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体感中国語107―存現文とは何か

中国語には存現文という私たちには聞きなれない文種があります。存在文といっている人もいるようですが、「ある人、またはある物の在が私たちの目の前に出したことを表す」という意味なのでしょう。

私もなかなか理解できなかったのですが、ある時、北京放送のコールサインで使われている「東方紅」という老革命歌の歌詞の一節、「中国出了个毛泽东」が存現文だと気づいて、それからはなんとなく理解できてきました。

东亚病夫」と揶揄されてきた黄色い大地に毛沢東という偉人が現れて中国の未来に光を与えてくれた、ある空間にある人物(時にはある物体)が忽然と現れる、その状況を表現するいい方がこの存現文なのです。

ですから、まず語り手、聞き手が気がかりな空間(時には時間)が広がっていて、そこにある人物(物体)が登場する、そういう順序でこの文は成り立っています。

    時間語/空間語 + 動詞 +人/物
     (状           語)     (述  語)  (主   語)


それではこの文種を存在出現消失と3分類して、それぞれの具体例を挙げておきます、
      
存在  
  桌子上有一本书。  Zhuōzi shàng yǒu yì běn shū。
  There is a book on the table.   (テーブルの上に本があります。)

  上午下了一阵大雨。  Shàngwǔ xià le yí zhèn dà yǔ。
  It rained heavily in the morning.   (午前中に大雨が降った。)


出現  
  千里走单骑。  Qiānlǐ zǒu dān qí。
  Riding along thousands of miles.  (単騎、千里を走る。)

  早上来了一个电话。  Zǎoshang lái le yí ge diànhuà。
  You had the telephone this morning.   (朝電話がありました。)


消失  
  我们班里走了一个朋友。   Wǒmen bānli zǒu le yí ge péngyou。
  It changed one's school from our one person classes.
  (私たちのクラスから1人転校した。)


さて,上の例文からどのようなことが確認できるかを整理しておきましょう。

1 文頭に必ず空間語か時間語がきます。

2 述語は動詞です。動詞の後には人か物を示す名詞がきます。「中国語は動詞の後ろの名詞
  は全部賓語だ」と前回はいいましたが、これは例外で主語だと考えます。したがって、1の時
  間語/空間語は状語です。

3 この主語には、“”や“一本”、“一阵”、“一个”というように数助詞がついています。目の
  前に現れた人・物は必ず具体的な数えられるものだからです。しかしこの人・物は語り手に
  とっても聞き手にとっても意図せずして出現した、当然新しい情報でなければなりません。
  英語の「There is~」構文と理屈は同じです。

4 存在を表す述語動詞はなんといっても“”が代表ですが、でも、たいていの動作動詞が
  出現消失を表すことは可能です。ただ、1語だけでは出現消失の意味を十分に表せ
  ないこともあり、“”以外の動詞はたいていその語の後ろに“~”、“~”という持続
  消失を表すアスペクト助詞をつけたり、“~”、“~进来”、“~过来”などの方向を示す
  補語を補ったりしています。


ところで、2で「動詞の後の人・物を示す名詞は主語である」というようなことをいいましたが、多くの文法書は目的語とし、しかしここは意味上の主体ですと持って回ったいい方をしています。「There is~」の英文法の説明もそのようなので、それでいいとも思いますが、「There is A」というのは「A is there」を強調した倒置表現だという説もありますので、それにならって、中国語的発想としてまずは話題の舞台である時間・空間語を先にしてしまった、一種の倒置表現だと、面倒くささもありますが、私はそのように割り切って理解することにしました。


なお、私たちが日常使っている漢字熟語(日本語の漢語)に存現文的熟語も結構あります。意味をとるときは、下の漢字が「~が」となって、日本語では迷うことなく主語ですね。

開花     降雨     積雪     発芽     停電     有人     無人     
有害     無害     出火     出血     満潮    立春  
   
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by damao36 | 2008-10-21 14:16 | 中国語 | Comments(0)
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