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196―“同文同種”や“雑種”を口にしたどこかの”馬の骨”

 中国から訪問団が来たとき,団長あいさつの枕詞として,必ずと言っていいほど両国間の関係を象徴する言葉として“一衣帯水”という成語が使われます。

 もうとっくの昔のことではありますが,中国に出かけてあいさつをすることになり,得意になって“日中两国是同文同种(同文同種)……。”と言ってしまいました。

 聞いていた人たち,なんのことかきっとわからなかったでしょう。あいさつなんて所詮形式ですから,最後はパラパラ拍手をいただいて降壇しました。

 白酒がかなり効いてきたころ,日本から同行していた中国人から,「中国人は“同文同種”という言葉,使いませんよ。」と言われました。


 帰国してからも,『広辞苑』にも出ている「同文同種」というこの言葉がときどき気になっていましたが,最近ネットで調べてみたら,作家の陳舜臣さんが「同文同種」という言葉について,こんな説明をしているのがわかりました。

 この言葉は「秦の始皇帝が文字と度量衡を統一した時の言葉『同文同軌』(「同じ文字を書き,車は”わだち”の幅が同じである」の意)を,日本人が誤用したものだ」(『日本人と中国人』(祥伝社 1971)ということ。そして,「同」という文字を日本人は「同じ」と訓じ,「同じである」という形容詞として理解しているが,中国人は「同じくする」という動詞の意味にも理解する。この成語の“同”を動詞の意味で理解したら,「同文同種」は「言葉だけでなく,人種まで統一する」という,「民族浄化といったコワイ意味」にもなる,陳舜臣さんははそのように説明していました。若いころの昔のことではありますが,とても恥ずかしく思ったのでした。


 さて,これは10年くらい昔のことですが,日本文化を紹介するときに,加藤周一という学者が「日本の文化は雑種文化である」と何かに書いてあったことを思い出して,“日本的文化是杂种文化……。”と,これも得意になって口にしました。聞いていた人たち,はじめはキョトンとしていましたが,やがてニヤニヤ,ガヤガヤし始めました。

 後で“杂种”を辞書で引いたら“骂话”と出ていました。「畜生,ろくでなし,どこの馬の骨か」という意味だそうで,“混合文化”とでもいうべきだったようです。


   (蛇足)“一衣帯水”とは「一本の帯のように狭い川や海,またはそれによって隔て
       られていること」という意味だそうです。日中間,飛行機なら数時間で,確
       かに近い隣国ではありますが,「一本の帯のように」という比喩,海を知ら
       ない人の言にも思われますね。
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by damao36 | 2011-09-18 12:08 | 中国語 | Comments(1)
Commented by リュウタ×2 at 2013-11-18 09:39 x
管理人さん、初めまして。

当記事大変参考になりましたので、ぼくのブログで引用いたしました。不適当ということでしたら、おっしゃってください。
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