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体感中国語103―状態動詞の「有」と「在」

動詞には目で確認できる動作動詞と目では確認しづらい知覚・感覚とか態度とかを表す状態動詞に大別できると体感99・101で触れましたが、その状態動詞には「」とか「」のように物事の存在を示す語句も当然入れておくべきでしょう。

この「」と「」、漢和字典で引くとどちらも基本的な意味は「ある・いる」です。この「ある」と「いる」はどう違うのか、ある中国留学生から聞かれて、日本人の私は即答できませんでした。

そこで『広辞苑』を引いてみたら、「」は「①あること。存在すること。②持つこと。」などとあり、「」は「一定の場所にあること。いること。」などとあるだけでしたので、さらに「ある」の項を引いてみたら、「有る・在る」となっていて、≪ものごとの存在が認識される。もともとは、人・動物も含めてその存在を表したが、現代語では、動きを意識しないものの存在に用い、動きを意識しての「いる」と使い分ける。人でも、存在だけをいう時には「多くの賛成者がある」のように「ある」ともいう。≫と説明されており、やっと回答することができました。

そういえば『伊勢物語』は「昔、男ありけり」ではじまっていても不自然でないのに、現代日本人はどうしてこのように無生物か生物かによって区別して使い分けるのでしょうか。もしその点を聞かれたら、日本人である私、やっぱり答えることができないのです。


さて、前置きが長くなってしまいましたが、中国語にはそのような区別はありません。しかし、「」と「」というそれぞれの文字があるのですから、同じはずはなく、その違いをもっとも基本的な訳語でいうとしたら、「」は「(~が/は)ある」、「」は「(~に)ある」ではないのかと私は考えたのでした。

例えばA「ここにボールペンがある。」とB「ボールペンはここにある。」というのは、いっていることは同じなのですが、「ボールペンがある」ということを一番いいたいときは「这里有圆珠笔。」 (There is a ball-point pen here.)となり、「ここにあるよ」と場所を一番示したいときは「圆珠笔在这里。」 (The ball-point pen is here.)となる、そのようにいうのではないでしょうか。

これを公式化して示すと、以下のようになります。

 場所詞+有+人・物
B 人・物 +在+場所詞


さてさてここで問題が発生しました。

まず日本語で考えると、AもBも主語はいずれも「ボールペン」です。でも英語だと、Aの「there」は形式主語で、実質主語は「a ball-point pen」でしょうか。Bの主語、これは問題なく「the ball-point pen」です。

中国語はどうなのでしょうか。日本語の基本文型はSV、英語の基本文型はSVO/C、中国語の基本文型はSVOだと、これもどこかでいいましたが、そうだとすると、Aの主語は場所詞の「这里」、Bの主語は人・物の「圆珠笔」ということになります。しかし、Aの主語が場所詞というのは変ですから、ここは英語と同じと考えて、「这里」は形式主語で、実質主語は賓語の「圆珠笔」とした方がいいのではないでしょうか。そのように考えたのですが、それでよろしいでしょうか。
by damao36 | 2008-10-16 07:11 | 中国語 | Comments(0)
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