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これでいいのか⑤——中国語の16文型

 英語の文法書には必ずと言っていいほど5つの英語文型の説明があります。なのにどうして中国語の文法書には文型を説明したもがのほとんどないのでしょうか。日本語も同じですが、テニヲハ付着語の日本語文は主語がきて連用修飾語がきて述語で終わる、動詞述語文でいうと基本文型はSVの1文型だから、その説明は不要だからでしょう。中国語はあまりにも煩雑だと考えられているからではないでしょうか。

 私は『日英中 三方攻読 中国語文法ワールド』で中国語文型は16文型と、その表(P.56)を掲げておきました。中国語の述語は英語のように動詞だけではなく、日本語同様形容詞や名詞、主述述語があるので、それだけで4つになります。その中のいちばん多い動詞述語文に限ると私案の表では11文型になります。

 でも、よくよく眺めてみたら、①~⑪の文型はSV,SVO、SVCO,SVOO,SVOVO、SVO/SVOの6文型にまとめることができる、そんな気もしてきました。

 S                      ……動詞単純動作文)

 SO  Oの関係。               ……”構文関係同一文)

 SO                             ……動賓動作対象文)

 S(特定主語)()O(場所時間賓語)                     ……”構文(所在文)

S(特定主語)()O(所有物・達成量や程度)                 ……”構文(所有文)

 S(場所時間主語)O(実質主語)                        ……場所時間主語文(存現文)

※ 存現文存在文(述語は)・出現文消失文に下位分類される。

 S介詞連語(O)               ……一般介詞構文条件明示)

S“把”Oα(O2)  ※ Oは実質賓語          ……“把”構文(処置文)

S“被”Nα                    ……”構文(受動文)

S比”O(O2)                 ……”構文(比較文a)

S助動詞(O2)                   ……助動詞文(態度表明文)

 SO(=SVO)                       ……主述賓語文(内界表出文)

 SC(O)                     ……動詞補語述語補完文a)

※ は結果・方向・可能・程度・様態・数量補語になる。

※ 数量補語ではの前に付くことある。

 SOO 2                             ……二重賓語文(授与取得文)

 S1O12O2                             ……連動文(物事達成文)

           ……”連動文(物事所有文)

※ 連動文にはの欠ける文,になる文も含む。

 S 1O/S22O 2                             ……兼語(使役文)

            ……一般動詞兼語(語彙的使役文)

           ……”兼語(行為存在文)

※ O/Sは前節賓語Oが後節主語Sを兼ねることを示す。

※ 使役文に“使などの使役動詞がくる。

 SA                     ……形容詞述語文性質説明文)

 SC                              ……形容詞補語(述語補完b)

 S1比”S2C)                     ……“比”構文(比較文b)

 S                       ……名詞述語文(名詞問答文)

 (=SA/SV/SVO)                 ……主述述語文(主題文)

※ 主題文の主述述語は形容詞が多いが,動詞もある。


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by damao36 | 2017-07-30 08:50 | Comments(0)

これでいいのか③――名詞の分類

 ≪名詞の分類≫に関する「これでいいのか」は、一度このブログにアップしたのですが、誤って削除してしまいました。もう一度アップしなおすことにします。

 まずは、『日英中 三方攻読 中国語文法ワールド』のP.184に掲げた名詞の分類≫表を転記します。

名詞の分類

一般名詞  可算名詞   a 個体名詞 単体であることを基本とする人・物・事)

 b 集合名詞 (人・物・事の集合体)

不可算名詞  c 物質名詞 (一定の形のない物質)

 d 抽象名詞 (抽象的な事物・思考など)

固有名詞 (国名・地名・人名など)

時間名詞(時間詞(時間詞は時間名詞以外に時間名詞などに介詞・方位詞の付加した連語をも含む) 

方位名詞(方位詞(方位詞は方位名詞以外に時間名詞や場所名詞との連語をも含む)

場所名詞(場所詞(場所詞は地名や場所指示の代詞などに介詞・方位詞の付加した連語をも含む)

     ※ 英語名詞の分類は普通名詞・集合名詞・固有名詞・物質名詞・抽象名詞の5つで,それを可算名詞と不可算名詞に区分する。中国語同様性・数の区別のない日本語は実用としては普通名詞と固有名詞の2区分でよく,代名詞や数詞も名詞としている。

※ 中国語文法では普通名詞という用語ではなく,一般名詞という用語が用いられている。状語とはならないの一般名詞との固有名詞の総称を本書は普通名詞とする。

※ 一般名詞adは可算・不可算を問わず<数詞量詞>からなる数量詞を付けて,数えることができる。adは用いる量詞の違いから分類されたものである。

 さて、この表のどこが疑問かというと、一般名詞と普通名詞の区別があやしいという所です。英語や日本語の文法書には普通名詞という用語は出てきますが、一般名詞という呼称は見かけません。逆に私が参照した中国語文法書には一般名詞という呼称はありますが、普通名詞という呼び方は出ていませんでした。そこで私は普通名詞を裳2つめの※印のように理解したのでしたが、これはどうも間違いのよで、正しくは時間名詞・方位名詞・場所名詞に対応する名詞の呼称が一般名詞で、普通名詞は表aの個体名詞の別称ではないか、そのように今は考えているのです。また、表の固有名詞は不可算名詞の一種が正しいとも思い直しております。



ゆえに、上記表を以下のように訂正します。

一般名詞 可算名詞  a 個体名詞 (通名詞とも)単体であることを基本とする人・物・事)
            b 集合名詞 (人・物・事の集合体)
     不可算名詞  c 物質名詞 (一定の形のない物質)
            d 抽象名詞 (抽象的な事物・思考など)
            e 固有名詞(国名・地名・人名など)

時間名詞(時間詞(時間詞は時間名詞以外に時間名詞などに介詞・方位詞の付加した連語をも含む) 

方位名詞(方位詞(方位詞は方位名詞以外に時間名詞や場所名詞との連語をも含む)

場所名詞(場所詞(場所詞は地名や場所指示の代詞などに介詞・方位詞の付加した連語をも含む)


 ≪後記≫ 固有名詞をeとしましたが、一般名詞に対応するとした方がいい、という意見もありま
      した。どうしたものか、留保しておきます。



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by damao36 | 2017-07-28 09:55 | Comments(0)

209ー代詞(1)―人称代名詞

 代名詞というのは名詞の繰り返しを避けるために名詞の代わりに用いる代替のはたらきをしたり,人や事物を表す名詞を指し示す指示のはたらきをしたりする語のことです。

 ところで中国語ではそのような語の品詞を代名詞とは言わず,代詞と呼んでいます。その理由は,中国語の代詞は英語や日本語で言う名詞代替のはたらきをする語も含んでいますが,それ以外のはたらきをする語(日本語の連体詞や副詞,英語の形容詞や副詞)をも含んでいるからです。
  ※ 英語のpronoun(代名詞)は以下のように下位分類されている。
     人称代名詞(I , my, me, we, our, us, you, yourなど。) 
     不定代名詞(one,they,some,any,allなど。)
     指示代名詞(this, that, these, thoseなど。)  
     疑問代名詞(who ,which, what, howなど。)
     関係代名詞(who, which, thatなど。)
     再帰代名詞(myself, yourself, himself, herselfなど。)
  ※ 疑問代名詞にはwho ,which, what, howなどがあるが,when.where,why ,howは
   疑問の副詞である。この疑問副詞と疑問代名詞などをくるめて言うときは疑問詞という。
  ※ 日本語の代名詞を『広辞苑』は以下のように説明している。
      品詞の一。ある場面または文脈に現れた人・事物・方向などを、そのものの名称・名詞
     を使わず、話者から見た相手・第三者・遠近などの関係によって指し分けるのに用いる
     語。人代名詞・指示代名詞など。国文法では名詞に含ませる説もある。
  ※ 日本語の代名詞が英語や中国語と最も違う点は,話し相手によって「私・僕・おれ」などと
   呼称を変えなくてはならないところである。そのため人称代名詞の数が英語や中国語の10倍
   前後になる。

 それでは中国語の代詞の説明を《现代汉语词典》と中国の言語学者王力氏の《中国語法理論》新版(1954年出版)での説明を紹介し,その後に≪中国語代詞の分類≫を示しておきます。
  【代词】dàicí 代替名词、动词、形容词、数量词、副词的词,包括:a)人称代词,如‘我、你、
      他、我们、咱们、自己、人家’;b)疑问代词,如‘谁、什么、哪儿、多会儿、怎么、
      怎样、几、多少、多么’;c)指示代词,如‘这、这里、这么、这样、这么些、那、
      那里、那么、那样、那么些’。( 《现代汉语词典》)
    (訳)名詞・動詞・形容詞・数量詞・副詞となる語の代わりをする。a)人称代詞,……,
      b)疑問代詞,……,c)指示代詞,……,を含む。)

     代詞的定義及其範圍――英文的Pronouns譯成中文、該是「代名詞」。現在我們用「代
   詞」這個名稱、不用「代名詞」、因為我們想把它的範圍推廣些。普通對於「代 名詞」的定
   義:「凡詞用以替代名詞者叫做代名詞」;而我們對於「代詞」的定義是: 「凡詞能替代實詞者
   叫代詞」。(『中国語法理論。』中華書局出版 1955年版下冊1頁)
  (訳) 代詞の定義とその範圍――英文のpronounsを中国語に訳すなら「代名詞」である。
    しかし,いま私たちは「代詞」という名称を用い,「代名詞」とはいわない。なぜかとい
    うと,私たちはその範囲をすこしばかり広げて用いているからである。「代名詞」の定義
    といえば「名詞にとって代わるもの」のことであるが,私たちが用いる「代詞」を定義す
    るなら,それは「実詞にとって代われるもの」といういいである。
  ※ 「凡詞能替代實詞者叫代詞」の「実詞」とはいわゆる品詞分類の実詞・虚詞の「実詞」で
   はなく,「実在する事物を表す語句」のことではないかと理解している。
  ※ 王力氏はロンドン留学中にデンマークの言語学者オットー・イェスペルセンに傾倒し,上
   記の書を著す。このイェスペルセンの著書『文法の原理』(安藤貞雄訳 上。中・下)は
   2006年岩波文庫版として出版されている。
  ※ 代名詞はpronounとふつうsは付かない。王力氏の書にはsが付けている。

≪中国語の代詞の分類≫
1 人称代詞 (‘我、你、他、我们、你们、他们、谁’など。「人称代名詞」と呼んでも可。)
2 指示代詞 
 a 指示代名詞(‘这、那、哪、这边、那边、哪边’など。) 
 b 指示形容詞(‘这些、那些、哪些’など。)
 c 指示副詞 (‘这么、那么、哪么‘など。)
3 疑問代詞
 a 疑問代名詞 (‘谁、什么、哪儿、多会儿’など。) 
 b 疑問数量詞(‘几、多少’ など。)
 c 疑問形容詞(‘哪、哪个、怎样、怎么样、几、多少’など。)
 d 疑問副詞 (‘怎么、怎样、怎么样、为什么、多・多么’など。)
  ※ 1と2のaは人称代名詞・指示代名詞と呼んでよい。しかし,あとは決して「名詞に代わる
   もの」ではないので,不可。それなら“代”形容詞,“代”副詞にすべきかというと,それ
   らの代詞は「形容詞や副詞詞に代わるもの」ではないので,“代”は不適。
  ※ 呂淑湘の《现代汉语八百词》(日本語訳『中国語文法用例辞典』)の品詞分類では上記の
   1人称代詞・2a 指示代詞・3a 疑問名詞を代詞とし,あとは指示詞としている。



 それでは中国語の人称代詞とはどのようなものがあるのか,表にまとめてみました。
   (単    数)     (複     数)
 第1人称  我wǒ   咱zán      我们wǒmen  咱zán 咱们zánmen  
       I  my  me  mine we  oue  us  ours
 第2人称  你nǐ   您nín(敬称)    你们nǐmen
       you your you yours  you your you yours
 第3人称  他tā  她tā  它tā     他们tāmen 她们tāmen 它们tāmen
       he his him his       she her her hers  they their them theirs
 
 不定称(疑問人称代詞)   谁 shéi(shuí) who whose whom
  ※ ‘咱’は単数の場合と複数の場合がある。 ‘咱’・‘咱们’は北方方言。複数の場合は
   話し手側と聞き手側を含む。それに対して‘我们’は話し手側と聞き手側を含む場合と話し
   手側だけの場合がある。
  ※ ‘谁’は正確に言うと人称代名詞とは言えない。なぜなら,他の人称代詞のように「名詞
   の代わりに用いる語」ではなく,‘谁’に該当する名詞を求めている語であるから。でも,
   人称代詞なら問題はない。
  ※ 上記以外に以下の語も人称代詞である。
    自己zìjǐ(自分。自身。日本語の「自分」同様,2・3人称と共に使って他人をも指すこと
        ができる。oneself)
     例 学习主要靠自己努力。Xuéxí zhǔyào kào zìjǐ nǔlì.
       Success in study mainly depends on yourself efforts.
       (学ぶことで大切なことは自分が努力するかどうかである。)
    人家rénjia (人様。他人。あの人。自分を指すこともある。‘家’は軽声。1声に読む
          と人の家。other; another.)
     例 人家能做到的, 我们也能做到。Rénjia néng zuòdào de, wǒmen yě néng zuòdào.
       If other people can do it , so can we.
       (人様ができることは私たちだってできる。)
       人家等你半天了。Rènjia děng nǐ bàntiān le.
       I’ve been waiting for you for quit a while.
       (あんたを長いこと待つたんだよ。)
    大家dàjiā (みんな。居合わせた人々を指して言う。自分を含めても含めなくてもよい。
         呼び掛けには)使わない。all; everybody.)
     例 大家的事大家管。Dàjiā de shì dàjiā guǎn.
        Everybody’s business should be everybody’s responsibility.
        (みんなのことは みんなで決めよう。)
    别人biéren(他の人。はたのもの。‘人家’の意味に似ているが,以下の点が異なる。
          ①具体的な人は指さない。②)‘人家’は話し手自身を指すこともあるが,
          そういう用法はない。③‘人家’は‘人家小李’(あの李君)という言い方が
          できるが,そういう用法はない。
     例 不要在背后说别人的坏话。Bú yào zài bèihòu shuō biéren de huàihuà.
       Don’t speak ill of others behind them.
       (陰で他人の悪口を言ってはいけない。)
    某mǒu 某人mǒurén (特定の人を指すが,実名を言う必要のないときなどに用いる。あ
       る人。a certain  peson.また,実名のわからない時などにも用いるsmebody.
     例 我张某人不敢不同意。Wǒ Zāng mǒurén bù gǎn bù tóngyì.
       I dare not go against it.
       (私チョウなにがし,同意しないわけにはまいりません。)
       她曾经写过有关某位名人的书。Tā céngīng xiěguo yǒuguān mǒu wèi míngrén de shū。
       She once wrote a book on somebody famous.
       (彼女はかつてある有名人に関する本を書いたことがあります。)


 中国語の人称代名詞,ほぼ以上の語です。英語は主格•所有格•目的格があり(中国語は主格と目的格は同形),可算名詞と不可算名詞による単数・複数の区別とか,所有代名詞,関係代名詞,再帰代名詞の用法とかがあります。日本語はというと,話し相手によって人称を代えないと礼を欠くということがあり,人称代名詞の数がかなりなものになります。そういうことのない中国語の人称代詞は,問題は少ないといえます。
  ※ 日本語の1人称代名詞を挙げると,「わたくし・わたし・あたし・ぼく・おれ・自分・
   手前・小生・吾輩・拙者……」と,大変多い。また,日本人は子供のいる家庭内では夫を
   「お父さん」とか「パパ」といい,妻を「おかあさん」とか「ママ」と違和感なく呼ぶ。
   中国語の世界ではなぜかそのような現象はみられない。

 なお,中国語の人称代詞はでは主格と目的格は同形で,所有格は原則として人称代名詞に構造助詞の“~的de”をつけて示します。ただ,この≪人称代詞+的+名詞≫の形式はいつもそうだという訳ではありません。“的”を要しない≪人称代詞+名詞≫の場合もありますので,どういうときに“的”は不要かを知っておく必要はあります。簡単に言うと,緊密に結びついて熟語化している場合,人称代名詞+家族や人間関係・所属集団名の場合はいらないということです。

 要するに中国語の人称代詞の基本は,発音だけでいうなら,nǐ wǒ tāの3つ,それに2人称敬称のnínがくわわります。いずれも1音節語です。漢字で表記すると,“你・我・他/她/它/牠” ,それに2人称敬称の“您”の6つです。複数のときはmen(们)をつけます。日本語のように相手によって呼称を変えることはありません。
  ※ 2人称敬称の複数を“您们”と手紙などで書くこともあるが,口語ではいわない。どうし
   ても敬称で言いたいときは“您二位”“您三位”などと≪“您”+数詞+位≫を使う。
  ※ 代表的な人称代詞を続けて言うときはふつう“你・我・他”と言う。3人称の“他tā”は
   本来人間(男女)に限らず動物や無生物にも用いていた。やがて欧化語法の影響から,民国
   以来,女性の場合は“她”,人間以外の事物や動物を指して“它”を用いるようになった。
   さらに,動物を指して“牠”とも表記する。“它”は英語の“it”に相当するが,主語のとき
   は本来の名詞を用いるので,賓語や定語の中だけに現れる。


 ところで,日本語の人称代名詞は使わなくても通じるときはできるだけ使わないですませる傾向があります。中国語の人称代詞も使わなくても通じるときは省かれます。しかし,日本語とおなじで,できるだけ使わないようにと代名詞を避けているのではありません。言わなくてもすむのを言うのは,面倒だからです。ですから,ときに省くと表現がぞんざいになり,使うと表現が丁寧になる場合があります。
  ※ “去!”とだけいえば「(あっち)行け」と邪険に命令したいい方。“你去!”なら,場
   面にもよるが,男なら「君行けよ」,女性なら「あなた行きなさいよ」となり,一段やわら
   かい表現といえる。主語の人称代詞の有無には,このような表現効果もある。
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by damao36 | 2012-04-28 07:45 | Comments(0)

中国語の基本語彙は3000三千字、それがマスターできれば辞書はいらない?

 漢字というものは音韻体系のまったく違う中国から伝来したものです。ですから,その用法に違いが現れるのは自然なことです。

 日本語ネイテイブが漢字を用いる際の中国語ネイテイブとの違いの一つは、日本語ネイテイブは漢字一字一字の発音に中国語ネイテイブほど敏感ではないということにある,そんな気がしています。

 中国語の漢字語は必ず一字一音節です。その一字一音節の漢字語が中国語の基本語彙です。

 それに比べて日本語というのは一音語はきわめてまれです。「蚊」とか「木」とか「毛」とか少数で,大多数の語は多音節語です。無意味な音の集合です。「文法」という語も中国語ネイテイブは基本的には「wen(文)・fa(法)」と,一字・一音・有義で理解します。日本語ネイテイブの「bun pou(文法)」はあくまでもひとかたまりで「文法」なのです。最近やたらとカタカナ・外来語が多用されるのも,日本語ネイテイブにとっての単語というのは所詮は無意味な音の塊りだと思っているから,気にはならないのです。


 ところで,大正年間に中国語を勉強し始めた中国文学者の吉川幸次郎氏は,その当時は中日典など皆無に近かったということもあって,「私は専門とする中国語の書物を読むについては,あまり字引を引かない男である。」と書いています(「私と辞典」)。

 なぜそれが可能なのか。それは,中国語と言うものの基本語彙は単字で,大学者の吉川氏は6000字から7000字の間ぐらいを身につけていたそうです。

 中国語の熟語というのはほとんどが<単字+単字>の二字語です。<A+B+α>の構造です。もちろん<A+B>が限りなくゼロになって,<ゼロ+α>という語もあります。例えば“thing”の意味の“东西”などです。しかし,そういう語は少数です。

 単字の組み合わせである中国語の熟語は,自分がマスターしている単字の組み合わせなら,それぞれの意味を組み合わせて,さらに前後の文脈から類推すれば,自ずと正しい解に到達できる,そんな言語だと,昭和の碩学吉川幸次郎氏は述べています。

 普通の人の普通の生活なら,日本の常用漢字数程度で十分,あるいはそれを上回る3000字くらいなら,もう上等の部類でしょう。(ただし,会話となると,話はちょっと違うでしょうか。)
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by damao36 | 2011-12-16 20:10 | Comments(0)

181―二重賓語動詞とVOO文

 前節VO文の説明の中で,「中国語にもVOO文はありますが,二重に賓語をとる能力のある動詞は限られている」ということを述べました。それなら,どういう動詞が二重賓語をとることのできる動詞なのかというと,おおよそ以下の3グループの動詞群です。

A 「取得する」という意味をもつもの。(O2は動作の結果Sに加わるので,←印。)
  夺duō(奪う)     借jiè(借りる)     买mǎi(買う)     拿ná(手にもつ)   骗piàn(だます)  
  收shōu(受け取る)  偷tōu(盗む)      租zū(賃借りする)     赢yíng(勝ち取る)

B 「与える」という意味をもつもの。(O2は動作の結果O1に移動するので,→印。)
付fu 给gěi(与える)    还huán(返還する)    交jiāo(手渡す) 教jiào(教える)      借给jiègei(貸す)   
  卖mài(売る) 求qiu(求める) 送sòng(送る)       找zhǎo(おつりをさがす)     租zū(賃借する)

C 「述べる」という意味をもつもの。(O2は言語動作の内容だから,=印。)
  报告bàogào(報告する)   称chéng(称する)   告诉gàosu(教える)   回答huídá(回答する) 
   叫jiào(呼ぶ)    骂mà(ののしる)    请教qǐngjiào(教えてもらう)  说shuō(責める)  问wèn(尋ねる)

 その具体的な例文を挙げておきます。
A 1 我借你一百块钱。 Wǒ jiè nǐ yìbǎi kuài qiáni。
    I borrow one hundred yuan off you. (100円お借りします。)
  2 我买了新车二百万日元的。 Wǒ mǎile xīnchē Èérbǎi wàn Rìyuǎn de。
     I bought a new car two million Japanese yan. (200万円で新車を買った。)

B 3 我给你这个。Wǒ gěi nǐ zhèige。
     I give me that. (これ、差し上げます。)
  4 我还你这本书。Wǒ huán nǐ zhè běn shū。
    I give this book back to you. (この本をお返しします。)
  5 我借给你一万日元。Wǒ jiègěi nǐ yíwàn Rìyuǎn。
    I’ll lend you ten thousands yen. (1万円、貸しましょう。)
  6 谁借给你这么多的钱? Shéi jiègèi nǐ zhème duō de qián。
    Who lent you so much money?. (誰がそんなにお金を貸してくれたのかい。)
  7 我想求您一点儿事。Wǒ xiǎng jiù nín yìdiǎnr shì。
    Can I ask you a favor? (一つお願い事があります。)
  8 我送你生日礼物。Wǒ sòng nǐ shēngrì lǐwù。
    I will send you a present for your birthday. (誕生プレゼントを送ります。)

C 9 我们都称他”铁牛”。Wǒmen dōu chnég tā “Tiěniú”。
    We all call him Iron Ox. (私たちは彼をアイロン・オックスと言っている。)
 10 我教你日文。Wǒ jiào nǐ Rìwén。
    I teach you Japanise.(日本語、教えますよ。)
 11 我告诉你好消息。Wǒ gàosu nǐ hǎo xiāoxi。
    I tell me the good news. (いい知らせがあります。)
 12 请告诉我最受欢迎的观光景点。 Qǐng gàosu wǒ zuì shòu huányíng de  guānguang jīngdiǎn。
    Can you tell me the popular tourist spots?. (人気の観光スポットを教えてくださいた。)
 13 上级评他优秀员工。Shàngjí píng tā yōuxiàu yuǎngōng。
     His boss judged him a model worker. (上司は彼を優秀な職員だと認めた。)
 14 他骂我傻瓜。Tā mà wǒ shǎguā。
     He called me a champion idiot. (バカと彼にいわれた。)
 15 你可以叫我小龙。Nǐ kěyǐ jiào wǒ Xiǎo Lóng。
     You can call me Xiao Long. (私をショウローンと呼んでください。)
 16 我问你一个问题。 Wǒ wèn nǐ yí ge wèntǐ。
     Would you tell me the way to the bank? (一つ質問します。)

 VOO文,英会話もですが,中国語会話の中からその用例を見つけるけることは,多くありません。(なお,この例文英語では3・4・6・7・8・10・11・12・13・16がSVOO文型,1・2・5・9・14・15がSVOC文型です。)

 中国語のVOO文が少ない理由の一つは,中国語は英語とは違って,文の核となるSVが日本語同様後ろにあることが挙げられます。英語はVOの後に長い名詞節がつづいたとしても,付け足し部分と理解しますので,基本的な意味の理解に大きな影響はしません。しかし,文末で締める言語ではVの後に続く部分も含めて理解しようとする習性なので,内容把握に混乱をきたしがちです。ですから,中国語ではV(述語)の後はできるだけ短くする,そういうはたらきがあるのではないかと推測します。

 実際,英語のVOO文を中国語に直してみると,上記の二重賓語動詞以外は介詞構文を用いたVO文(18・19の文)にしたり,賓語の一方を主題(18・19の文)にしたりして,VOO文になることを避けています。
 17 I have won him to ply mahjong three times.(マージャンで彼に3回勝った。)
    打麻将,我赢了他三次。Dǎ májiàng, wǒ yíngle tā sān cì。
 18 I’ll tall her a truth. (彼女に本当のことを話す。)
    我向她说实话。Wǒ xiàng tā shuō shíhuà。
 19 She wrote me a long letter. (彼女は私に長い手紙をくれた。)
    她给我写了很长的一封信。Tā gěi wǒ xiěle hěn cháng de yī fēng xìn。
 20 Mother bought me a dictionary the other day.(母が私に辞書を買ってくれた。)
    妈妈给我买一本词典。Māma gě iwǒ mǎi yì běn cídiǎn。
    妈妈买给我一本词典。Māma mǎigei wǒ yì běn cídiǎn。
 21 Please bring me today’s paper. (今日の新聞を持ってきてくれ。)
    今天的报纸给我拿来。Jīntiān de bàozhǐ gěi wǒ nálai。
 22 He told me all he knew about it. (彼は知っていることはみな教えてくれた。)
    他所知道的事情全部告诉我了。Tā suǒ zhīào de shìqing gàosu wǒ le。
 
 しかし、二重賓語をとる動詞の場合は例13の“请告诉我最受欢迎的观光景点。”のように,長い名詞節の直接目的語をもつ文もあることはあります。名詞節以外の長い例文としては,英語では関係詞構文とか不定詞構文とかになるものもあります。
 23 你问他能不能明天来。Nǐwèn tā néng bù néng míngtiān lái。
   Will you ask him if he can come tomorrow? (明日これるかどうか彼に聞いてください。)
 24 我回答你不可做这个。Wǒ huídá nǐ bùkě zhòzhèige。
   l answer you not to do it. (これをしたらダメだと回答します。)
 25 我期待他更一步的前进。 Wǒ qīdài tā gèng yíbù de qiánjìn。
    I’m looking fouward to his further success.(彼がさらに向上することを期待しています。)
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by damao36 | 2011-05-28 07:26 | Comments(0)

170―数詞(1) 数量数と序数、そして”一”の発音

 わが国和文の古典書に出てくる数字は「ひ、ふ、み、よ、いつ、む、……」,日にちは「ついたち、ふつか、……、とおか,……はた あまり なぬか、……」,年齢は「とお、はた、みそぢ、よそぢ、……ももち、」というふうに読みますが,今はそんなふうにいうことはほとんどなく,中国漢字音からきた「イチ、ニイ、サン、シ、ゴ、ロク……」という読み方をしています。

 数字の読み方を中国語の発音の訛りで読むということは,中国から伝わった漢数字をそのまま棒読みしたということです。ですから,数字の読み方は,例外もありますが,基本的には中国人の読み方と同じだということになります。

 
 横書きが主になった現在,日本も中国もアラビア数字を用いることが多くなってきて,漢数字をもちいることは,特にわが国では,中国以上に近年は少なくなってきました。

 ところで,このアラビア数字での数表記と漢数字での数表記には微妙な違いがあります。

 アラビア数字による数表記は,「0,1,2,3,4,5,6,7,8,9」という10個の数字の組み合わせからなります。しかし,私たち漢字文化圏で用いる漢数字というものは,厳密に言うと系数(基数とも)と位数という2種類の漢数字に分かれるのです。

 係数(基数) 具体的な数を示す数詞
   Líng   yī    èr    sān    sì    wǔ    liù   qī    bā   jiǔ
   零   一    二    三    四    五    六   七   八   九
   0     1     2     3     4     5     6    7    8    9

 位数  位取りを示す数詞
  shí   bǎi     qiān     wàn      yì          zhào
  十   百     千     万      亿         兆
  10   100    1000   1,0000  1,0000,0000   1,0000,0000,0000
   
  ※ “万”以下は10進法,“万”を越えると万進法になります。ということは,“万”までは0が1つずつ増えていきますが,“万”を越えると0が4つずつ
  増えるということです。ですから,“亿”(億)のことを中国語では“万万”ともいいます。
  なお,英語の位数はhundred(百),thousand(千),million(百万)とtrillion(億)でしょう。20から90までの数字もでしょうか。



 そこで皆さん,何か疑問に感じることはないでしょうか。

 それは「10」という数字を表す漢数字の“十”は「具体的な数を示す数詞」ではという疑問ではないでしょうか。
 
 原則としては“十”はあくまでも位数なのです。本当は「10」という数字を漢数字で表記するときは“一十”(yì shí)と書くべきなのです。「11」,「19」も“一十一”(yì shí yī), “一十九”(yì shí jiǔ)と書くべきなのです。ただ,いちいち係数の“一”を言わなくてもまぎれることがないので,次第に省略されるようになったということです。

 また,日本語では“百”の位も“千”の位も“一”を省きますが,現代中国語では必ず“一百~”(yì bǎi),“一千~”(yì qiān)といいます。本当は日本語も省くべきではないのですが,一語一音節の中国語は“一”を省くと不安定になり,多音節語である日本語はそうはならないから,日本語では省略されたのでしょう。

 “一”から“九”までの数詞には位数はないのかというと,量詞になり,その代表は“个”でしょう。

 一語一音節の中国語と多音節語の日本語という言語の違いから,省略の仕方に違いが現れましたが,“零”(0)のつく数字の読み方にも違いが現れています。

 例えば「101」という数字,日本語では「ヒャクイチ」と読みますから,これを漢数字で書くと,“百一”になると私たちは考え,中国語で“一百一” (yì bǎi yī)といってしまうことになります。

 しかし,中国人が“一百一” (yì bǎi yī)という発音を聞いたら,これは「110」のことだと理解してしまいます。正式には“一百一十”(yì bǎi yī shí)というべきところを,最後の位数を省略したものと中国語では理解しなければなりません。

 ならば,中国語で「101」をいうときはどういうのかというと,必ず“一百零一”(yì bǎi líng yī)と,十の位はゼロであるということを明らかにいうことになります。

 要するに一語一音節の中国語は「一百(係数+位数)、一十(係数+位数)」というように,係数と位数への認識が日本語のようにあいまいではないということです。


 それではもう少し補足しておきます。

 例えば中国人が日本で買物をして,その値段が1005円だったとします。これを“一千五块”と単位を付けていえば誤解はされませんが,簡略に“一千五”といったら,相手は1500円だと思ってしまうことになります。“一千零零五”,もしくは“一千零五”というべきです。

 なお,年号や部屋番号,電話番号などはふつう以下のようにつぶ読みにします。
   年  号  2001年   (èr ling ling yī niáo)
   部屋番号 7103号   (qī yāo ling sān hào)
   電話番号 7654 3210(qī liù wǔ sì sān èr yāo líng)
       ※年号の「1」はyīと発音しますが,電話番号など数字が並んでいるときは,「1」を聞き間違わないようにyāoと発音するのがふつうです。
          したがって,110はyāo yāo líng,119はyāo yāo jiǔといいます。
 

 それでは今までのことを頭に置きながら、以下の数字をつぶ読みではなく,位読みで読んでみてください。

    101(一百零一)  yìbǎi líng yī
    110(一百一十)   yìbǎi yī(shí)
    111(一百一十一) yìbǎi yīshiyī
   1,001(一千零零一) yìqiān líng yī
   1,010(一千零一十) yìqiān líng yī(shì)
   1,100(一千一百)   yìqiān yì(bǎi)
   1,110(一千一百一十) yìqiān yìbǎi yī(shì)
  11,001(一万一千零一) yìwàn yìqiān líng yī       
        ※「110」が「110个」と量詞がついているとshíの省略はできない。
          ※最後の例のように途中にゼロが複数つづくときは1つでもよい。


 意外と正しくは読めなかったのではないでしょうか。まず,“一”の読みが,第1,2,4声と3通りにも読んでいます。どうしてでしょうか。

 数字の“一”の読み方については,かつて以下の表にまとめたことがありますので,再掲しておきます。 

  ≪“一”の声調の変化≫(声調符号を読む調子に変える。)
   第1声,第2声,第3声が続くときは,第4声になる。   
      一天 ×yītiān →○yìtiān 一年 ×yīnián →○yìnián
      一百 ×yībǎi →○yìbǎi
   第4声が続くときは,第2声になる。(4声になりたいが、2声で我慢。相原茂氏はこれを「や
                                  せ我慢の法則」と名づけている。

       一万 ×yīwàn →○yíwàn 一个 ×yīgè →○yígè

   序数を表す場合は,一般に声調変化しない。ただし,後に第4声が続くとき,変調することもある。 
      第一次 dìyīcì 一月一号 yīyuè yīhào  第一课 dìyīkè

   動詞の重ね型の間にある「一」は軽声になる。   
      看一看 kàn yi kàn 尝一尝cháng yi cháng


 中国語の発音は英語のように発音が縮まるということはなく,どんなに急いで発音しても漢字のもつ固有の声調をくずさないのが原則です。しかし,どの言語もそうであるように,中国語も発音のしやすさという観点から,①連音による変化と②軽声化という2つの声調変化があります。①はなぜか,「不」と「一」という二文字にのみ見られます。

 この“一”の連音による変化の原則が上表の原則1,2,3です。(は②の一種。)

 101(一百零一)から1,101(一千一百零一)までの“百”、“千”の前の“一”の発音がyìと第4声になっているのは,原則によります。

 11,101(一万一千一百零一)の“万”の前の“一”がyíと第2声になっているのは,原則によるものです。

 上記の数字の最後の“一”は第1~4声いずれにも続かないから,原則には該当しませんので,本来の“一”の発音である第1声yīなのです。

 ここで,原則の例外として,「10」という数字をわざわざ“一十”と“一”を加えて読むときは,“十”は第2声ですが,原則には従わずに,従来の第1声yīで読みます。“一”を加えて読むということは強調表現になるとみなすからでしょうか。

 <閑話休題>腕試しに、以下の数字の“一”(yi)に声調記号をつけてみてください。(答えは?)

  一万一千一百一十一(11,111) yi wàn yi qián yi bǎi yi shí yi
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by damao36 | 2010-11-09 16:49 | Comments(0)

167 量詞(!)―予告の信号

 具体体的な事物や場面を挙げて相手に伝えるときに,数量を明らかにする必要がしばしばあります。そのとき日本語では「数量+数助詞+具体的な事物名」になります。中国語も同じで,この数助詞のことを中国語では「量词」(liàngcí)といいます。

 日本語の助数詞はもともと名詞としての独立性をもっていた語が接尾語(少数ながら接頭語もある)化したものです。しかし,日本語文法ではふつう独立した品詞としては数えず,名詞の一部として名詞に含ませています。しかし,中国語の場合は独立した品詞の一つに数え,しかも「単独で文法成分になれる」実詞に入れています。

 日本語の数助詞も200種類ほどあるそうですが,日本語の語り手のほとんどは数助詞への関心は低く,日ごろ使われているのも20語以内でしょうか。それに比べ日常的に使われている中国語の量詞は多く,細かいので,非中国語ネイテイブは意識的に学ぶ必要があります。

 それではなぜ中国語は量詞が複雑なのでしょうか。 

 それはどうも中国語の基本単語は単音節であるということと関係します。既述しましたが,中国語の音節数は1340ほどあり,日本語は104音節数ですから,その13倍にものぼっています。

 音節数が多いということは,短い発音で多くの事物や動作を表現できるということになります。人間社会の発達にともない,使用される語彙数は増えるわけですが,中国語は1音節の単語を2つ組み合わせることによって基本的にその語彙を増やしてきています。1音節語と1音節語の組み合わせは,計算上では100万音節数を超えるそうですから,2字の漢字熟語でほぼ十分というわけです。

 日本語は基本的に音節を並べることによって単語を形成しますが,中国語というのは基本的にほとんどの音節がある意味をもったりっぱな1語なのです。ですから,総じて中国語の表現は同じことを日本語で表現するのに比べると短い音節数ですむということになります。

 短い音節数ですむということは大変いいことなのですが,しかし,話し言葉としては聞き逃しやすいというマイナス点にもなります。場が共有されていなかったり,突然の場合であったりすると,短く発音される単語は長い発音の単語に比べ,やはり理解しがたいはずです。

 それを補う一つの方法が,中国語における量詞の発達で,量詞の役割について中国語学者の上野恵司さんは以下のような推論を述べています。

    車で見通しのよくない道路を走っている時,この先に交差点があるということを知らせるために予告信
   号が設けられていることがある。中国語の助数詞は   コミュニケーションにおける予告信号の役割を
   果たしていると考えていただくとよい。(中国情報局・コラムから)



 それでは中国語の量詞の種類を挙げておきます。(『中日辞典』より)

名量詞個体または集合体の物の数,長さや重さ、時間や金額などを示す語)
 a個体量詞  その事物の形の特徴などをとらえ,数を数えるときに使う語。
    一张桌子 一条路 一管毛笔
 b集合量詞   複数の物をひとまとまりにして数えるときに使う語。
   一对夫妻   一份饭   一副眼镜   一双鞋  一套西服
 c不定量詞   正確な数ではなく,大体の数を数えるときに使う語。
   一点儿心意  一些问题
 d容器量詞   容器に入れたものを1単位として数えるときに使う語。
   一碗米饭  一杯咖啡  一瓶啤酒  一桌菜  一车西
 e借用量詞   本来は身体部分や道具を表す名詞で,それを物の数量を表す名量詞として借用した語。

 f単位量詞   度量衡,時刻・時間,金額の単位を表す語。
   30公里 3点30分  3小时   3年  3千3百日元

動量詞  (動作の回数や分量を数えるときに使う語
 g専用動量詞 (動量詞専門に使われている語。「遍,场,次,顿,回,趟,下」など。
   数詞と組み合わせて動詞の後ろに置き,動作の回数や期間,分量を表す。動量詞専門に使われている
   語で,「遍,场,次,顿,回,趟,下」などである。
        说一遍  去一回   来一次  骂一顿   走一趟  看一下
 h借用動量詞 (本来は身体部分や道具を表す名詞を量詞として借用した語
   本来は身体部分や道具を表す名詞で,それを物の数量を表す動量詞として借用した語。
   看一眼   打一券   踢一脚   放一枪  咬了一口   切了一

      
 細かくは上記以外に「準量詞」(“1年”“两国”といった特殊な名詞),「複合量詞」(2つの量詞を組み合わせた語)という分類もありますが,省略します。
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by damao36 | 2010-10-17 12:12 | Comments(0)

体感中国語157―映画「非誠勿擾」のセリフから考える言葉の3本の糸

 2009年の正月中国映画「非誠勿擾」(馮小剛監督)のタイトルは「誠実なおつき合いができるかたのみ」という意味です。漢文訓読式で読むなら「誠ニアラザレバ擾(じゃま)スルナカレ」です。中国の大衆新聞には結婚相手を求める広告欄がありますが、そこでしばしば見かける成句(四字熟語)です。

 億万長者になった、40代でまだ独身の秦奮は、理想の女性にめぐり合えないでいましたが、スチュワーデスの梁笑笑という誠実で美しい女性に出会い、一目ぼれします。笑笑もこの男の彼女になってもいいかと思うようになってきますが、つきあう前提として、こんな条件を出します。

     でも、私の心の中には他の人がいることを許して
     実際に何か行動を起こすようなことはしないわ
     ただ心の中に彼の場所を残しておきたいの
     但是你要允许我心里头有别人
     我不会有实际行动,我只是会在我心里头给他保留一个位子


 秦奮はこんなふうに答えます。

     それなら俺も早く想いを寄せられる人を見つけなきゃな
     でなければ君が心の中で他の男のことを想っている時に俺は相手もいないんじゃ損だからな
      那我还得赶紧再找一个想的人去,要不然你心里有别人我没有, 那我不亏死了!

 笑笑は秦奮がその条件を受け入れたことを知ると、次にこんな要求をします。

     私と一緒に北海道に行ってくれる
     私と彼はあそこから始まったの
     だから私もそこで終わりにしたいの
     能陪我去一趟北海道吗?
     我和他是从那儿开始的, 我也想要在那儿结束

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さて、北海道旅行の最後の方の、秦奮と笑笑の会話はこうです。

      君はさぁ、同時に何人かと付き合うこともできない
      適当な付き合いをすることもできない
      顔に全部書いてあるからな
      俺はこう公言できる
      君はアイツのページをまだめくっていないが、新しいページをめくったら、君は昔の一途さを持てるようになる
      俺はそれを見極めた後、君の今の態度を受け入れるのさ
      君は馬鹿だけど俺は馬鹿じゃあない
      你啊, 想三心二意还真没那本事
      逢场作戏你都不会, 全写脸上了
      我把这话放在这儿, 他这一页你还没有翻过去, 一旦翻到新的一页啊, 你照样会一心一意
      我就看准了这一条才容忍你现在的表现, 你傻我可不傻


      それじゃもし私が教訓を得て賢くなったら
      あなたのもくろみは泡にならない
      那要是我接受了教训变聪明了呢;?  你的如意算盘不就落空了?


 さて、導入部分が長くなりすぎました。男女の会話、今度はこんなふうにしてみたいとどこかで考えながらの引用でした。でも、もうムダな話です。

 私の現実上の関心はというと、どうして中国語の原文は11センテンスなのに、日本語に訳すと19センテンスになっているのかという、まったくクソおもしろくもないことなのです。

 もともと句読点というのは西洋からの輸入概念でしょう。また、音声としての会話では、どこに句読点をどう打つかなんてことは考える必要もありません。あくまでも語り手の自然なリズムのはずです。それに、ここは原文と訳文を対照しているのです。


 ところで、人が話す言葉というものは、それを裏から支えている約束事があり、その言葉の無意識のルールは各言語によって違いがあるとのことです。

 そういえば中国語は孤立語で日本語は膠着語だといわれています。お隣同士の国ではありますが、漢字を共同使用している以外に、二つの言葉はもともと違う根っこから生まれたそうです。ですから、両言語には当然顕著な違いが多いはずです。その一例が、この文の区切りに対する意識の違いなのではないのでしょうか。

 中国語は孤立語といわれているくらいですから、日本語に比べると孤立しているところ、句切れるところが多いはずです。考えてみると中国語を表記する漢字という文字、その一字一字が一語一語なのです。しかも漢字1字の発音は必ず1音節です。表意文字というよりも表語文字だともいわれています。極論すると、一字一字を発音するごとに完結した世界があります。いつでも終わっていい準備ができています。(あくまでも極論!) 

 それに比べて膠着語の日本語はどうなのでしょうか。これも極論すると、日本語というのは牛のよだれのように後へ後へと際限なく(?)つづくことができる言葉なのです。ですから、ここで終わりにしたいときは、どうしても“一丁上がり”とつい力がはいるのです。よだれを拭き切るために、目に見える文では「」を打つことになるのです。きっとそうです。当たっているかどうかはわかりませんが、今の私はそう考えてみることにしました。

 それぞれの言語にはそれぞれの文を裏から支えている目には見えない約束事があります。その“形なき制度”を身につけるためには、①時間の流れ、②空間のひろがり、③論理の整合性の違いを理解することだそうです。言語の使い手の意識に深く分け入るためには、この3つの糸が手がかりになる、本当にそうなのかどうか、いましばらく考えてみることにします。


≪追記≫
 タイトルの「非誠勿擾」は四字熟語(成語)でしたが、中国語はふつうの会話でもよく使われますね。後半部分には以下の4つの四字熟語が使われています。

  三心二意=他のことに気をとられ、一つのことに集中できないさま。
  逢场作戏(逢場作戯)=演技をするかのように表面的な付き合いをするさま。
  一心一意=ひとつのことに専念する。
  如意算盘=自分に都合のいい目論見を立てる、とらぬタヌキの皮算用。

 中学、高校では四字熟語のテストがありました。でも、近ごろは日常生活の中で実際に使うことはまったくといっていいほどなくなりました。こうした漢語を日本語の中で使うと、どうしても硬くて陳腐な感じがするからでしょう。でも中国語はそういうマイナスの感じではなく、四字熟語のような成語を使うことは、物事を比ゆによって的確に説明したり、描写したりしたときに感じる快感のようなものがあります。その場にふさわしい四字熟語で表現することは、言葉の省略にもなり、学がある証拠にもなる、そういう効果があるようです。
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by damao36 | 2009-10-06 13:36 | Comments(0)

体感中国語110―比較文 述語・動詞の場合

比べるということは、ある人物または事物と別の人物または事物とを並べて、そのあり様の優劣をつけることです。ですから、述語は当然あり様の優劣を述べることのできる言葉で表現するということになります。そのような言葉とはどのような語句なのでしょうか。

まず物事の状態や性質を述べるはたらきをもつ語としては形容詞があります。「いい」とか「悪い」とか、「きれいだ」とか「きたない」とか、「高い」とか「低い」とかです。このような形容詞を述語とする比較文については前々回で述べました。

それでは人・物のあり様の優劣を述べる言葉は形容詞だけなのかというと、そうではありませんでした。以下のような動詞、動詞句も人・物のありようを述べることができるのでした。

Ⅰ 感情や心理活動、類似や能願
   爱     喜欢     讨厌     感动     伤心
   想     了解
   像
   会     能

Ⅱ 数の増減
   增加     减少     提高     降低

Ⅲ 程度やレベルを表すVO連語
   有钱     有学问
   没有能力  没礼貌
   解决问题  节省能源  浪费金钱

Ⅳ 「動詞+様態補語」
   吃得多    跑得快   说得流利   做得好
 

 
それではこのような動詞、動詞句を用いた動詞述語文となる比較文の例を挙げておきます。

 1 我比你更喜欢。 Wǒ bǐ nǐ gèng xǐhuán。
     I like it better than you do. (私はあなたよりもっと好きです。)
   2 妹妹比我像妈妈。 Mèimeibǐ wǒ xiàng māma。
     My sister resembles my mother than I. (妹は私より母さん似です。)
   3 我比他会开车。 Wǒ bǐ tā huì kāichē。
     I can drive better than he dose. (私は彼より運転は上手です。)


  4 我的体重比去年增多了。 Wǒ de tǐzhòng bǐ qùnián zhèngduō le。
     My weight has increased over the last year. (私の体重は去年よりも増えました。)


  5 他比我有钱。 Tā bǐ wǒ yǒuqián。
      He is richer than I am. (彼は私より金持ちです。)
   6 他日益恢复健康。 Tā de gōngzī méiyǒu wǒ gāo。
      He getting better day bay day. (彼は日ましに元気になっています。)
   7 他没有你那么有钱。 Tā de gōngzī méiyǒu wǒ gāo。
     He is not as rich as you are. (彼はあなたほど金持ちではありません。)


 8 她比我多拿一倍的光盘。 Tā de gōngzī méiyǒu wǒ gāo。
    She has twice as many CDes as I do. (彼女は私の2倍のCDをもっています。)
   9 你和他谁跑得快?  Nǐ hé tā shéi pǎo de kuài。
     Who can run fastest of you and he ? (あなたと彼とどっちが早く走れますか。)
  10 你说汉语比他说得好。  Nǐ hé tā shéi pǎo de kuài。
     You can speak Chinese better than he does. (中国語はあなたの方が彼よりも上手です。)


は「動詞+様態補語」の例ですが、中国語の補語って、英語の補語とは違いますね。英語の補語は主語とか目的語の補足ですが、中国語は述語の補足ですね。としたら、中国語の補語は大きく述部に含まれる、と考えてしまった方がいいのではないでしょうか。
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by damao36 | 2008-10-27 06:16 | Comments(0)

体感中国語104―もう一度中国語の文型を考える

中国語は語順の言語だとよく聞くのですが、それなのに中国語の文型はこれこれだと、英語の5文型のようなものを提示している書を見かけないので、文型がいくつあるのか自分なりにかつて数えてみたことがありました。その結果、最低12文型はあるという結論で、そのことについては体感22「中国語の文型は結局いくつ」で書いておきました。

なのに体感100では「基本形は日本語ならSV、英語ならSVO/C、中国語ならSVO」と書いてしまったので、いまちょっと矛盾を感じているところです。あれは日英中3言語の最も代表的な文型を挙げた大雑把ないいかたですと弁解しておこうか、どうしようかといま迷っているところです。


そこで、もう一度、中国語の文型を私なりに見直すことにしました。

まず「日本語ならSV」と述べたところ、正確にいい直すならば「日本語ならSP」でしょうか。

とは述語predicateの頭文字です。英語の述語は必ず動詞がくるのでverdのでいいのでしょうが、日本語の述語は形容詞も名詞もくるのですから、verdのでは不正確です。

「英語ならSVO/C」といいましたが、これだけでは英語の第4、5文型はカバーしきれていません。SVOO/Cも加えるべきでしょうか。

中国語はどうなのでしょうか。

中国語も日本語と同じく述部が形容詞や名詞というのもありますから、SP文型も認めるべきでしょう。

さらに、体感100「中国語の3つの表現パターン」で述べた3つのパターン、1事態・状態叙述文 2行動・意欲叙述文 3知覚・認定叙述文のうち、のパターンを実際に具体例に当たってみると、たいていSVOVOになるので、この型も中国語の特色として絶対に落とせない、そのように思われます。

ですから、先に述べたことは大雑把ないいかたなので、大雑把でいい時はあれでもよしとし、より正確に、しかも簡潔に日英中3言語の文型の特色をいうとしたら、このようにいい換えたら、と考えました。

「基本文型を簡潔にいうと、日本語はSP、英語はSVO/C、SVOO/C、中国語はSPSVO、それにSVOVOです。」
(中国語の補語は英語の補語とは違って動詞の補足語ですから述部に含めます。中国語のSVOVOの後ろのは形容詞がくることもあります。また、は省略自由です。)


最後に中国語のSVOVO文型について補足をしておきましょう。

この文型はいわゆる連動文兼語文(使役文、受身文)がその典型です。しかし、よく考えてみると介詞構文(“把”構文、比較文など)も入れていいのではないでしょうか。なぜなら中国語の前置詞である介詞のほとんどはもともと動詞で、その性質は失なわれてはいないと思うからです。だから介詞構文を含んだ文を否定するとき、“”や“没有”という否定の副詞は介詞構文の前に置かれるのです。きっとそうだからです。

また、述部に助動詞をもつのも、助動詞となる語は賓語(目的語)はとらないので、SVOVOではありませんが、のないSVVOと理解してもいいのではないでしょうか。

英語の動詞は知覚動詞につらなるときなどに原形不定詞といって動詞の原形のまま用いられることもありますが、それはまれで、ほとんどは不定詞とか動名詞とか分詞とかに変装して文中に表れます。中国語の動詞ははそんな器用な真似はできないので、そのままの姿で平気で何回も表れる、だから中国語はVVと動詞(動詞性の介詞、助動詞も含める)使用がが目立つ、そのように中国語の特色を理解したらいかがでしょうか。
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by damao36 | 2008-10-18 10:22 | Comments(0)