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体感中国語86―介詞は配置固定ボルトである

私は体感73で、英語は「前から限定し、説明したければ後ろに並べる」という大西泰斗先生の言葉を引用し、それなら中国語は「限定も説明も前から。補足は後ろに並べる」であり、日本語は「限定も説明も補足も前から。話し手の判断や気持ちは述語に付属語をつなぐ」と述べました。

この中の「限定」、「説明」という語は似たような言葉で、大西先生がどのように定義して使っているのかはわかりませんが、私は一応以下のような意味だと考えることにしました。ついでに「修飾」という語も私なりの定義しておきます。

限定:英語だと前の動詞、中国語や日本語だと後ろの述語に枠をはめること。述語の意味は変質する。いわば化学的
    な変化である。
説明:英語だと前の動詞、中国語や日本語だと後ろの述語にある状況・条件を加えること。述語の意味は変質しない。
    いわば物理的な変化である。
修飾:「限定」や「説明」が文のカナメである述部のウゴキ・タダヨイを制限したり、状況・条件を加えたりするのではなく、
    名詞の世界を飾り立てること。


ところで、説明をするということは一体何についてどのようなことをすることなのでしょうか。それは、主語が述語によって述べられようとしているときに、そのコトガラの状況や条件をより具体的に示すために追加される表現部分、そのように理解していいのではないでしょうか。

「そのコトガラの状況や条件をより具体的に示すために追加される表現」のつなぎの言葉として、日本語では格助詞というものがある、そのように思うのです。なお、「話し手の判断や気持ち」は日本語の場合は助動詞と助詞で、その助詞は格助詞と接続助詞を除いた副助詞と終助詞が微妙な気持ちを述べるはたらきをする、そのように理解しました。


それなら中国語はどうなのでしょうか。

「そのコトガラの状況や条件をより具体的に示すために追加される表現」、多くは時間詞とか場所詞などの場合は裸の語・句のままでいいのでしょう。しかし、一般名詞の場合はそれが状況・条件であることがわかりづらいので、こうした名詞の前にこれはこのような意味で述語に説明を加えるというマーカーをつける、それが中国語の介詞(前置詞)なのでしょう。

「コトガラの状況や条件」を説明する語句と述語とをつなぐのですから、日本語と同じく<つなぎの言葉>といってもかまわないのですが、日本語の場合は名詞のあとに“のりしろ”部分としてこの名詞<つなぎの言葉>助詞がくるので、<つなぎ>と呼んだのでしたが、中国語や英語の場合は名詞の前にあって、ここから後が述部に関する「コトガラの状況や条件」であるという、いわば“交通標識”みたいなものですから、あえて区別して、こうした介詞(前置詞)のことを<配置固定ボルト>と名づけてみました。


それでは主な介詞を挙げておきます。 

①≪時間・空間≫
 ~から~する(~ている)    cóng
 ~で~する(~ている)     zài  
 ~に向かって~する(~ている) xiàng wǎng  
  
②≪対象・目的≫
 ~に対して~する(~ている)  duì
 ~に関して~する(~ている)  关于guāyú
 ~と~する(~ている)      gēn 
 ~に~する(~ている)      gěi
 ~を~する(~ている)      
 ~に~される(~されている)  jiào
 ~によって~する(~ている)  bèi
 ~に比べて~する(~ている)  

③<原因・理由> 
 ~ために~する(~ている)    wèi     为了wèile
 ~ので~する(~ている)     因为byīnwei 由于yōuyú
 ~に基づいて~する(~ている)  ān 按照ānzhào    yī    依照yīzhào  zhào  根据gēnjù

④≪比較≫
 ~にくらべて~である       
 ~と(くらべて)~である     
 ~と(くらべると)~である    

⑤≪受身≫
 ~に~される           被    叫   让
  ≪使役文≫で用いられる「被・叫・让」(~に~させる)は動詞でとして扱われています。
  しかし「叫・让」の2語は「~に~される」と受身にも用いられ、その時は介詞として扱われています。なぜなのでしょうか。   

by damao36 | 2008-09-22 11:00 | 中国語 | Comments(0)
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