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204 形容詞―性質形容詞・状態形容詞・区別詞

 形容詞とは主として人や事物がどういう性質・属性を有しているのか,どういう状況・状態であるのかを叙述する語です。英語では必ずbe動詞などの不完全自動詞(be動詞以外に get became look feelなどもあるが)の後に続いてはじめてその叙述を完成しますが,日本語と中国語の形容詞はすでに英語の不完全自動詞の意味(「~である・~ている」)まで備えているので,動詞同様単独で述語のコアになることができます。

 日本語と中国語の形容詞は動詞同様単独で述語を構成できるという点で共通ですが,中国語の形容詞は語形変化はなく,また日本語形容詞は形態上の特徴が明確ですが,そのような特徴はありません。

 日本語というのは動詞の場合はその終止形末の音が必ずウ段音で,形容詞ならその終止形末の音節は「~い」,または「~だ」(この「だ」で終わるのを学校文法では形容動詞という)で終わりるという特徴があります。しかし,中国語の場合は動詞もですが,形容詞はそうした形態上から識別する手がかりは特にないということです。その文法上のはたらきから形容詞だと判断することになります。

 それでは中国語の形容詞の文法上のはたらきをまとめておきます。

≪形容詞の文法上のはたらき≫
1 単音節の形容詞はすべて性質形容詞である。多音節形容詞は性質形容詞と状態形容詞と
 がある。性質形容詞には述語にはなれない非述語性形容詞もあり,それを「区別詞」という。 
2 形容詞は述語となる叙述方法と,定語や状語,補語という前後の文を修飾・限定する限
 定用法とがある。したがって,主語・述語・賓語・定語・状語・補語すべての文法成分に
 形容詞は用いられる。
3 形容詞の多くはそのままの形で述語になれる。(例外として述語にはなれない非述語性
 形容詞を「区別詞」という。)
4 形容詞はそのままの形で主語や目的語になることもある。
5 形容詞は述部のコアとして結果・方向・可能・数量・状態補語すべての補語構文をもつ
 ことができる。また,方向・数量補語のコアにはなれならないが,結果・可能・状態補語
 のコアになる。
6 <形容詞+名詞>の形で定語になる。この場合形容詞と名詞の組み合わせには大きな制
 限がある。この場合つなぎ語として“的”を必要とするときと,必要としないときとがある。
7 <形容詞+動詞/形容詞>の形で状語になる。この場合つなぎ語として“地”を必要と
 するときと,必要としないときとがある。
8 <述語・動詞/形容詞+補語・形容詞>の形で補語成分になる。この場合は後ろから前
 の述語の意味を限定補足する。
9 動詞との大きな違いは程度の副詞“很”などの修飾を受けることと賓語を持てないこと
 である。

 それではこの≪形容詞の文法上のはたらき≫の1「単音節の形容詞はすべて性質形容詞である。多音節形容詞は性質形容詞と状態形容詞とがある。性質形容詞には述語にはなれない非述語性形容詞もあり,それを「区別詞」という」について説明します。

 形容詞は大きく二分すると,性質形容詞と状態形容詞とになります。性質形容詞をⅠ,状態形容詞をⅡとしておきます。さらに,実際は性質形容詞の下位分類に属しますが,「述語にも定語や状語になれる」一般の性質形容詞と違って,「述語や状語にはなれず,定語にのみなる」語群があります。これを非述語性形容詞とか属性形容詞とか区別詞とか呼ばれています。ここではⅢとして「区別詞」と称することにします。
 Ⅰ 性質形容詞  述語になれる。
          定語や状語になれる。
 Ⅱ 状態形容詞  述語になれる。
          定語や状語になれる。
 Ⅲ 区分詞    述語になれない。
          定語になれるが,状語にはなれない。
         (したがって「非述語形容詞」とも言う。)

 ところで,上記では形容詞の種類を3区分してその特徴を並べてみたのですが,ⅠとⅡはまったく同じです。ⅠとⅡは結局どう違うのか,まずは実例を挙げて理解することにしましょう。

 それでは,中国の国家対外漢語教学領導小組弁公室が定めた《词彙等級大綱》の最重要語2000語,重要語1000語計3000語の中に含まれている形容詞約370語に,私の判断で追加した約390語を,Ⅰ~Ⅲに分類して掲載します。

Ⅰ 性質形容詞  人や事物の性質、属性を表す。単音節と多音節型とがある。
(1) 単音節語   
a 矮
b 白 薄 饱 笨 扁 便 遍
c 差 长 臭 粗 (错)
d 大 呆 淡 低 短 (对) (多)
e 饿
f 肥 富
g 干 高 够 光 古 怪 光 贵
h 好 黑 红 厚 滑 黄 坏 活
j 挤 假 尖  紧 近 静 旧
k 渴 空 苦 快 宽 困
l 辣 老 累 冷 凉 亮 另 绿
m 满 慢 忙 美 密 妙
n (难) 闹 浓 暖
p 胖 平
q 齐 浅 强 巧 青 轻 清 晴 穷 全
r 热 软 弱
s 傻 (少) 深  生 湿 瘦 熟 松 酸
t 同 甜 团
w 歪 稳
x 细 鲜 闲 香 小 新 (行) 雄
y 阴 硬 圆 远
z 杂 脏 早 窄 长 真 重 正 准 紫
※ 単音節形容詞はすべて性質形容詞である。性質形容詞は程度副詞“很”などのの修飾を
  受けることができる。“很”などの程度の副詞をもった語は状態形容詞と同じはたらきをする。
※ しかし, “多”“少”“行”“对”“错”“难”“容易といった語は,その意味を考
  えると,正確には事物の有する属性を表すものでも,状態を表すものでもない。
※ “多”と“少”は数量の多寡についての語なので,この二つを数量形容詞として別類と
  する説もある。 多音節形容詞の“大量 多数 好些・・・”も同じ。
※ “行” は“能干”(能力がある)“可以”(よろしい),“对”は“相合”“适合”
  “正确”の意味を表す語で,いずれも動詞・助動詞の“可以”に近い。これは物事の
  判断・評価をする語で,勝手にネーミングすると判断形容詞ともいうべき語群である。
  他に“错”“难”“容易”などがある。数量形容詞とこうした判断形容詞は,その特徴
  から定語や状語にはなりえない。形容詞のはたらきの中のる限定用法(非述語形容詞)
  はなく,叙述用法のみの語群である。「非述語性形容詞」を「区別詞」としたのである
  から,これらの「唯述語性形容詞」も別項を立てるべきだが,区別詞ほどは多くない
  ので,広い意味で性質形容詞に含められている。

(2) 多音節形容詞
  (A/A’:形容詞  V:動詞  N:名詞  F:副詞 a:助動詞  代:代詞  
   -:付属要素  C:補語)
AA’ 安静 安全 诚恳 崇高 聪明 高大 广大 广泛 广阔 古老
   寒冷 黑暗 积极 简单 坚定 坚强 艰难 尖锐 激烈 急忙
   健康 巨大 绝对 厉害 良好 凉快 灵活 困难 美好 美丽
   密切 明亮 明白  明确 明显 疲劳 暖和k 确实 热烈 热闹
   痛苦 便宜 平安 平等 平静 朴素 强大 强烈 奇怪 亲爱
   清楚 轻松 亲切 深厚 完全 伟大 危险 稳定  温暖 详细
   显著 辛苦 新鲜 雄伟 迅速 严重 异常 英勇 悠久 勇敢
   优良 优美 优秀 愉快 糟糕 正常 整齐 正确 重大 庄严
   准确 仔细
AN  大胆 大概 大量 单调 单独 精彩 乐观 全面 热情 热心
   同样 细心 虚心 整个 重点 重要 专门 专心 主观 主要
   准时 自费
AV  复杂 高兴 公开 好吃 好看 好说 好听 好玩儿 坚决  难看
   难受 普通 深刻 完整 周到 正式
Aー 好些 显然

VV  抱歉 沉默 充足 发达 反动 繁荣 丰富 封建 愤怒 干脆
   干净 干燥 合适 活泼 活跃 糊涂 骄傲 结实 努力 确定
   耐用 生动 适当 舒服 舒适 熟练 讨厌 系统 兴奋 有用
VA  巩固  刻苦 经常 漂亮 迫切 认真 容易 随便 顺利 照常
   着急
VN  充分 抽象 倒霉 动人 合理 及时 具体 落后 开朗 卫生
  满意 耐心 意外 有力 有利 有名 有趣 有效 有意思  著名
VC  了不起

NN  地道 马虎 矛盾 片面 幸福 形象
NA  天真
NV  年轻(青) 先进

FV   实用 实在 真实 真正 没用
FA  不错  不平  不少  不同  不行  不幸  不朽  老实 没错 日常  许多
F-   差不多 不得了
   必要 当然 偶然
  没意思 特别 特殊 无数 无限
  相当 相反 相互 相似 相同

aV   可爱 可靠 可怜 可能 可怕 可以 能干
--  另外 一切 一样 一致 一定 所谓 所有
 ※ 例挙した性質形容詞の多音節語は, “不得了”“差不多”有意思”“没意思”を除
   いて,2音節語である。
 ※ 2音節の組み合わせは例示したように14通りほどもある多彩なものである。
 ※ 辞書の親字としての漢字欄には品詞の特定しにくい文字が多い。例えば “诚”
   “崇”“充”“级”“巩”“复”“繁” などの語は現代中国語では1字だけでは用
   いられない語群である。多くの辞書はこれらの語の品詞は明示しないか,付属形態素
   と呼んだりしている。ただし,幸い《英汉大辞典》は品詞を特定しているので,それ
   を参考にして区分した。しかし,形容詞にするか名詞にするか迷うものも多いので,
   上記の分類は一つのメドだと理解してほしい。


Ⅱ 状態形容詞  すべて多音節形容詞で,単音節形容詞の組み合わせからできていてる。
 人や事物の状態を表す。それぞれの単音節形容詞の本来の性質が現に存在している状態を
 表す。性質形容詞の組み合わせなので,形は複雑。
(3) 単音節形容詞の重ね型(AA型)
   高高  大大  轻轻  纷纷  好好儿  慢慢儿 小小儿

(4) 2音節形容詞の重ね型 (AAaa型)
   干干净净  高高大大 高高兴兴  干干净净  慢慢腾腾 慢(慢)悠悠
   忙忙碌碌 清清楚楚 凉凉快快  地地道道
  ※ (3)~(5)は重ね型バージョン。(7)は接尾辞型, (8)は比喩型, (9)は複雑型。
  ※ 重ね型には“很”などの程度の副詞はつかない。
  ※ 重ね型にはいずれも「状況・状態ををよりクッキリと鮮やかにする」意味をもつ。
     例:大大的眼睛。big eays(君の言いたいことはわかります。)
请你多多帮助。Please give me all the help you can.(ご援助どうかよろしくお願いします。)
  ※ 単音動詞の重ね型 は後ろが軽声になるが,形容詞は単音節形容詞,2音節形容詞
    ともにその重ね型は軽声にならない。本来の声調でしっかり発音する。ただし“好
    好儿”のように単音節形容詞の“儿”化の場合は後の音が1声になる。また(5)の
    場合も,後の2文字を「クッキリ」させるために1声に発音したりする。
 

(5) 比喩型 (「CのようにAだ」という内部構造をもつ。)
   宝贵 笔直  冰凉  飞快  光明  滚热 活泼 客气 流利
   漆黑 煞白 通红  痛快 雪白  

(6) 比喩繰り返し型 (2音節形容詞の重ね型②)
   冰凉冰凉  滚圆滚圆   痛快痛快   雪白雪白
  ※ 比喩型形容詞はふつうの形容詞と違って前に程度の副詞“很”“真”“非常”など
    がつかない。最初の文字が程度を表す比喩表現であるから。
  ※ 比喩型はさらに「クッキリ、鮮やかに」表現したいときは,(5)のように前語と後
    語を重ねて言うのではなく,(7)のように単語全体を繰り返す。発音も明確に。

(8) 接尾辞型 (擬声語・擬態語を接尾辞として持つ。接尾辞型。)
   白净净 白茫茫 干巴巴  亮晶晶 蓝晶晶 蓝盈盈(莹莹)
   绿葱葱 绿茸茸 绿茵茵 绿油油  红扑扑 红通通(彤彤) 红艳艳
   黑漆漆  黑沉沉 黑洞洞 黑亮亮 黑糊糊 黑茫茫 黑乌乌
   黑油油 黑压压 黄灿灿 暖洋洋  胖乎乎 清悠悠 热乎乎  
   水汪汪 甜丝丝 甜滋滋  香喷喷  笑嘻嘻 硬梆梆
※ 視覚や嗅覚,味覚,触覚などの感覚表現。後の2文字の接尾辞は一種のオノマトペである。

(9) 特殊型  ( A-Aa型)(異なる2つの音節からなり,<形容詞一部+“里/不/了”+
              形容詞>になる。)
   糊里糊涂(愚かだ めちゃめちゃだ)   傻里傻气(間が抜けている)  
   黑不溜秋(黒ずんでいる どす黒いる)  脏了咕叽(汚らしい)
   马里马虎(ひどくいい加減である)
 ※  この型はマイナスイメージ(嫌悪や軽蔑の気持ち)を表現している。


Ⅲ 区別詞  
  非述(語)形容詞とか属性形容詞ともいい,分類や区別を表す。形容詞は叙述用法・修
 飾限定用法・補語用法とがあるが,この区別詞は形容詞の限定用法だけに使う。常に名詞
 を修飾して定語となるだけ。日本語では名詞。ペアになるものと,単独なものとがある。
(ペア) 単-双 父-母 横-竪  金-銀  正-副  男-女  雄-雌 
     短期-长期 公人-私人 个别-共同 国立-私立   急性-慢性
     间接-直接 旧生-新生 民用-軍用  天然-人為 无关-有关
     新式-旧式  大型-中型-小型 初级-中级-(高级)
(単独) 别  粉  私
     本来  大批 初步 非常 国产 固有 公共 快速  彩色 所有
     袖珍 正式 业余
 ※ 例えば中国語の“男nán”や“女nǚ”は日本語では名詞だが,中国語では形容詞になる。
   その理由は“男”や“女”という語1字だけでは現代中国語では名詞として独立して
   は使われないから。日本語の「男」や「女」は“男人nánrén”とか“女人nǔrén”とか,
   必ず<区別詞+名詞>という形式で,修飾用法でしか使われないからである。“形容
   詞のような名詞のような”語である。
 ※ 中国語では代表的な金属を“五金”(金、銀、銅、铁、锡)と言う。しかし,
   “金”と“銀”のみが区別詞。なぜなら,他の語はそのまま名詞として主語や賓語に
   使えるが,“金”“銀”は名詞として使うときは,必ず “金子”と“銀子”と言うから。
 ※ “初级-中级-(高级)”の“高级”をカッコでくくっているのは,この語だけは叙述用
   法が可能だからである。 例:这家饭店真高级! This hotel is realy first-class.
  
 なお,上記の形容詞として挙げた語は,文中の位置や用法によっては動詞や副詞,名詞,介詞,連詞,量詞,代詞,数詞になったりします。こういう語を兼類語と言います。

1 動詞も兼ねる形容詞
   差 呆 倒霉 对 饿 方便 丰富 高兴 公开 够 好hào  厚 滑
   坏 活跃 困 累 凉快 可怜 客气 空kòng 苦 困 累 亮 凉快
   明白  明确 密切 暖 暖和nuǎnhuò 平 齐 清 清楚 确定 热
   热闹 少 松 所有 讨厌 团 稳定 温暖 辛苦 圆 长 准
 ※ 形容詞と動詞の違いは≪形容詞の文法上のはたらき≫8で「(多くの形容詞は)程度
   の副詞“很”などの修飾を受けることと賓語を持てないこと」と述べた。例えば以下
   の2例,後半は賓語であるから,いずれも形容詞とはいえず、動詞である。“明白”
   は「はっきりしている」ではなく,「わかる」。“高兴”は「うれしい」ではなく,
   本当は「~するのを喜ぶ」の意。しかし,この2文の述語は“很”で受けることがで
   きる。つまり,動詞の中にも心中語は“很”で受けることができるし,自動詞なら当
   然賓語をとることはできない。
     例:我明白你的意思。 I see what you mean.(君の言いたいことはわかります。)
       很高兴你设么说。It’s nice of you to say so. (君がこう言ってくれるのはうれしい。)

2 副詞も兼ねる形容詞
   白 (大大) 大概 当然 多 纷纷 够 怪 光 好 及时 可能 空
   快 老 偶然 全 确实 实在 特别 同 完全 异常 一定 早 真
   正 直
 ※ 例えば“多”“光“好”“”“快”“”……などが状語として動詞の前にあるとき,
   形容詞のときと副詞のときがある。
    例:A 少花钱, 多办事。 Get more dne on less money .(お金は使わないで多くの事をする。)
       你多大了? How old are you? (いくつなの。)
       看她多精神! Look how energetic shi is(なんとまあ彼女は元気のいいことよ。)
B 这个问题好回答。 This question is easy to answer. (この問題は回答しやすい。)
      这件事情好办。 This is easy to do. (これはやりやすい。)
她买了好多东西。 She bought quiete a few things . (彼女はたくさん買い込んだ。)
C 孩子们快进来, 下雨啦! Hurry in, children. It’s raining!. (雨ですよ。早くお入り。)
      他快回来了。 He’ll be back soon. (彼はもうじきもどってきます。)
     D 早起早睡身体好。Early to rise and early to bed makes a man healthy.(早寝早起きは健康によい。)
      他早走了。 He left long ago. (彼はとっくに行きましたよ。)    
     例文A~Dの最初の例文が形容詞。その後のⅠ,または2文が副詞の例。でも,
     その識別は微妙なところがある。Cの“快进来”

3 名词も兼ねる形容詞
   错 光 可能 矛盾 耐心 便宜 疲劳 热 热情 痛苦 团 卫生
   行 形象 意外 早

4 介詞も兼ねる形容詞
   对 同 同样

5 连词も兼ねる形容詞
   便 非常 好 同

6 量词も兼ねる形容詞
   遍 对

7 代词も兼ねる形容詞
   一切

8 数词も兼ねる形容詞
   多
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by damao36 | 2011-12-02 22:03 | 中国語文法 | Comments(0)
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