)は一体何者なのか。それは“a Japanese”(B)なのだ」,この文はそう説明しています。つまり,このbe動詞は“I=a Japanese”という等式関係を示す語で,“a Japanese”は主語の属性を補足説明している語です。補足説明ですから,この“a Japanese”は補語の成分と称するのです。
  ※ “I am a Japanese”は英語の第2文型のSVC文。この文型のCには名詞か形容詞が来る。上記の
    例文は名詞だが,形容詞が来てもS=Cの等式は成り立つ。形容詞の場合は主語の性質・状態を補足
    説明する。この文型のVは不完全自動詞のbe動詞がほとんどである。
  ※ 英語にはもう一つ補語を持つ文型がある。第5文型のSVOC文である。この文型の場合はS=Cでは
    なく,O=Cの等式になる。後で出てくる例文5“They elected him chairman.”がこの文型。この文
    型のVは不完全他動詞になる。第2文型が主語説明文なら,第5文型は目的語説明文である。


 さて,中国語はどうでしょうか。英語と比較すると,冠詞はありませんが,品詞の配列は<名詞―動詞―名詞>と英語・中語ともに同じです。しかし,英語は第2文型SVC文ですが,中国語は第3文型SVO文なのです。“是”という動詞のあとの名詞は補語ではなく,賓語(ほぼ英語の目的語)なのですから。

 なぜ補語とはせずに賓語としているのか。その大きな理由は中国語には動詞をあとから補足説明する中国語独特の語法があり,その語法を中国語では補語と称しているからです。
  ※ <動作動詞+名詞>なら,その名詞は動詞の動作・作用の及ぶ対象ターゲットであるから,目的語と
    称してよい。しかし,中国語の“是”は英語のbe動詞と同じく動作動詞ではなく,物事の関係を説明・判
    断する関係説明の動詞である。この中国語文もまた“我=日本人という等式は成立している。
  ※ しかし,この“是”には「これは」という指示語の意味があり,「AはBである」というbe動詞とは少し異な
    り,「A,それはBである」というニュアンスがある。単用することもあり,会話応答の中で是”と答えると,
    「そのとおりだ」(“对duì”に同じ)という意味になる。be動詞のような不完全自動詞とは言えない。
  ※ “是”は“叫・姓・像・等于・・・”などと共に関係動詞と言われ,“是”は同一関係を示す動詞である。

 “是”には上記のとおりbe動詞とは異なるところがありますが,述語の前にある名詞の補足説明というはたらきはbe動詞と同じです。なのにどうして補語とは言わないのか,その理由は述語をあとから補足説明する語法の方が中国語としては重要で,そちらを優先させて補語と命名しているたからです(私の推論)。

 そのため中国語の賓語は動詞のターゲット語と,それとは異質である主語・目的語の説明語とがあわさって“目的語”とされているのです。<英語の目的語=中国語の目的語>ではない,そういうことを自覚するために,あえて賓語という本場で用いられている用語を使うことにしました。
  ※ 無用な混乱を避けるために,中国語の“目的語”は“補充語”としたらという説もあったようだ。


 英語の中には,私たちから見たら一見目的語と思うのに,そうでない以下のような文例があります。
  2 I go to school.  (学校に行きます)         ※この「に」は動作の帰着点
  3 He live in Shanghai. (彼は上海に住んでいます)  ※この「に」は場所
  
 日本語文の「学校に」「上海に」の部分はいずれも連用修飾語の目的格で,日本語文はSV文です。ところで,英語文は日語・中語の感覚から私はSVO文だろうと考えたのでしたが,違っていました。この文の“go”“live”は自動詞なのです。“I=to school”“He=in Shanghai”の等式も成立しませんから,SVC文でもありません。“to school” は帰着点,“in Shanghai”は場所を示す副詞句で,付け足しのその他の要素です。この英語文もまたSV文でした。

上記の例文,中国語ではどうでしょうか。
  2’ 我去学校。Wǒ qù xuéxiào.
  3’ 他住在上海。Tā zhùzài Shànghǎi.

 中国語でも自動詞・他動詞の区別をすることはありますが,あまり意識されません。名詞を付け加えないと文が完結しないと思われるなら,そこで用いる動詞は他動詞なのです。ですから,上記の例文は第3文型のSVO文です。“学校”“上海”はいずれもりっぱな賓語なのです。
  ※ 3’の述語“住在”は動補連語。前の動詞“住”を後ろの補語動詞“在”が補足説明し,「住んで・そこにい
    る」という意味を形成する。こういう語法が中国語の補語である。補語を基本構造の骨格となす文成分
    と考えると,この文はSVCO文になる。しかし,補語は述部の一部とみなすと,この文はSVO文である。
  ※ 3’のように“住在上海”とあるときの“在上海”を<介詞“在”+場所詞“上海”>ととらえて,「上海に」と
    いう意味の介詞連語とする説もある。もしも介詞連語なら,修飾成分の副詞句だから,この文はSV文
    になる。しかし,“在”もそうであるが,中国語の介詞は動詞転用組が多い。そういう語の場合が述語動
    詞のあとに来た場合は介詞とはせずに,動賓連語と見ることにする。つまり,<“住”+介詞“在”+場
    所詞“上海”>ではなく,<本動詞“住”+補語動詞“在”+場所詞“上海”>とする。
  ※ 動詞転用組の介詞連語構造が述語のあとに来たときは,その介詞は動詞とするとすれば,ほとんど
    の介詞連語は述語の前の状語としてのはたらきのみとなり,すっきりする。しかし,下記例のように動
    詞性のない介詞もある。この“于”“自”の場合は,介詞連語が述語の後に来て,後ろから述語を説明す
    る補語句と説明せざるを得ない。
       我在一九九○年生于澳门。Wǒ zài yī jiǔ jiǔ líng nián shēngyú Àomén.
       I was born in Makao on 1990. (私はマカオで1990年に生まれた)
       我们当中有些人来自北京。 Wǒmen dāngzhōng yǒuxie rén láizì Běijīng.
     Some of us are from Beijing. (私たちの中には北京から来た人もいます)
  ※ “生于澳门”の“于”は古語として用いられていた語であるが,その使用例は今も以外に多い。“生
    于”以外に<動詞+“于”>としては“出于”“处于”“对于”“关于”“属于”“在于”“至于”など,<形容詞
    +“于”>としては“大于”“难于”“善于”などがある。

 さて,上記2・3の中国語の賓語に当たる部分の日本語訳は「学校に」「上海に」と,いずれも格助詞「に」が付着していました。この格助詞「に」を正確に説明することはむずかしく,99.9%の日本語ネイティブもきっとお手上げです。1も2も場所に関係のある「に」ということはわかりますが。


 ところで,以下の文例の「に」はどうなのでしょうか。
  4 She wrote me a long letter.  (彼女は私に長い手紙をくれました)
  5 They elected him chairman.  (彼らは彼を議長に選びました)
 
 4は第4文型の授与型SVOO文です。「~に」,「~を」の部分はいずれも英語は目的語です。“me”は間接目的語で,“a long letter”は直接目的語です。5はどうかというと,これは第5文型のSVOC文です。“him”は目的語ですが,“chairman”は目的語ではなく,目的語の補語です。なぜなら,“him =chairman”,つまりO=Cの等式が成り立つからです。

 日本語はというと,4も5もSV文です。4は「誰かが 誰かに 何かを Vします」という文例で,5は「誰かが 誰かを 何かに Vします」という文例です。テニヲハ貼付語である日本語は「誰かに 何かを」と「誰かを 何かに」は語順が入れ替わっただけで,いずれも文法成分は連用修飾語です。
  ※ 日本語文は4・5の「に」は動作・作用が行われるその対象,4の「を」も動作の対象。しかし,5の「を」
    は動作・作用が行われたその結果を表すという違いはある。


 では,中国語はどうなのでしょうか。
  4’ 她给我一封很长的信。  Tā gěi wǒ yì fēng hěn cháng de xìn.
  5’ 他们推选他会议主持人。 Tāmen tuīxuǎn tā huìyì zhǔchírén.

 4’・ 5’の述語動詞“给”“推选”のあとにつづく2つの名詞はいずれも賓語(目的語)です。動詞とそのターゲット語との関係を→印で示すと,4’は“给―→我”“给―→一封很长的信”ですが,5’は“推选―→他”はいいのですが,“他”と“会议主持人”の関係は→印ではなく,“他=会议主持人”です。“会议主持人”は同じ賓語“他”の補足説明です。でも,中国語は両文とも同じ二重賓語文SVOO文です。
  ※ 5’の述語“推选”は「推して選ぶ」という動補連語。

 要するに中国語の賓語は英語の目的語よりも幅が広いということです。動詞の動作の対象となる語を指すとともに,主語や賓語の補足説明をする語句をも賓語には含まれるということです。



 以上の説明で,中国語の賓語というのは<主語+述語>のあとにつづく名詞または名詞性語句を指すということがお分かりになったと思います。ならば,述語のあとの名詞は一律に賓語と見ていいのかというと,そう断言するのにためらう問題が一つあります。それは英語でも問題になる“there is”構文・中国語版です。
  6 桌子上有一本书。Zhuōzi shàng yǒu yì běn shū.
    There is a book on the table.(テーブルの上に本がある)
      ※ この文型は <場所詞・時間詞+動詞+(不特定の)人/物>となる。この文型の文を中国語では
        存在文・出現文・消失文に分け,この3文をまとめて存現文という。

 この“there is”構文,英文法の説明も歯切れが悪く,文頭の“there”は副詞で「形式上の主語」, be動詞の後ろの名詞が「実質的な主語」である,あるいは“there”を代名詞としたら主語でよく,そうすると第2文型SVC文になるなどと説明されています。前者の説明が一般的なので,それに従うことにしますが,英語の述語動詞はbe動詞ですから,文型はやっぱりSVC文なのでしょう。

 6の中国語文の動詞は“有”です。“有”には所有と存在の意味があります。所有の“有”はそのあとにつづく名詞は賓語として問題ありません。しかし,この文例のように存在の“有”の場合は,日本語文でもわかるように,後ろの名詞“一本书”は「本が」と主語に訳されています。この存在文(存現文の一種)構造は<場所詞/時間詞+述語+(不特定の)人/物(名詞)>で,文頭の場所詞/時間詞が「形式上の主語」で,後ろの名詞が「実質的な主語」になります。英語の“there is”構文は第2文型SVC文でしたが,中国語の場合は英語のCもOに含まれるので,この文型は第3文型SVO文で,“一本书”は「実質的な主語」ではありますが,形式上は賓語になります。

  7 上午下了一阵大雨。 Shàngwǔ xià le yí zhèn dà yǔ.
    It rained heavily in the morning.(午前中大雨が降った)         
  8 多一个人就多一分力量。Duō yí gè rén jiù duō yí fèn lìliang.
  If we get one more person, we will become stronger.(数は力だ)
   ※ この文種は人・物・事の存在・出現・消失にかかわる。自然現象も存在・出現・消失にかかわる
        ので,この文種には7のような自然現象にかかわる表現が多い。8の“多”は形容詞でなく,動詞。

 この文種は最初にある空間(舞台)が用意されています。そこにこれまでは気づかなかった存在にはじめて気づく,6はそういう文例です。7は話者が目にしている空間に“下雨”という自然現象が出現したという文例です。8は抽象的な内容で,用意されている空間はなにか,省略されていますが,ある集団と想定し,そうした集団もまた多くのものを許容できるのですから,空間だと考えられます。消失文例は省略していますが,おなじことです。


 以上は英語5文型を基準に中国語の賓語を考えてきました。英語の補語文型である第2と第5文型も中国語では賓語をもつ文型になりましたが,それ以外にもあと5つほど賓語を持つ文型が中国語にはあるようです。以下に賓語をとる他の文型例を挙げておきます。
  9 我帮你拿行李吧。Lǎè.
    Can I take your luggage?. (お荷物お持ちしましょう)
 10 我想最好还是拒绝。Lǎ.
    I think it best to refuse. (やっぱり拒否するしかないと思う)
 11 不要躺在过去的成绩上睡大觉。Bú yào tangzài guòqù de chéngjì shang shuì dà jiào.
    Don’t rest content with past achievements.(過去の成績にいい気になって怠けてはダメです)
 12 请你把他叫来。Lǎè.
    Please call him over. (お金は銀行に入れよう)
      ※ 9の“你”は前の動詞“帮”の賓語で,後の動詞“拿”の主語。<S+V+O/S+V>形式のい
        わゆる兼語文である。
      ※ 10は心中文。心理活動動詞である“想”のあとの文“最好还是拒绝”は主語の心中におけ
        る“つぶやき”。この“つぶやき”全体が“想”の賓語である。
      ※ <S+V+O+V+O>形式のいわゆる連動文。英語では一方が不定詞構文になることが多い。
      ※ 12は“你把他叫来”という<S+V+O/S+V+O>文型の文頭に“请”という「お願いします」
         (英語の“please”)という動詞が加わった動詞が3つも連なる3重連動文。全体の主語は省略
         され ているが“我”。“你”はもともと主語であったが、“请”がきたので,“请”の賓語と以下
         の文“把 他叫来”の主語を兼ねる。つまり,こういうO/Sをもつ文型を兼語文という。
      ※ ところで,“你”を主語とした“你把他叫来”という文,中国語の基本構造だと“你叫他来”がふつ
        う。この文の賓語である“他”を特に指定してそれにある動作を加えることをはっきり表現するた
        めに介詞の“把”で強制的に動詞“叫”の前に移動させた文型。この構文を処置文または“把”構
        文という。“把他”は意味的には賓語であるが,文形式上は状語えある。
      ※ 中国語の基本構造順の“你叫他来”をさらに考えてみると、この文型は<“叫”+“他”+“来”>
        で,直訳すると「彼を呼んで,その結果彼が来るようにする」という使役文でもある。中国語の使
        役文はやはり兼語文の一種で,この文の“他”は“O/S”マークになる。
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by damao36 | 2012-06-17 16:05 | 中国語文法 | Comments(0)

212 主語――日・英・中語の比較

 中国語の基本構造を6つの文成分だけで示すと以下の順序で並びます。主語を含む主部は日・英語と同じで,文の先頭です。
    (主    部)        (述                部)
   〈定語〉+ 主語  + 〈状語〉+ 述語+補語 + 〈定語〉+ 賓語
        ※ 文の骨格は主語と述語+補語,賓語の4成分。補語は述部の一部とみなすこともでき,そう
          すると3成分になる。
        ※ 定語と状語は修飾成分。

 この主語を構成する品詞は,1語としては名詞か代詞で,まれに動詞や形容詞,数量詞も主語になることがあります。2語以上の連語の主部は<定語+(“的”)+主語>の形式の語句です。このつなぎの構造助詞“的”のないものもよくありますが,この“的”が定語を見つけるマーカーです。また,主部がSVOなど主述連語の場合もあります。(主部の成分構成は賓語にも該当します。)
1 是公司职员。Tā shì gōngsī zhīuán.
  He is an office worker.(彼は会社員です。)
2 写完报告的人可以回去了。Xiěwán bàogào de rén kěyǐ huíqù le。
  Please who have finished writing their report may go home.(レポートを書き終えた人は帰ってもよろしい。)
3 考试不及格的人必须再考一次。Kǎoshì bù jígé de rén bìxū zài kǎo yícì.
  Anyone who fails the exam must take it again.(試験に不合格の人はもう一度受けなさい。)
4 因事故而停驶的电车终于开动了。Yīn shìgù ér tīngshǐ de diànchē zhōngyú kāidòng le.
  The train that stopped due to an accident finally began to move.(事故で停車していた電車
  がやっと動き出した。)
5 身体好很重要。Shēntǐ hǎo hěn zhòngyào.
  It is important to be in good health.(体が丈夫なことは大事なことだ。)
6 抽烟对身体不好。Chōyān duì shēntǐ bù hǎo.
  Smoking cigarettes is not good for your health. (たばこは体に悪い。)
    ※ 1は1語の主語。1語で主語になれる語は名詞と代詞が両“横綱”。会話では人称代詞が多い。
    ※ 2~4は<定語+的”+主語>。“的”が定語のマーカー。
    ※ 5は<S(名詞)+V(形容詞)>で,形容詞述語文の主部。6は<V(動詞)+O(名詞)>で動賓連
      語が主部。このように主部にはいろんな語句が来る。

 ところで,これまで日・英・中語ともに主語は文頭と述べましたが,これは文の基本構造のことで,実際に出てくる文は主語が文頭にない,あるいは主語そのものがない文でいっぱいです。そうした文をⅠ 主語の省略・Ⅱ 主語の後退 とにわけて説明しておきます。


Ⅰ 主語の省略
 英語も命令文では主語は話相手に決まっていますから,省略されます。会話の中ではしばしば主語のない文も使われます。でも,フォーマルな平叙文は必ず主語が必要です。ダミー主語と呼ばれる“it”というのもあります。
    ※ 英語の主語は単数・複数とか,一人称・ニ人称・三人称とか(いわゆる「3単現のS」)で,述語の動
      詞に影響を与える権限があ。しかし,日・中語にはそういう力はない。
    ※ 主語を英語では“subject”という。この「sub~」は地下鉄のことを「sub-way」というように,語源
      的には「下」「従」の意味。それが今は“subject”が決まらなくては動詞も決まらない絶対的権力を
      もつている。

 しかし,中国語は日本語と同じで,文脈から主語が推測される場合には主語が省かれることがしばしばです。主語が特定しにくい文もあります。英語とは違って主語がなくても文は成立します。特に会話では主語のない文,多くは人称代詞の省略ですが,そうした文があまた出現します。その例をあいさつ言葉から挙げておきます。
7 好久没见了。Hǒjiǔ bú jiàn le.
  We haven’t seen each other for a long time. / It’s been a long time since I saw you last.
  (お久しぶりです。)
8 初次见面。请多关照。Chūcì jiànmiàn. Qǐng duō guanzhào.
  How do you do?  I'm pleased to meet you. (はじめまして。どうぞよろしく。)
9 请多多指教。Qǐng duōduo zhǐjiào.
  Kingly give us your advice. (ご指導よろしくお願いします。)      yě hěn gāoxìng.
10 认识你我很高兴。――认识你我也很高兴。 Rènshi nǐ wǒ hěn gāoxìng.-- Rènshi nǐ wǒ
   Nice to meet you!―― Nice to meet you, too! (お知り合いになれてよかったです。―私もです。)
    ※ 8は日本人が頻繁に用いる「はじめまして。どうぞよろしく」の訳。日本人向けのあいさつ言葉。中国
      人同士,あるいは他の外国人には用いない。(§体感随筆30「『よろしく』が口癖の日本人」参照)

 文脈から主語があきらかな場合は,中国語は遠慮なく主語を省略することになります。主語となる品詞の“横綱”である人称代名詞,特に“你•我”はよく省略されます。ただし,日本語とは省略するときの意識に違いがあります。日本語の場合は話相手によってどのような人称代名詞を用いたらいいかを忖度する必要があります。なんとなく気軽に発音できない感があります。しかし,中国語は単数の人称代名詞は“普通话”(共通語)では“你・我・他”と敬称の“您”だけです。しかもすべて単音節です。日本語のように人称使用にためらいをで感じることもありません。省いても通じる会話で,わざわざ人称代名詞をつけて話すと,むしろ相手に対する丁寧な,ときには慇懃なもの言いにさえなります。
    ※ 実際の会話で,「あなたは」とか「君は」とかを使うときに私はなんとなく躊躇する。英語の“she”や
      中国語の“她”を「彼女」と言い換えることに,今もいささか違和感がある。
    ※ 昭和10年代の文法学者三上章氏は日本語無主語説を唱えた。その考えに共鳴して,カナダで日
      本語教師をしている金谷武洋氏は『日本語に主語はいらない』『英語に主語はなかった』(講談社選
      書)などの著書を表している。
    ※ 日本語の主語は不可欠の要素ではない。語順も融通無碍である。敬語表現を除いて動詞に人称
      変化を起こさせる力もない。「に」「の」「で」などの格助詞のつく語が主語のこともあり,「主語は主格
      で表れる」とはとても言えない。日本語には主語というのはなく,あるのは格助詞「を」「に」「と」「で」
      などと同レベルの主格補語「が」(ガ格)にすぎない。金谷氏はそう主張している。
    ※ 日本語を外国語として教えるための日本語文法書『初級を教える人のための日本語文法ハンドブ
      ック』(フリーエーネットワーク 2000年)を見ると,これまでの学校文法とは違って,主語という用語
      は見当らない。金谷氏の説とは関係なさそうだが,この書は主格という語を用いている。


Ⅱ 主語の後退
 テニヲハ貼付語である日本語は「~が/は」という助詞が付いていると,その文節がどの位置にあっても主語を表します。しかし,配置の言葉であり,テニヲハのような主格を示すマーカーを持たない英・中語は,主語はあくまでも述語の前に位置します。ときに主語成分が文頭にない場合がありますが,そのとき先頭に来ているのは修飾成分の状語(M)か賓語(O)です。基本構造の<S+V>という結びつきは不変です。

 なぜ状語や賓語が先頭に移動してきたのか,その理由は一つはその部分の強調のためで,もう一つは発音上のバランスのためです。以下にA 状語が文頭に来た例とB賓語が文頭に来た例とに分けて,その例を挙げて説明します。

A 状語が文頭に来た例
11 明天去。Míngtiān wǒ qù.
   I want to go tomorrow. (明日は行きます。)
12 已经决定中村下月要搬去上海了。Yǐjīng juédìng Zhōngcūn xiàyuè yào bānqù Shànghǎi le.
   It’s turned out that Mr.Nakamura will move to Shanghai next month.
   (中村さんは来月上海に引っ越すことがすでに決まっている。)                    zǎofàn.
13 在中国许多人在上班的路上吃早饭。Zài Zhōngguó xǔduō rén zài shàngban de lùshang chī
   Meny people eat breakfast on thire way to work.
   (中国では多くの人が出勤途中で朝ご飯を食べています。)
    ※ 11は“我明天去”の状語“明天”を強調して文頭に持ってきた例。この文はさらに主語“我”を省い
      て“明天去”ということも可。この場合は時間詞の“明天”が主語になる。
    ※ 12は“决定”と“搬去”が動詞のいわゆる連動文。主語“中村”が定位置だと述語動詞ばかりが重な
      るので,バランス上主語を中間に持ってきたと考えられる。
    ※ 13は“在中国”“在上班的路上”が状語。この文も主語を定位置にすると,こんどは状語が長くなる
      ので,理解しやすいように主語“许多人”を中間に持ってきたと考えられる。

B 賓語が文頭に来た例
14 这东西还要呢。Zhè dōngxi tā hái yào ne..
   She still wants to keep this thing.(これは彼女は要るそうですよ。)
15 明天的会不要迟到。Míngtiān de huì nǐ bú yào chídào.
   Try not to be late for tomorrow’s meeting.(明日の会には遅刻しないでください。)
16 冷和热都喜欢。Lěng hé rè wǒ dōu xǐhuán.
   I like it both cold and hot. (冷たいのも熱いのも僕は好きだ。)
17 那件上衣,觉得你穿起来很合适。Nà jian shàngyī, wǒ juéde nǐ chuāqǐlái hěn héshì.
   I think that jachet would go well on you.(あの上着はよく似合っています。)
    ※ 14・15は“她还要这东西呢”“你不要迟到明天的会”の賓語“这东西”“明天的会”が文頭に来て
      それが強調された文。なお,主語の“她”“你”を省いて“这东西还要” “明天的会不要迟到”とい      うことも可。その場合は“这东西”“明天的会”を主語にとする。
    ※ 16もSVOだと“我都喜欢冷和热”で,“冷和热”が文頭に来た例。“热”と“冷”は形容詞の名詞
      用法。
    ※ 17はいわゆる「心中文」。この文は“我/觉得”(私は/感じている)が文の外枠。内枠の何を感じて
      いるのかという中身は,“那件衣服你穿起来很合适”。これ全体が“我/觉得”の賓語になる。また
      この賓語全文をSVOに直すと,“你穿起来/那件衣服/很合适”だ。するとこの文は賓語の“那件衣
      服”は“很合适”の主語でもある兼語文だ。この例のように兼語の部分“那件衣服”が比較的長いと
      文頭に持ってくるのがふつう。これは内枠の文頭“那件衣服”をさらに外枠にまで持ってきた例。(こ
      の文の直訳は「あなたがその上着を着てみる,そうするとその上着はあなたに似合っている」である。)

 状語が文頭に来た例には12・13のように発音上のバランスからというものがありました。この場合の話者は意味上の変化を期待して表現したのではなく,あくまでも発音上の問題からの言い回しのはずです。もう一つの部分の強調とはどういうことでしょうか。
 
 例えば11の“明天我去”は基本構造だと“我明天去”です。状語の“明天”を前に出すことで,基本的な意味に違いはありませんが,話者の重点の置き方,ニュアンスに微妙な違いがあり,文脈によってはこの文を「(今日はダメだが)明日なら行く」と訳すことになります。
    ※ この例文の“明天”は時間詞。中国語は,日本語もそうであるが,時間をなによりも優先させる傾向
      がある。単にそういう意識で発せられたとも解釈できる。

 14の“这东西她还要呢”も“她还要这东西呢”と比べると,話者の意識は“这东西”にありますから,「(他の物はいらないが)これはまだ要る」とか「(どうみてもガラクタなのに)彼女はまだ要るそうだ」とかの意味が表出されてくるということです。


 ところで,このように文頭に引き出された状語や賓語は文成分としては何になるかという問題があります。

 上記11~17の文例を主語を明確にして日本語直訳で考えると,状語例の11は「明日は私は」,賓語例の14~17は「これは彼女は」「明日の会には(あなたは)」「冷たいのも熱いのも(私は)」「あの上着は,私は」となり,14・15・17は主語のマーカーとみられている「は」が二つも並んでしまいました。どうやら日本語文法でもこの「は」の説明はなかなかやっかいです。
    ※ 日本語の問題としてしばしば「は」と「が」はどう違うのかということが問題となる。井上やすしの『日
      本語教室』(新潮新書)には,この問題を取り上げ,国語学者大野晋氏の説として「大野説を一言で
      いえば,既知の旧情報には『は』を,未知の新情報を受ける場合は『が』を使うということです」
      (P174)と述べ,その傍証として「象は鼻が長い」という文も取り上げ,この「象」はみんなが知ってい
      る既知情報,「鼻が長い」は未知情報で,主語が二つあるわけではないとも述べている。井上氏の
      他の書にも「ガとㇵの戦い」という項目があり,そこには大野説への反論も紹介されている。
    ※ 日本語の「は」は判断や取立て,強調といった陳述に一定の影響を及ぼす係助詞で,「が」は主とし
      て主語を表わす格助詞。係助詞「は」は述語に係るが,ときに節や文をも越えて叙述にかかわること
      もある。であるから,金谷氏はこの「は」を「スーパー助詞」と名づけ,日本語テキストの例文冒頭の
      「は」のつく名詞節は,その後にまずは読点(、)を打たせる指導をしているという。読点を打つこと
      で,「~、それについては~」という感じがわかるから。
    ※ 金谷氏に限らず,日本語教師は「が」と「は」の違いをどう説明するかに苦慮しているのであろう。ネ
      ット「日本語教師のページ」にその違いをどう教えるかが書かれていた。例えば「私は学生です」とい
      うのは「私に関しては学生です」ということ。「私はその本を買いました」は<主題=主語+述語>の
      構造。話者は「私は」という言葉を意味的には主語と認識していても,文法的には主題として使って
      いる,そんなふうにに説明している。

 このように状語や賓語であるべき語句を本来の主語の前に持ってくるということは,話者がこれから語ろうとする文の題目(テーマ)やポイントを提示することで,これを主題と称すればいいいいという説があります。主題という語が文法用語として正式に認めれれていない点に何か不都合がありそうですが,私はいまはそれに従うことにします。
    ※ 「が」は接続助詞の用法もあるが,あとは<名詞+「が」>の場合だけで,これは主格を表す格助
      詞である。「は」も<名詞+「は」>の場合は主格を表すが,例えば「~には/へは/とは/では/から
      は/よりは」とその他の格助詞にも付き,目的格や連用格を示す。また,例えば「~までは/などは/
      だけは/ばかりは/くらいは/ほどは」と副助詞にも付き,ときに副詞にも付く。したがって,「は」は判
      断や取立て,強調といった陳述に一定の影響を及ぼす係助詞だと分類されている。要するに「は」
      は「が」が単に主格を示すのとは違って,特に何か一つのものを取り立てて提示するのが本来の用
      法であると考えられている。
    ※ 会話の中では“明天去”とか“这个还要”とか言うことはよくある。この場合の“明天”とか“这个”と
      かは主語では間違いで主題なのだと考えるとややこしくなるので,特に区別をする必要のある場合
      は除き,ふつうは主語として考える。必要があれば平叙文の主体や客体,あるいは状語のいずれ
      が強調されて先頭に立たされたのかを考えればいい。

 例文17は主題となる“那件上衣”が長いので,“逗号”が最初から付けらえています。他の文の冒頭“明天”“这东西”“明天的会”“冷和热”にも逗号”が付いているものと受け取って,中国語も「~に関しては/~については」ということだと理解するとわかりがいいでしょう。
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by damao36 | 2012-06-14 07:22 | 中国語文法 | Comments(0)

211 代詞(3)―疑問代詞(疑問詞)

 中国語の代詞は大きく人称代詞・指示代詞・疑問代詞の3つに分かれ,その中の疑問代詞はさらに以下の4つに分類できました。
a 疑問代名詞 (‘谁(谁家)、什么、哪儿、多会儿’など。) 
b 疑問数量詞 (‘几、多少’ など。)
c 疑問形容詞 (‘哪、哪个、什么(啥)、怎样、怎么样、几、多少’など。)
d 疑問副詞  (‘怎么、怎样、怎么样、什么样儿、为什么、为何、凭什么、干嘛、何、如何、多・多么’など。)
  ※ a・bは名詞用法。日本語や英語の不定称または疑問の代名詞に相当する。呂氏はこれを
   代詞と称している。c・dは形容詞と副詞の用法。呂氏はこれを指示詞と言う。このc・dは
   日本語では疑問の連体詞と副詞,英語では形容詞と副詞に相当する。

 ところで,人称代詞のところで“谁、什么”を不定称の人称代詞,指示代詞のところで“哪、哪个、哪些、哪儿、哪里、哪边、哪样、哪会儿”を不定称の指示代詞として提示しました。さらに前者を疑問人称代詞,後者を疑問指示代詞とカッコで付記しておきました。その理由は,これらの語は人称代詞や指示代詞の不定称とも位置付けられますが,疑問代詞の仲間とも位置付けられるからです。
  ※ 不定称というのを『広辞苑』で引くと,「代名詞で,人または物,或いは方角・場所などの
   定まらないものを指示するもの。『だれ』『どれ』『どちら』『どこ』などの類。」と説明
   されている。しかしこの不定称の定義は日本語文法の上ではその扱い方に異説がある。明治書
   院の『日本文法大辞典』によると,「他称の中の近称などと並べる立場」「自称・対称・他称
   と並べる立場」「疑問代名詞としてのの一種に立てる立場」があり,「まさに不定称と言わざ
   るを得ない」状況だと書かれている。

 中国語の疑問代詞は,同じ代詞である代替と指示の機能を持つ人称代詞や指示のはたらきをする指示代詞と,どこがどう違うのか。その特色を前々章で紹介した王力氏の著書などから説明しておきます。

 まず王氏は疑問代詞は「代わりの語を要求する」語であると定義します。
    疑問代詞所代的是什麼?――疑問代詞既是表示疑問、還能替代什麼呢? 嚴格地說、疑問代
  詞并不是一種代詞、它只是一種「求代詞」;它要求對話人把名詞代詞等等去替換說話人所说的
  「誰」「什麼」等等。(《中国語法理論》新版60頁)
  (訳) 疑問代詞は何の代わりなのか――疑問代詞は疑問を表す以外に、さらに何かの代わり
     をする語なのか。厳密に言うと疑問代詞は何かの代わりをする語などではない。単に
     「代わりの語を要求する」語に過ぎない。それは聞き手が名詞や代詞などでもって話し
     手の「だれが」「なにが」などという問いに答える,そういうことを要求する語である。

 王氏は疑問代詞は代替・指示のはたらきはなく,「只是一種「求代詞」」(単に「代わりの語を要求する」語)だと述べ,以下の例を上げて説明しています。
1. 名詞を要求するもの:    他是谁?         他是张三。
              (彼はだれですか。) (彼は張三さんです。)
               你吃什么?        我要吃花生米。
              (何を食べますか。) (ピーナツが食べたいです。)
2. 代詞を要求するもの:  哪一个是张三?       他是张三。
              (どなたが張三さんですか。) (彼が張三さんです。)
               你买哪只?        我买这一只。
(どれを買ったのですか。)  (これを買いました。)
3. 修飾「次品」を要求するもの:张三是怎样的人?         张三是好人。
              (張三さんってどんな方ですか。)(張三さんはいい方です。)
4. 「末品」を要求するもの:   你怎么来的?       我坐汽车来的。
               (どうやって来られたのですか。)(バスで来ました。)

  ※ 私は言語学の専門ではないので,王氏のいう「首品」「次品」「末品」という用語に無知
   である。王氏が師事したデンマークの言語学者オットー・イェスペルセンの学説であろうか。
   イェスペルセンの著書は岩波文庫にあるというが,見ていない。王氏の著作の訳や研究論文
   もあるのかどうか,これも知らない。今はただ自分なりに以下のように解釈・理解しておく。
   つまり,文というものは中心と中間と表面とからなる三重構造だということ。その構造の中
   心部分を「首品」,中間部分を「次品」,表面を「末品」と,王氏は漢字で表記したと推測
   する。日本語訳としては「基層」「中(間)層」「表層」などと言い換えた方が理解しやすい
   のではなかろうか。

 例の1と2は文の話題である名詞や代名詞を答えとして求めています。ということは,“谁”“什么”“哪”といった語は話の基層となる人・物・事(話題=話の中心となる素材)を聞き出すために発した言葉だということです。
  ※ “谁”“什么”は常に名詞を,“哪”は常に代詞を答えとして要求しているのかというと,
   他の実例を考えるとそうではない。“谁是张三。”と尋ねたら“是他。”と代詞で答えるこ
   とができる。リンゴやナシを並べて“你要哪个?”と尋ねたら,“我要苹果。”と名詞で答
   えることもふつう。
  ※ “谁”は話題の人(who;whom:whose)を,“什么”は物(what)を,“哪”は
   いくつかある素材のどれか(which)を問う語。しかし,“什么”も“什么人”,“哪”
   も“哪(一)位”と人を問うこともある。

 3の“怎样”は“的”を伴って後ろの名詞を修飾している形容詞用法です。この場合の“怎样”は人・物・事がどういう性質のものかを尋ねていることになります。王氏は問いの部分は“是怎样”に点点を付けています(私は点点を下線に変更)。ということはこの“怎样”は「<主題の人・物・事>がどういう<性質>か」を問う語ということです。こういう問いは主題の次に重要だということで,「次品」と名付けているのでしょう。言い換えると文の中間層(人体に喩えるなら肉や内臓部分)でしょうか。
  ※ 王氏は問いの部分は“是怎样”,答えの部分は“好人”に印をつけている。その付け方で
   いいのだりうか。日本語訳にはどう付けたらいいのか,迷いがある。
  ※ この“怎样”と同じ疑問の形容詞用法の語は,“怎样”の強調語である“怎么样”という
   言い方もある。

 4の“怎么”は後ろに動詞が来るので,「どうやって」と方式や程度,状態を尋ねる副詞用法の語になります。答えの“坐汽车”は動賓連語の状語で,述語動詞“来”を修飾しています。
  ※ 3は主語や賓語の修飾成分だから「次品」,4は述部の修飾成分だから王氏の分類では「
   「末品」になる。
  ※ 3の“怎样”(“怎么样”)は4の“怎么”と同じ疑問の副詞用法としてもよく用いられ
   る。疑問の副詞用法の語は,3の“怎么”“怎样”の他には原因・理由を問う“为什么”,
   数量を問う “多”“多少”がある。

 上記のように疑問詞を用いた1・2の文はその疑問詞に相当する名詞または代名詞の語を答えとして要求します。また,3・4は特定された定語付きの主語または賓語となる連語や,同じく特定された状語である連語を答えとして要求します。したがって,疑問詞疑問文のことを特定疑問文ともいいます。

 それでは,中国語の疑問を発するときに用いる語を①人・物・数量,②場所・時間,③程度・性質・状態,④方式・原因・目的・状況の4つに分けて,以下にまとめておきます。

 なお,この≪疑問詞一覧≫①・②・③を見て気付くことの一つは,これらの語はすべて疑問代詞ではないということです。例えば,時を問う疑問語,日本語の「いつ」,英語の「when」を中国語では“什么时候”といいますが,これは<疑問代詞+名詞>という代詞・名詞の連語になります。中国語の“谁家”“哪位”“哪家”“哪个”“哪里”などは<代名詞+量詞>です。しかし,多くの辞書は“哪个”“哪里”は,使用頻度が多いからでしょう,1語と認めています。また,「どのくらい・どれだけ」と程度の意味を表す“多”“多么”は疑問代詞の中の疑問副詞ではなく,単に副詞とされているなど,疑問を発するときに用いる語には疑問代詞ばかりではありません。疑問を表す連語や副詞も含むので,この表も≪疑問詞一覧表≫としました。(例語の連語または副詞には*印を付けた。)

≪疑問詞一覧≫①
人   谁  *谁家  *谁的  *哪位  *哪家  *哪个  *什么人  *任何人 *何人
    *某谁  *何许(什么地方的人  什么样的人
    だれ・だれが(名) だれの(名) だれでも(名)
    who ; whom(疑代) whose(疑代) someone ; anyone(不定代名詞)以下(不)。
    whoever(再)

指定  什么  啥  何   *无论/不管什么  *到底/究竟是什么
    何か(名)  どんな・どういう・何の(形)
    what(疑代)  something(不)  whatever(再)
選択哪  哪个  哪些  *无论/不管哪个
    どれ(名)  どの(形)
     which ; what(疑代)  any(不)  whichever(再)
数量   几 几个 几儿   多少 多儿
     いくつ・いくら(名)(形) いくつか  いくつか(副)
     how many(形) a few ; several ; some(不)  how many ; how much
     so much ; as much as(不)
  ※ 中国語の名詞用法は(名),形容詞用法は(形),副詞用法は(副),疑問代名詞は(疑
   代)と訳語に表記。英語の不定代名詞は(不),再帰代名詞は(再)と英語欄に表記して
   いる。
  ※ 英語の人称代名詞には所有格whose,目的格whomがあるが,中国語は主格と目的格は
   同じで,所有格は原則“的”を加える。
  ※ 英語にはwhoever ; whosever ; whomeverという代名詞があるが,中国語は“ 无
   论谁,不管什么人”のように連語で表現する。
  ※ 英語には漠然と人・物・数量などを表す代名詞を不定代名詞という。someone ; any ;
   anyone ; a few ; several ; some ; so much ; as much asなどがそれに当たる。表中
   では(不)で示す。
  ※ “什么”は一つの物を,“哪”は同類の物の中の一つを尋ねる。
  ※ “啥shá”は“什么”の方言。“何hé”は文語。
  ※ “哪”は名詞用法と形容詞用法がある。<“哪”+数詞+量詞>形式がフォーマル。その
   一つが“哪个”。これは“哪一个”の数詞“一”の省略形。口語ではよく“哪一nǎ yī”が縮
   まって“哪”がněi・nǎiと発音される。
  ※ “几”は特定疑問文に用い,あるいは上限ガ決まっている数を尋ねるときに用いる。また,
   10以下の不定の数を示すときにも用いる。
  ※ “多少”も特定疑問文に用い,10以上の未知の数,10以下の数を尋ねるときに用い
   る。“多儿”“多咱”ということもある。


≪疑問詞一覧≫② 

場所   哪 哪儿 哪里  哪边儿 哪块儿  *什么地方  *哪一带 *那个地方 *何处
    *无论/不管什么地方 哪里
     どこ・どこか(名詞用法)  どこで・どこでも(副詞用法)  どこ・どちら
where(副詞)(代名詞)  wherever(副詞)

時   *什么时候  多会儿  哪会儿  多咱(喒)  多早晩  *几时 *何时  *哪天(年)
    *何日(年)  *无论/不管什么时候
    いつ  いつ・いつごろ・いつでも・いつか  いつ・いつか  どの日(年)・いつの日(年)か
    when(副詞)(代名詞)  what time  any time(不)  what day of the month
    how many days(yeas)  whenever(副詞)
  ※ 「どこ」は会話では“哪”“哪儿”“哪里”がよく用いられる 。“哪里”がいちばん丁
   寧。“何处” は文語調。
  ※ 「いつ」は会話では“什么时候”がフォーマル。書き言葉では“几时”。くだけた,親し
   い間での言い方として“多会儿”“哪会儿”“多咱”が用いられる。“多咱”は “多早
   晩”の発音が変化したもの。“几时”は文語調。
  ※ “何”には“何人”以外に,場所・時間を示す形容詞用法と副詞用法とがある。形容詞用
   法には“何处”“何在”“何时”“何日”“何年”などがあり,他に副詞用法(≪疑問詞一
   覧≫③参照)もある。いずれも文語調。
  ※ 英語の“where・when”は代名詞のこともあるが,多くは副詞である。


≪疑問詞一覧≫③
性質状態怎样 怎么样  哪样 什么样儿  *怎么回事 *怎回事  *无论/不管怎么样
     どんな・どのような・どんな
     how(副詞)  however(副詞)
程度*多 **多么
どのくらい・どれだけ・なんと                        how ; what(副詞)
  ※ 方式・性質・状態・状態を尋ねるときは“怎样”がフォーマルな書き言葉。あとは話し言
   葉の中で多用される。“如何”は文語調。
  ※ “多”は形容詞“大”“高”“远”“深”“厚”“粗”“宽”などの前に用いて,数量・
   程度を尋ねる。“多么”も同じ意味で,“多”の誇張表現。後に形容詞を伴うので副詞。


≪疑問詞一覧≫④
原因・目的  为什么  怎么  *凭什么 *干什么 *干嘛  为何  *无论无论/什么原因
       なぜ•どうして・何のために  なぜ・どうして
       why(副詞)  why is it that  how is it that(句)  whyever(副詞)
方式  怎  怎么  怎样 怎么样  *无论/不管怎么样
       どう・どのように  どう・どのように
       how(副詞)  however(副詞)
状況  怎样  怎么样  怎么  怎么着  如何  *无论/不管怎么样
       どうか・どうであるか・どんなふうか  いかがか・どうか
       how ; what(副詞)  how ; what(副詞)
  ※ 原因・目的を尋ねるときは“为什么”がふつう。“为何”は文語調。
  ※ “何”には名詞用法,形容詞用法以外に副詞用法の語がある。“何必”“何等”
    “何妨”“ 何干”“ 何故”“何苦”“何谓”“何许”“何以 ”“何在”などで,反語
    の意味を表す
  ※ 疑問詞一覧としたのであるから,疑問の語気助詞“吗 、嘛 、么”なども入れるべきだ
   が,煩雑になるので,省いている。
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by damao36 | 2012-05-12 21:35 | 中国語文法 | Comments(0)

210 代詞(2)―指示代詞

 会話や文章表現の中で,ある人物の代替,あるいは指示する語のことを人称代詞と言いましたが,人以外の物品,事柄,場所,方角,時間,性質,方式,状態などを主として指し示す語を指示代詞と言います。この指示代詞というのは,日本語や英語でいうところの指示代名詞とは,人称代詞が人称代名詞と同じであったのとは違って,イコールなものではありません。

 ここでいう指示代詞に属する中国語は,日本語や英語でも指示代名詞とされる語以外に,日本語なら指示の連体詞や指示の副詞,英語なら指示の形容詞や指示の副詞とされる語をも含んでいます。ですから,日本語や英語でいう指示詞,あるいは指示語,和語の「こそあど言葉」とほぼ同義になります。
 ※ 代名詞(puronoun)というのは名詞の代替・指示のはたらきをし,文中では主語や賓語と
  なる語を言う。中国語の代詞で代名詞と言えるのは人称代詞と指示代詞の中の指示代名詞に該
  当する名詞用法である。呂氏はこの部分を代詞と言い,他の指示代詞は指示詞と分類している。
 ※ 日本語や英語の文法解説で指示詞(demonstrative)という表現を用いることがある。そ
  の場合の語義は日英語の指示代名詞以外に,名詞を指示修飾する日本語なら連体詞,英語なら
  指示の形容詞,述部を修飾・限定する指示の意味をもつ副詞が含まれる。中国語の指示代詞は
  この指示詞と同義と考えてよい。
 ※ 英語の指示代名詞の主な語は単数だとthis・thatの2語である。この語は名詞を修飾するこ
  とも多く,その場合は多くの辞書が代名詞の形容詞用法としている。しかし,例えば疑問詞
  whatが名詞として用いられているときは疑問代名詞だが,名詞を修飾する場合は形容詞,述
  部を修飾する場合は副詞と説明されている。

 中国語の指示代詞というものも,日本語や英語のように主語や賓語となるときは指示代名詞,名詞を修飾して定語となるときは指示の形容詞,動詞・形容詞を修飾しているときは指示の副詞と,その用法から3つの品詞に分けてもいいはずです。しかし,そうしない理由は中国語の指示代詞となる語の多くが“这zh蔓那nà”“哪nǎ”ではじまる同一系統語であるからでしょう。
 ※ もちろん英語のthis・that/these・thoseも指示代名詞と指示形容詞の兼類語である。し
  かし,この“这、那、哪”系(特に“哪”)は指示代名詞や指示形容詞以外に指示副詞をも
  兼ね,その用法ははるかに大きい。
 ※ 指示代名詞と言う語はあるが,指示代形容詞,指示代副詞と言う語はない。代詞の名詞用法
  は名詞の代替のはたらきだが,形容詞用法と副詞用法は「代わりの語句を求める」はたらきだ
  からである。(次章,王力氏の説参照。)

 それでは指示代詞の具体的な語群をa~hと8分類して挙げておきます。なお,日本語の指示代名詞は<近称>(「これ・この」など)<中称>(「それ・その」など)<遠称>(「あれ・あの」など),それに<不定称>(「どれ・どの」など)を入れると,4区分になります。しかし,中国語の指示代(名)詞は英語と同じで,日本語の<中称>というものはなく,<近称><遠称><不定称>の3区分です。
 ※ 人称代詞は<近称><遠称><不定称>としていたが,指示代詞は<近称><遠称>のあと
  を<不定称/疑問代詞>と表記した。<不定称>とは<近称><遠称>のどちら側に近い表現
  なのかがはっきりしないものを指すことなので,哪”系の名詞代替の名詞用法のみが<不定称
  >になる。同じ哪”系でも形容詞用法・副詞用法は疑問代詞である。詳しくは次章疑問代詞の
  項で説明する。

a 事物代替・指定の指示代詞(人・物・事柄を指す名詞用法。呂氏の代詞に該当。)
(近称)
这① 这个①zhè / zhège(zhèige)(これ・この) this;it
这些①zhèxiē (これら・それら/これらの・それらの)these

(遠称)
那① 那个①nà /nàge(nèige)(それ・あれ/(その・あの)that;it
那些①nàxiē (それら・あれら/それらの・あれらの) those

(不定称/疑問指示代詞)
哪①  哪个①nǎ /nǎge(něige)(どれ・どの)Which
什么 shénme(どれ・どの) What
哪些①nǎxiē (どれ・どんな・なに・だれ)which;who;what  what kind of;

1 这是汉日词典。 Zhè shì Hàn Rì cídiǎn.
 This is a Chinese-Japanise dictionary. (これは中日辞典です。)
2 这都是我的。 Zhè dōu shì wǒ de.
 These are all mine. (これは全部私のです。)
3 他会获得成功, 那是没有怀疑的。 Tā huì huòdé chénggōng, nà shì méiyǒu huáiyì de.
 There is no doubt that he will successed.(彼のやることがうまくいくということは,それ
 はもう疑いようもないことです。)
4 你要哪个, 这个还是那个? Nǐ yào něige, zhèige háishì nèige?
 Which do you want, this or that? (どれがいい。これ,それともあれ。)
5 我不知道那是谁? Wǒ bù zhīdao nà shì shéi?
 I don’t know who it is. (私はあの人がだれか知りません。)
6 这个(这些)比那个(那些)好。 Zhèige(zhèxie) bǐ nèige(nàxie) hǎo.
 This one (These)is better than that one(those). (これはあれよりもいい。)
7 告诉我哪些是你需要的。 Gàosù wǒ nǎxie shì nǐ xūyào de.
 Tell me which ones yon want? (どれが必要なのか,教えてください。)
8 这是你们公司的电话号码吗? Zhè shì nǐmen gōngsī de diànhuà hàomǎ ma?
 Is this your office phone? (これはあなたの会社の電話番号ですか。)
9 是的, 这是我们公司的电话号码。Shì de, zhè shì wǒmen gōngsī de diànhuà hàomǎ.
  Yes, that’s my office number at the bottom.(はい,それがうちの会社の電話番号です。)
 ※ <近称>の“这系”は話し手が自分の範囲内と認識するものに,<遠称>の“那系”は相手
  の範囲内だと認識するものに用いる。日本語の「それ、その」という<中称>を,どういう基
  準で自分の範囲内,あるいは相手の範囲内と認識するかは微妙で,個人差もある。自分の範囲
  内とは自分または自分たちの手の届く範囲,あるいは目の前のものと考えておく。
 ※ “这个、那个、哪个”は単数,“这、那、哪”は単数でも複数でも(2が複数例)使える。
  “这些、那些、哪些”は複数。いずれも具体的名詞の代替と指示のはたらきをし,名詞同様主
  語と賓語となる。また,形容詞用法として定語(連体修飾語)にもなる。以上の用法は代名詞
  と呼んでよい。 
 ※ 1の“这”は単数だが,2は複数。したがって,1は“这本书”と量詞をつけて言えるが,2
  は付けられない。
 ※ 4の“这个、那个、哪个”は“这、那、哪”とも “这一个、那一个、哪一个”とも言える。
  単数の物品を指して,“这、那、哪”と言うのに比べると,“这个”“这一个”系は明示ある
  いは対比の感じが強く出ている。
 ※ 5はitを指す例。丁寧に言うなら“那人”“那位”。
 ※ “这些、那些、哪些”は“这一些、那一些、哪一些”とか,“这些个、那些个、哪些个”
  と同じ。一つにとどまらない人・物を指す。6のカッコと7がその例。
 ※ 8の“这”は日中英ともに<近称>。しかし,9の“这”は中国語は<近称>,英語は<遠
  称>,日本語は<中称>である。中国語の<近称>は例え自分の手を離れていても目の前にあ
  ればふつう<近称>で表現する。

b 場所・方角・時間の指示の指示代詞(場所・方角・時間を指す名詞用法)

这② 这儿① 这里①zhè/zhèr/ zhèli (ここ・そこ)here
这③・这边①zhè/zhèbian(zhèibian)(こっち・そっち・こちら・そちら)here・this way
这④ 这儿②zhè/zhèr (いま・いまから)now; this moment

那② 那儿① 那里①nà/nàr/ nàli (そこ・あそこ)there
那③ 那边①nà/nàbia( nèibian)(そっち・あっち・そちら・あちら)there
那④ 那儿②nnà/n àr(そこ・あそこ)since then;

哪② 哪儿① 哪里①nǎ/ nǎr/ nǎli (どこ)where
哪③ 哪边① nǎ/ nǎbian/ (něibian) (どっち・どの辺)where
哪③  

 
10 我们这儿没有方便店。 Wǒmen zhèr méiyǒu fāngbiàn shāngdiàn.
  There is no convenience store here. (ここにはコンビニはありません。)
11 谁在那里? Shéi zài nàlǐ?
  Who’s there? (誰があそこのいるのですか。)
12 你到哪里去? Nǐ dào nǎli qù?
  Where are you going? (どこへお出かけですか。)
13 请这边来。 name
  Come overe here, please. / Come this way, please. (ここにいらしてください。)
14 我这就走。 name
  I’m leaving right now. (私は今から出かけます。)
15 从这儿以后, 我们要好好学习。 name
  From now on we’ll study hard. (今後は私たちちゃんと勉強しよう。)
16 打那儿起, 她就用心念书了。 name
  She’s been studying hard since then. (あれから彼女は懸命に勉強をするようになった。)
 ※ 場所を示す指示代詞は“这、这儿、这里、这边”の4系。“这儿”系は北方の口語で,“这
  里”系は南方口語。書き言葉は“这里”系を用いる。この4系は入れ替え可能。ただし,
  “这边”系は方角の意味が加わる。
 ※ 14~16は“这”系がが時間詞として転用された例。“从”“打”“由”などの介詞と共に
  用いることが多い。
 ※ ここに挙げた中国語の場所や時間を示す代詞は名詞用法であるが,英語は副詞・副詞句で
  ある。
 
c 数量指示の指示代詞 (数量を指す名詞用法・形容詞用法。名詞用法は呂氏の代詞,形容詞用法は指示詞。) 
这些② 这么些① 这么点儿①zhèmexiē/ zhèmediǎnr (これくらい・これほどの)so many; so much
这么①+数量詞 zhème(あれほどの)about; or so

那些② 那么些① 那么点儿①nàmexiē/ nàme diǎnr(あれくらい・それほどの)so many; so much
那么①+数量詞 name(あれほどの)about; or so

17 今天就讲这么些。 name
  So much for today. (今日はこれだけにしておきます。)
18 那么点儿工作, 一天就可以干完了。 name
  We can finish that little bit of work in a day. (あれくらいの仕事なら,一日でやり終えます。)
19 再有那么二十来分钟就够了。 name
  Another twenty minites or so will probably be enough. (もうあと20分ほどもあれば十分です。)
 ※ “些”は不特定の量を表す量詞。したがって,これらの語は不特定の数量詞ともいえるが,
  不特定の数量を表す指示代詞とする。17が名詞用法で,18・19が形容詞用法。主語や賓語と
  なる名詞用法の語は,もともとはその後に名詞があった。例えば“这么些・东西”のように。
 ※ “这么些”は近くの,“那么些”は離れたところの「多くの」または「いくつかの」人数や
  物数を指す。“这么点儿”“那么点儿”は「いくつかの」の少ない方の意に用いる。
 ※ 19は数量詞の前に用いて,その数量詞の多い,または少ないことを強調する表現。


d 事物指示の指示代詞(人・物・事柄を修飾して指す形容詞用法。呂氏のいう指示詞の一つ。)
这②+量詞 这个①zhè/zhège(zhèige) (この)this
这样①(的) 这么个①zhèyang/zhèmege (こ/そのような)this;this way

那②+量詞 那个①Nà/nàge(nèige) (その)that
那样①(的) 那么个①nàyang/zhèmege (そ/あのような)of that kind; like that;so ; such

哪②+数量詞 nǎ 哪个①nǎ /nǎge(něige) (どの)which; what
哪样①(的)nǎyàng (どんなのでも)what kind of;

20 这话不要说了。 name
  Let’s drop that subject. (この話はもうやめにしようう。)
21 把这个部分再念一遍。 name
  Read that passage once agin. (そこのところをもう一度読んでみなさい。)
22 请给我看看这本书, 好吗? name
  Please show me that book. (その本私に見させていただけますか。)
23 你这身衣服哪儿买的? Nǐ zhè shēn yīfu nǎr mǎi de?
   Where did you bought that dress? (この服どこで買ったのですか。)
24 哪位是青木先生? Nǐ zhè shēn yīfu nǎr mǎi de?
   1 am looking for Mr.Qingmu? (どの方が青木先生ですか。)
25 他就是这么个人。 name
  That’s just like him. (彼はそのような人間なのだ。)
28 我没有说过那样的话。 name
  I said no such thing as that. (私はそんな話はしていません。)
29 你要哪样手机? name
  What king of cellpones do you want? (どんな型のケイタイがお入り用ですか。)
 ※ 20~25は<“这/那/哪”+量詞+名詞>の例。中国語は<近称>だが,英語は<遠称>に
  なっている。日本語訳を「この」にするか,「その」にするか,上記の例文は微妙。
 ※ “这”はふつう物を指すが,人を指すときは量詞が必要。24・25がその例。24は敬意をこ
  めた表現。25の“这么个人”は“这人”“这个人”と同じで,軽侮の意を含む。
 ※ 26~29は性質を表す形容詞用法で原則“的”が付く。省かれることも多い。

  
e 時間指示の指示代詞(時間を示す副詞用法。呂氏のいう指示詞の一つ。)
这会儿①zhè huir(今,今ごろ)now; at the moment; at present

那会儿①nàhuir(nèihuir)(あのとき・あのころ・その際)at that time; then 

哪会儿①nǎhuir (いつ/いつでも)when; whenever; any time

30 这会儿你在干什么? name
  What are you doing now? (今回は何をなさるのですか。)
31 那会儿我们还是学生。 name
  A t that time we were students. (あのころは私たちはまだ学生でした。)
32 你哪会儿方便就哪会儿来。 name
  Come at any time that is convenient to you. (都合のいいときにいらしてください。)
 ※ “会”には“时机”(時機・機会)の意があるが,ここの“会”はそれに近く,“时候”
  の意。“这会儿”は“这会”の“儿”化したもの。“ 这会儿”は現在の時点,“那会儿”は
  過去または未来のある時点を指す。“哪会儿”は現在・過去・未来のどの時点かを問う。


f 事物の性質・状態・程度の指示代詞 (程度または方式を指す副詞用法。呂氏のいう指示詞の一つ。)
这么③  这样②  这等①zhème/zhèyang / zhèděng
这么样①  这么着②zhèmeyang/zhè mezhe  (このように・そのように)like this ; this way; so; such;

那么③  那样②  那等①nàme/ nàyang / nàděng
那么样①  这么着②nàmeyang/nàmezhe
(あのように・そのように)like that; in that way  so; such; of that kind

哪(儿) ②nǎ(r) (どうして~か)how

33 就那么办吧。Jiù nàme bàn ba.
  Just do it in that way. (それじゃあそうしましょう。)
34 你不该那么做。 name
  You shouldn’t have behaved like that. (あんなことはやるべきではない。)
35 这么着办就好了。Zhèyàng bàn jiù hǎo le.
  It would have been better this way. (こうすればいいのです。)
36 许多人都这样想。 name
  Many people think so.  (多くの人がそんな風に思っています。)
37 他不像你那样仔细。 Name 
  He’s not so carefull as you are. (彼はあんたみたいに詳しくはない。。)
38 别走得这么快。 name
  Don’t walk so fast. (そんなに早く歩かないでよ。)
39 这工作,没你说的那样好。 name
  This job, not as good you said.  (この仕事, 君が言うほどよくはない。)
*40 哪会有这件事? name
  How can there be things as such? (どこにこんなことがあるのか。<あるはずはない。>)
*41 我哪儿知道他不吃牛肉? name
  Hou was I to know he didn’t eat beef? (彼が牛肉を食べないなんてなんで知るもんか。)
 ※ “这么・那么”“这么着・那么着”“这样・那样”は同義。“这么・那么”“这么着・那么
  着”は話し言葉で,“这样”“那那”は書き言葉で多く用いる。“这么着・那么着”は強調
  表現。
※ “这么・那么”“这么着・那么着”“这样・那样”は入れ替えても使えるが,口調の良しあ
  しがある。これらの語が33~37は動詞を修飾しているので方式を指す。38•39は形容詞を修
  飾しているので性質や程度を指す。
 ※ 40・41は“哪”または“哪儿”を動詞の前に用いて,反語の意味を表す。副詞とすべきで
  あろう。
 

g 状況代替の指示代詞 (状況を指す述部用法。呂氏のいう指示詞の一つ。)
这样 zhèyang 这么着(这么)zhè mezhe
(このようにする・そんなふうにする)so; such; this way; like this

那样nàyang  那么着(那么) nàmezhe
(そのようにする・あんなふうにする)do that; do so

42 这样, 就是这样。 name
  So, and so only. (そういうことなら,そういうことだ。)
43 一会儿这样, 一会儿那样。name
  (He is )now one way, now another. (こうだと思ったら,すぐまたああだ。)
44 情况就是这样。Qíngkuàng jiùshì zhèyàng.
  That’s how it is. (状況はこんなふうです。)
45 她的身高大概那样。name
  She is about so tall. (彼女の身長は大体あのくらいです。)
46 真是那样的吗? Name 
  Is that really so? (本当にそうなんですか。)
47 这么着好。name
  It’s beter this way. (こうやるといい。)
48 要是这么着, 那我就去吧。 name
  In that case, I’ll go. (そういうことであるなら,それなら行くことにしましょう。)
49 你再那么着, 我就火了。 name
  If you do that again, I’ll get angry. (もう一度あんなふうなら,私は怒るからな.)
 ※ ある動作あるいは状況をまるごと代替し,主語か賓語となる。いずれも同義。“这么”“那么”
  と言うこともあるが,“这么着”“那么着”,または“这样”“那样”が多く使われる。
 ※ “这样”“那样”はもともとは“这一样”“那一样”の連語の略。

h 接続詞用法
那么③ nàme (それなら) then; in that case; such being the case 

47 听说他不在家, 那么我们不去了。 name
  He is sai d to be not at home. In that case, we shall not go there. (彼は不在だそ
  うです。そういうことですから,出かけるのは止めにしましょう。)
48 那么我们就不再等了。 name
  In that case, we won’t wait any longer. (それならもう私たちは待たないことにしましょう。)
 ※ 45のように前節を受けて,結果あるいは判断を表す。46は前節の省略。
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by damao36 | 2012-05-04 21:32 | 中国語文法 | Comments(0)

208 数詞(2) ―数量詞と序数,そして“2”の発音

 私たちの数字の読み方には数字の基数のみを読む“つぶ読み”と位数までを加えて読む“位読み”とがありました。洋数字は基数のみの数字で、位数は今は3ケタごとに点を打って示します。漢数字はもともと基数と位数とがありますから,点を打つ必要はありません。この「基数+位数」の組み合わせの数字を中国語では数詞(中国語は“数词”shùcí)と呼んでいます。《现代汉语词典》の数詞の説明は以下のとおりです。
  【数词】shùcí表示数目的词。数词连用或者加上别的词,可以表示序数、分数、倍数、
      概数,如‘第一、八成、百分之五、一千倍、十六七、二三十、四十上下’。
      ( 数量を表す語。数詞をつづけて用いたり,別の語を加えて,序数、分数、
       倍数、概数を示すことができる。例えば‘第一、八割、百分の五、千倍、
       十六七、二三十、四十前後’。)

 日本語にも数詞と言う語がありますので,まずは『広辞苑』の説明を挙げておきます。
  すう‐し【数詞】(numeral) 数量を量り、または順序を数えるのに用いる語。前者は
      一・二・三或いは一個・二個・三個の類(基数詞という)、後者は一番・二番・
      三番或いは第一・第二・第三の類(序数詞という)。これを一品詞とみなす説も
      あるが、日本語では特別に扱う必要はなく、名詞の中の一種と見るのが妥当。

 さて,中国語と日本語の数詞,いずれも数量を表す基数詞と,他の語を加えて順序を数える序数詞とがあり,その点は同じですが,違うところもあります。

 違いの一つは,日本語の数詞は「これを一品詞とみなす説もあるが、日本語では特別に扱う必要はなく、名詞の中の一種と見るのが妥当」とあるように,学校文法などでは一品詞としては認められていません。しかし,中国語の数詞は名詞とは異なる点があるということから,独立した品詞になっています。

 もう一つの違いは基数詞の範囲です。『広辞苑』が挙げている基数詞例は「前者は一・二・三或いは一個・二個・三個の類(基数詞という)」とあります。この具体例,中国語なら前半は基数詞ですが,後半の「一個・二個・三個」(“一个、两个、三个”)は具体的な事物の数を表す名詞で,品詞は<数詞+量詞>の合体した連語です。特にこれを数量詞shùliángcíと呼んでいます。
 ※ 数量詞は本当は数・量詞と「・」点を入れて表記したいところだが,一般例に倣う。
 ※ 数量詞の《现代汉语词典》の説明は以下のとおり。
  【数量词】shùliángcí 数词和量词连用时的合称。如‘三本书’的‘三本’,‘一群人’
       的‘一群’,‘去一次’的‘一次’。
      (数詞と量詞を連用したときの名称。例えば‘三冊の本’の‘三冊’,’一群
       の人’の‘一群’,‘一度行く’の‘一度。。)
 ※ 《现代汉语词典》の説明では,数詞は基数詞以外に序数、分数、倍数、概数を挙げて
   いるが,少数や不定数・略数もある。なお,基数詞以外の数詞を品詞に分けると,序
   数の“第一”は<接頭語+数詞>,分数・倍数の“八成”“百分”“一千倍”は<数
   詞+量詞(助数詞)>,概数の“上下”は<数詞+名詞連語>で,いずれも複合語に
   なる。しかし,数量詞のように具体的なものの数量を示すものではないので,名詞と
   はしない。
 ※ 中国語の基数詞は“一~十、十一~一百、一百零一~一千、一千零一~一万、一万零
   一~一億、一億零一~一兆、……,半, 半百,两,廿(niàn), 卅(sà), 么(yāo)”などの
   整数で,物を数えときに用いるである。この基数詞に具体的なものを示す量詞が付
   くと,数量を表す名詞と考える。“第”“头”“初”などの順序を示す接頭語がつく
   と序数詞で数詞の一つだが,“第一课”“头三天”と後に量詞がつくと順序を示す名
   詞と考える。


 それでは序数・分数・小数点・%・倍数・略数・概数の例を挙げておきます。

 序数 物の順序を表す語には数詞と順序名詞とがある。順序名詞は<接頭語+基数詞+量
    詞>の形式外に,接頭語のない形式,例えば年・月・日・曜日や時刻などがある。
 (数詞)  第一 the first (一番目)  初一 the first day(of a lunar month) (初一)
 (順序名詞)第一课(第一課)Lesson One  第二排坐席 the second row of seat (一番目)
       头三天(最初の三日間)the first three days
 ※ 中国語の序数は整数の前に”第~”などの接頭語をつけて表すものと,接頭語のつか
   ないものとがある。接頭語は”第~”のほかに,”头~”、”初”、”末~”、
   ”大~”、”小~”などがあるが,この形式は「接頭語+数詞+量詞/名詞」がふ
   つう。下線部が序数または序数詞で,この序数の最後に量詞や名詞がつづくと接頭語
   は省いてもいい場合もある。

   二○一一年 èr líng yī yī nián (2011年)
    ※ 接頭語のつかないものに年月日と曜日があり,西暦年だけは今はつぶ読みがふつ
      うである。「0」は漢数字だと“零”であるが,今は洋数字のゼロで表記する。
   五月十五日(号) yī (5月15日)
    ※ 月・日は位読みで読m。「日」は文書では日本と同じく数字のあとに「日rì」
      と書くが,口語では“号hào”がふつう。
   星期一xīngqī  yī (5)
    ※ あとは火曜から土曜まで“星期二” “星期三” “星期四” “星期五” “星
      期六”となる。「日曜日」は“星期日xīngqīrì”または“星期天xīngqītiān”。
      なお,曜日はキリスト教の伝来と関係が深いので,“星期”の代わりに“礼
      拜lǐbài”を使う場合も多い。

   2:00  两 点 (钟)     liǎng dian(zhōng)    It is two (o’clock).
   3:05 三 点 零 五 分   sān diǎn líng wǔ fēn
    三 点 过 五 分s  ān diǎn guò wǔ fēn    It is five minutes past three.
   4:15 四 点 十五 分   sì diǎn shíwǔ fēn     It is fifteen minutes past four.
    四 点 一 刻     sì diǎn yí kè       It is a quarter past four.
   5:30 五 点 三十 分    wǔ diǎn sānshí fēn    It is thirty minutes past faive.
    五 点 半      wǔ diǎn bàn       It is half past five.
   6:45 六 点 四十五 分   liù diǎn sìshíwǔ fēn    It is 45 minutes past six..
     六 点 三 刻     liù diǎn sān kè      It is three quarters past six
   7:55 七 点 五十五 分   qī diǎn wǔshíwǔ fēn   It is seven past 55 minutes.
        差 五 分 八 点   chà wǔ fēn bā diǎn    It is 5 minutes to eight.
   ※ 年齢、金額、時刻、時間などは数量詞なのか序数なのかちょっと迷うところで
     ある。中国人は数量詞と考えてる。したがって,一桁の年齢、金額、時刻、時
     間は“两岁”(2歳)、“两块”(2円)、“两点”(2時)、“两小时”
     (2時間)というのがふう。(ともに既述の“两”の用法に従う。)
   ※ 「いま何時ですか。」は“现在 几 点?”( Xiànzài jǐ diǎn? What time is it now?)
     その答えの「いま○○です。」は“ 现在 (是)○ 点。”Xiànzài ×× diǎn. It is
      ××o’clock.)という。
   ※ “上午”“正午”“下午”“早上”“晩上”“半夜”

「2時」を“两点”というところから,これも数量詞にしていると理解されます。ところが,“一点”が数量詞ならyí diǎnと読むはずなのに,yī diǎnと読む人(117の時報も)も少なからず存在します(前者は北京出身者に多いとか)とが存在します。なお,“七点”“八点”も実際に発音するときは第4声に引きずられて,最初を第2声にして発音されがちです。

 分数:  2/5 (五分之二) wǔ fēn zhī èr two-fifths

 小数点: 321.456(三百二十一点四五六) sānbǎi yīshiěr diǎn sì wǔ liù
                  Three thousands twenty-one point foue five six
     (コンマは点diǎnといい、コンマ以下は粒読みする。)qu
※ 小数点以下は“つぶ読み”する。

 %:  97%(百分之九十七) bǎi fēn zhī jiǔshi qī 98 per cent

 概数: 大约一小时的路程 dàyuē yí xiǎoshí de lùchéng 
              It’s about one hour’s joueney.(約1時間の行程である。)
     约有二十人 Yuē yǒu èrshí rén   about twenty people (約20人いる)
     两年左右 liǎng nián zuǒyòu  two years or so (2年前後)
     一米七上下 yì mǐ qī shàngxià  about two metres/two metres or so
                    (1メートル70センチ前後)
     黄金周前后 huángjīnzhōu qiánhòu (ゴールデンウィーク前後)
     二十几个人 èrshí jǐ ge rén   twenty odd people (20何人)
     四个多月 sì ge duō yuè   more than four months/four months and more
                  (4か月あまり)
     五十来岁 wǔshí lái suì   about twenty (years old)(50いくつ)
     七八天  qī bā tiān    a couple of days(7,8日)
     两三天  liǎng sān tiān   a couple of days(2,3日)

 略数: 半小时 bàn xiǎoshí half an hour (半時間)
     一天半 yìtiān bàn  half a day (1日半)
    ※ 上記の例は“半”という語の数詞の例です。“半”はほかに量詞と副詞の用
      法がある。

 倍数: 从来数量的一倍。 Cónglái shùliàng de liǎng bèi.
     从来数量增加一倍。 Cónglái shùliàng zèngjiā yí bèi.」
    ※ 「倍」という漢字の意味は,ある数量を二つ合わせた数量。日本語は倍も2倍
      も同じ。中国語で「いままでの数量が2倍になった」というときは,上記の例の
      どちらかで言う。もし,“从来数量增加两倍。Cónglái shùliàng zèngjiā liǎng
      bèi.”といったら,「いままでの数量が3倍になった」ということになる。


 それでは最後に,基数詞または数量名詞の「2」の部分を“èr(二)”と読んだり,“líng(两)”と読んだりすることについて,まとめておきます。まずは試しに,以下の基数詞を読んでみてください。
    2  èr
   22  èrshí èr
   202  èrbǎi líng èr / liǎngbǎi líng èr
   220  èrbǎi èr(shí) / liǎngbǎi èr(shí)
   222  èrbǎi èrshièr / liǎngbǎi èrshi èr
  2,002   liǎngqiān líng èr
  2,020   liǎngqiān líng èrshí
  2,200   liǎngqiān èr(bǎi)
  2,220  liǎngqiān èrbǎi èr(shí) / liǎngqiān liǎngbǎi èr(shí)
       liǎngqiān èr bǎi èr(shí)
 22,222   liǎngwàn èrqiān èrbǎi èrshí èr
 222,222   èrshí èrwàn liǎngqiān èrbǎi èrshí èr
       èrshí èrwàn liǎngqiān liǎngbǎi èrshí èr
2,222,222 liǎngbǎi èrshí èrwàn liǎngqiān èrbǎi èrshí èr

 上記の読みからわかることを整理しておきます。(異説も多いので,割り切って,私ならこう読むでまとめる。)
1. 1の位と10の位は“líng(两)”は用いず,必ず“èr(二)”を用いる。
2. 100の位は一般的に“èr”を用いるが,時に“líng”も用いる。
3. 1000の位,万の位(亿・兆の位も)最初の「2」は必ず“líng”を用いる。ただし,ケタ
  数の多い数字の場合は最初の位に“líng”は使うが,煩雑になるので,後の「2」は“èr”
  にすることが多い。(ただし,èrqiānは言いにくいので,“línqiān”を用いる。)
4. 万の位以上の数の途中に「2」があると,例えば「~亿2000万」「~亿200万」なら
  “líng”を用いる。しかし,「~千~百20万」「~千~百22万」の場合は1.と同じで,
  必ず“èr”を用いる。
 ※ 日本語でも「4」を「ヨン」,「7」を「ナナ」と発音したりする。基本的にはそれと
   同じであろう。あとにつづく語との相性とか明確さとかいうところから,“líng”を用
   いるようになったと推測する。

 上記の数字は基数詞を“位読み”した場合でした。数字を“つぶ読み”する場合には“ling”は用いず,すべて“èr”と発音します。また,数詞の中の序数詞や小数・分数・%も“ling”は用いず,“èr”と発音します。

 以上は基数詞についての“líng(两)”の用い方でしたが,<数詞+量詞>からなる数量名詞の場合にも“líng(两)”は良く用いられ,その用法は基数詞とは多少異なるので,以下にまとめておきます。

5. ヒト桁の数に量詞がつくときは“liǎng两”と言う。
   两岁 liǎng suì(2歳) 两块 liǎng kuài(2円)
   两点 liǎng diǎn(2時) 两小时 liǎng xiǎoshí(2時間)
   两本书liǎng ben shū(2冊の本) 两个苹果liǎng ge pínguǒ (りんご2個)
6. フタ桁以上の数のヒト桁とフタ桁の「2」は“liǎng两”とは言わない。
   22こ   ○èr shí èr ge(二十二个 ×liǎng sí liǎng ge ( 两十两个)
7. 中国旧来の度量衡の単位には“二”と“两”両方が用いられるが,外来の新度量衡の場
  合はおおむね“两”が用いられる。
   两尺/二尺liǎng chǐ / èr chǐ(2尺 ) 两斤/二斤liǎng jīn / èr jīn(2斤)
两米 liǎng mǐ(2メートル) 两吨 liǎng dùn(2トン)
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by damao36 | 2012-02-18 21:16 | 中国語文法 | Comments(0)

207 数詞(1)―基数と位数,そして“1”の発音

 わが国固有の数字の読み方は「ひ、ふ、み、よ、いつ、む、……」であり,日にちは「ついたち、ふつか、……、とおか,……はた あまり なぬか、……」,年齢は「とお、はた、みそぢ、よそぢ、……ももち、」でした。しかし今はそんなふうに言うことはなく,中国漢字音からきた「イチ、ニイ、サン、シ、ゴ、ロク……」という漢字音による読み方がふつうです。

 このように中国から伝わった漢数字を漢字音を取り入れてそのまま棒読みにしたということは,数字の読み方,つまり数量の表し方も,細かい点での違いはありますが,基本的には中国語の数量の表し方に倣ったということでもあります。

 横書きが主になった現在,日本でも中国でも数量を表す数字は洋数字(アラビア数字)を用いることが多くなってきました。ところで,この洋数字と漢数字には基本的に違うところがあります。

洋数字による数表記は,「0,1,2,3,4,5,6,7,8,9」という10個の数字(基数)の組み合わせです。ところが,私たち漢字文化圏で用いる漢数字というのは,厳密に言うと基数(系数とも)と位数の,2種類の文字の組み合わせなのです。

 基数(系数) 基礎として用いる数。十進法では0から9までの整数。
       ling    yī      èr     sān     sì     wǔ      liù     qī      bā     jiǔ
       零  一   二  三   四  五   六  七   八  九
    0   1   2   3   4   5   6   7   8   9


 位数  十進法での数の段階(位取り)を示す数詞。
      gè   shí  bǎi   qiān    wàn        yì           zhào        jīng
    (个) 十 百  千   万    亿      兆     京
       1    10  100   1000  1,0000  1,0000,0000 1,0000,0000,0000  兆×1,0000

  ※ 洋数字には位(くらい)を表す位数はないが,“つぶ読み”以外で読むときは必ず
    位数を加える。英語で「百」の位をhundred,「千」をthousand,「百万」をmillion,
    「億をはtrillionというのがそれである。英語は1,000以下は10進法だが,1,000を
    超えると1,000進法になる。したがって,3ケタごとに点を打って位を示す。
  ※ 日本語と中国語は“万”以下は10進法だが,“万”を越えると万進法になる。上記
    の数字でわかるように,“万”までは0が1つずつ増えているが,“万”を越える
    と0が4つずつ増えている。そのため,前世紀前半ごろまでは,漢字文化圏では上
    記のように4ケタごとに点を打っていた。しかし,今は欧米流に倣い,3ケタごと
    に点を打つので,慣れないと位読みは難しくなている。“中国語で亿”(億)を“万万”
    ともいのは“亿”は1,0000×1,0000だからだ。なお,リーマンショックで“京”
    という位数もお目にかかった。『大辞泉』では「兆の一万倍。10×16乗。古くは兆
    の一万10倍とも」と説明されている。しかし,《汉英大辞典》では「(①古代数
    目名,指一千万)ten million(an ancient numeral)(②千兆;十亿;10×9乗)giga」
    と書かれている。実際はどちらなのであろか。


 私たちの数の数え方は基数と位数の組み合わせであるということを,私たちはあまり意識しません。しかし,漢数字の“十”が位数を表す証左として,中国語では「10」という数字を漢数字で表記するとき,今でも“一十”(yì shí)と書いたりします。「11」や「19」も“一十一”(yì shí yī), “一十九”(yì shí jiǔ)と発音することもあります。ただ,いちいち基数の“一”を言わなくてもまぎれることが少ないので,省略されることがふつうになっているのです。

 また,日本語では“百”の位も“千”の位も“十”同様に基数の“一”を省いて用いています。しかし,現代中国語では必ず“一百~”(yì bǎi),“一千~”(yìqiān)と基数の“一”を省くことはありません。日本語の発音では省いてもバランスがとれますが,一語一音節の中国語は“一”を省くと不安定になります。そのせいでしょうか。そういえば,日本語でも「万」以上になると,必ずイチマンとかイチオクといい,「一」を付けて読んでいます。

 それでは,ひと桁の“一”から“九”までの数詞には位数はないのかというと,そうではありません。必要ならその名詞に固有の量詞を付けます。日本語は「個」,中国語は“个” geなどです。


 また,発音構造の違いからでしょうか,位数の省略の仕方に日本語と中国語では違いが見られましたが,「ゼロ/零líng」(洋数字は○)の省き方にも違いがあります。

 例えば「301」という数字,日本語ではふつう「サンビャクイチ」と読み,漢数字では “三百一”と書くことになります。しかし,中国語では「301」は,必ず“三百零一”と書き,sān bǎi líng yīと発音します。 “三百一”だとsān bǎi yīと読み,“三百一十” (sān bǎi yī shí)の省略形,つまり“310”だと理解されます。「10」は“一十”だという意識が中国人には定着しているからでしょうか。

 さらに数字の中にゼロが複数つづいたときに,日本語とは違う読み方が見られます。

 例えばある品物の値段が1005円だったとすると,日本語では「センゴエン」と言い,聞く人は「千円と(飛んで)5円だ」と理解します。中国語でも“一千五块”(yìqiān wǔ kuài)と,しっかり単位をつけて言ってくれると,日本語t同じ1005円になるのですが,中国語ネイティブはしばしば単位は飛ばして金額の数字だけを言う習慣があります。ですから,1005円は「センゴエン」でいいのだからと,「円」だけを省いて“一千五yìqiān wǔ”というと“一千五百yìqiān wǔ bǎi”になってしまいます。数字だけを言うときは必ず“一千零零五”(yìqiān línglíng wǔ)と言ってください。なお,“一千零五”(yìqiān líng wǔ yì)でもかまいません。

 さて,私たちの数の数え方には基数と位数の組み合わせで読む“位読み”と,基数だけを読む“つぶ読み”(棒読み)とがあります。“つぶ読み”するものに年号や部屋番号,電話番号などがありますので,“つぶ読み”の注意点を述べておきます。
  年   号  2001年(èr ling ling yī niáo)
  部屋番号  7103号(qī yāo ling sān hào)
  電話番号  7654 3210(qī liù wǔ sì sān èr yāo líng)
   ※ 年号の“1”はyīと発音するが,数字が並んでいる電話番号などの場合 は,“1”を聞き間違わないように
      yāoと発音するのがふつう。したがって,“110”はyāo yāo líng,“119”はyāo yāo jiǔという。


 それでは今までのことを頭に置きながら、以下の数字を“つぶ読み”ではなく,“位読み”で読んでみましょう。

   101(一百零一)     yìbǎi líng yī
  110(一百一十)    yìbǎi yī(shí)
  111(一百一十一)   yìbǎi yīshiyī
 1,001(一千零零一)    yìqiān líng yī
 1,010(一千零一十)   yìqiān líng yī(shì)
 1,100(一千一百)    yìqiān yì(bǎi)
 1,110(一千一百一十)  yìqiān yìbǎi yī(shì)
11,001(一万一千零一)  yìwàn yìqiān líng yī 
      
  ※ 「110」が「110个」と量詞がついているとshíの省略はできない。
  ※ 最後の例のように途中にゼロが複数つづくときは1つでもよい。

 初学者は“0”língをどう読むかということと,“1” yīの発音にきっととまどわれたことでしょう。特に“1” yīは本来は第1声であるのに,「第1・2・3声が続くときは第4声に」,「第4声が続くときは第1声に」声調変化する数少ない語ですから。(連音による声調変化は“1”以外は否定の”不“だけです。)
  ≪参考≫“一”の連音による声調の変化の法則 
  1 第1声,第2声,第3声が続くときは,第4声になる。   
     一天 ×yītiān →○yìtiān  一年 ×yīnián →○yìnián   一百 ×yībǎi →○yìbǎi
  2 第4声が続くときは,第2声になる。(4声になりたいが、2声で我慢。相原茂氏
    はこれを「やせ我慢の法則」と名づけている。)
     一万 ×yīwàn →○yíwàn 一个 ×yīgè →○yígè
  3 序数を表す場合は,一般に声調変化しない。ただし,後に第4声が続くとき,変調
    することもある。 
     第一次 dìyīcì  一月一号 yīyuè yīhào   第一课 dìyīkè
  4 動詞の重ね型の間にある「一」は軽声になる。   
     看一看 kàn yi kàn 尝一尝cháng yi cháng
       ※ <閑話休題>の答え yí wàn yì qián yì bǎi yī shí yī

 中国語の発音は英語のように発音が縮まるということはなく,どんなに急いで発音しても漢字のもつ固有の声調をくずさないのが原則です。しかし,どの言語もそうであるように,中国語も発音のしやすさという観点から,①連音による変化と②軽声化という2つの声調変化があります。①の連音による変化はなぜか「不」と「一」という二文字にのみ起こる現象です。

 この“一”の連音による変化の原則が上表の1,2,3です。(4は②に該当)

 上記数字の例で,「101(一百零一)」から「1,101(一千一百零一)」までの“百”と“千”の前の“一”の発音,本来の第1声のyīではなくて第4声のyìとになっているのは,原則1に該当するからです。

 「11,101(一万一千一百零一)」の“万”の前の“一”が第2声のyíとになっているのは,原則2に該当するからです。

 上記の全数字の一桁の「1」(一)の発音は, “一”の本来の音である第1声のyīです。それは原則1、2に該当しないからです。

 また,「10」という数字を“一十”と“一”を加えて読んだときの“一”の発音,それは本来の第1声yīで読みます。“一十”の“十”は第2声ですから,原則1でいいはずですが, “一”を加えて読むということはわざわざ強調して読んでいるわけですから,フオーマルに読むのでしょう。


<閑話休題> 腕試しに、以下の数字の“一”(yi)に声調記号をつけてみましょう。(答えは前頁の≪参考≫欄の最後。)
      一万一千一百一十一    (11,111)
    yi wan yi qian yi bai yi shi yi

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by damao36 | 2012-02-05 22:06 | 中国語文法 | Comments(0)