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体感中国語92―単文、複文、重文を考える

最近はあまり聞きませんが、文の主述の組み合わせから単文、複文、重文というのがあるというのをどこかで聞いた記憶があります。

単文とは主述の関係が1回だけの文、つまりもっとも単純な一文のことだろうと考えました。ならば、複文というのは当然主述の関係が何回か出てくる、複雑な一文であろうと推測しました。

重文というのがわからなかったので、『広辞苑』を引いてみましたら、「主語・述語の関係が成り立つ部分が、対等の資格で結ばれている文。合文。『花は咲き、鳥は歌う』の類」とあり、なるほどと思いました。

念のためにと思って複文を調べてみましたら、以下のように説明がされていました。

主節と従属節から成る文。主節の一部に従属節が含まれている文。」

例として以下の3例が挙がっていました。
1 誰もが雪が降ると思っている。
2 雪が降ると、電車が止まる。
3 雪の降る日は寒い。

上記の例文を中国語訳したもので、文構造を考えて見ました。

1 谁 /都 想/将要 下 / 雪。
  (主 語)    (述    語)   (賓                 語)
                      (述      語)  (賓  語)


2 要是 下/雪、 电车/不 能 开了。
  (状              語) 、  (主 語)     (述          語)
   (述        語) (賓語)


3 下/雪 的 天气/很 冷。
   (主                 語)     (述   語)
   (述 語)  (賓 語)



1は「誰もがみな思っている」の前半部分が主節なのでしょうか。そうだと仮定して、次にみなは「何を思っているのか」というと「下 雪」をという構文です。「何を」の部分は当然賓語で、英語風に言うと名詞節で、この従属節に主述の関係が含まれています。

2は「电车不能开了」が主節で、「要是下雪」は従属節でしょう。この部分は英語なら「どうしてか」の部分で、おそらくは後からの付け足し、オマケの副詞節になることでしょう。日本語は連用修飾節で、中国語は状語と考えるべきでしょうか。この従属節には主語はありませんが、補うとしたら「」でしょうか。ここに主述の関係が含まれているのです。

3は全文の主語の中の一部に「下雪」という主述の関係が含まれ、「下雪的」という形容詞節として「天气」を修飾しています。「下雪的」、こんなのもまた従属節というのでしょうか。

ところで、相原茂氏の『Why?にこたえるはじめての 中国語の文法書』(同学社)と守屋宏則氏の『やさしく くわしい 中国語文法の基礎』(東方書店)を見てみたら、複文の例としてこんな例文が出ていたので、1例ずつ紹介しておきます。

他是中国人、我是日本人。

李刚坐车去、吕萍骑车去。



この例文を見て私が思ったことは、あの『広辞苑』の重文の例文「花は咲き、鳥は歌う」と同じではないのか、これは重文と呼ぶべきなのではないのかということでした。

両書の解説を読んでいくと『Why?』の方は複文には意味的に同じ比重に並ぶ等位タイプと意味の比重がどちらかに偏る編成タイプとがあると書かれており、『基礎』の方も複文には等位複文主従複文とがあると説明されていました。

要するに、文種を単文、複文、重文と3区分するのではなく、日本語文法でも両方の学説があるようですが、わが国の中国語文法界では重文は複文に含める2区分法が主流なのだろうと思いました。私としてはどちらでもいいことなので、文種というのは単文と複文とがあり、複文には等位複文と主従複文とがあると考えておくことにしました。



さて、私がどうして単文、複文の区分にこだわり始めたのかというと、中国語には動詞が2つ、ときにはそれ以上出てくる連動文とか兼語文とかがあるからです。

これも『広辞苑』の説明なのですが、「文」という項目を引くと、日本語文についての説明なのでしょうが、「(sentence)形の上で完結した、一つの陳述によって統べられている言語表現の一単位。通常、一組の主語と述語とを含むが、主語を欠くことも多い。」とあり、その中の「通常、一組の主語と述語とを含む」という個所にこだわるからです。

つまり、中国語の連動文、例えば、「我去方便店买面包。」は述部動詞は2つあっても主語は同一だから主述の関係は1回だけ、だから単文だという考えもわかるのですが、上の文途中に読点を打って、「我去方便店买面包。」の読点を省略した形と見たら、複文になるのではないのか、という疑問があるからです。
by damao36 | 2008-09-30 15:09 | 中国語 | Comments(0)
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