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159ー介詞(前置詞)となる語

 文の修飾成分の一つである状語(連用修飾語)は時間詞や場所詞、介詞連語、副詞によって構成されています。この時間詞や場所詞、介詞連語、副詞はすべて述語の状況がどうであるかということ、つまり、その述語がどういう状況の下での行為・動作、状態なのかということを限定している部分です。ですから、日本語では連用修飾語、英語では副詞節と呼んでいます。英語的に考えると、ここは広義の副詞なのです。

 それでは、ここで状語の柱の一つである介詞連語(前置詞フレーズ)についてまとめたいのですが、その前に介詞となる語についてまとめておきます。

 中国語の介詞に該当する主なものを以下に掲示します。なお、その用法の違いによって①~⑧に分けてみました。

 それでは主な介詞を挙げておきます。 

<時間・場所>を表す  ~に/で/ときに/うちに(~する)
  zài    
  dāng
  chén

<範囲>を表す  ~から/まで/に沿って/(~する)
  cóng         自从zìcóng       yóu
  dào  
  shùn    沿yán
  ~を除いて(~である)
  chū   除了chūle
 
 はもともと書面語(文言)、もその傾向の強い語です。
 はともに時間や空間における起点を表し、訳は「~から」です。も日本語では「~から」になりますが、時間や空間における距離感を意識した「~から」です。ですから、「ここから自宅までどのくらいですか」と聞きたいときは、「离这儿到你家多远?」となり「从这儿~」とはいいません。
 状語というのは必ず述語の前ですから、介詞連語(「介詞+空間語」)が状語になるためには前に来なくてはいけません。しかし、の6語は述語動詞のすぐ後につづいて賓語の名詞(空間語)の仲介をします。例えば「我住在上海」のようにです。この「在上海」を多くの文法書ではこれも介詞連語(フレーズ)にとっています。しかし、郭春貴さんの『誤用から学ぶ中国語』は、述語の後の「」は補語の動詞にとっています。一体どちらがいいのでしょうか。


<方向>を表す  ~に向かって(~する)
  cháo    wǎng    xiàng  


 
<対象>を表す  ~と/に/を/に対して・に関して/までも(~する)
        gēn    dóng   
  gěi
       jiāng         
  duì    对于duìyú     关于guāyú
  lián

 は書面語です。
 には英語のandとwithの意味があります。Andの意味だと連詞になります。ここはwithの意味の介詞です。
 は「~を~に処置する」という意味の処置文になります。は対象を取り上げる感じがあり、はこういう方法でということなので、手段としてもいい感じです。は把の文語的表現です
 对于は「~について」、「~に対して」、という意味です。对于は多く文頭に用いられます。关于は「~について」、「~に関して」という意味で、对于と同じような意味で、ほぼ置き換えられるます。あえて区別すると、对于は動作・状態の関連する対象を、关于は動作・状態に関連する事物を取り上げて話題にしているということができます。


<手段・方法>を表す  ~を用いて/によって・に基づいて・に照らして・を根拠に(~する)
  yòng   
  ān      
  zhào          píng  
  按照ānzhào    根据gēnjù    依照yīzhào    通过tōngguo
          
 は基本的にはどれも「~によって(~する)」という同じ意味です。ただ、本来の漢字の意味の違いから、例えばは「~を用いることによって」、は「~を手に取ることによって」、は「~を手で押さえることによって」依は「~よりかかることによって」、照は「~を照らしてみることによって」、据は「~を拠りどころにすることによって」、は「~にもたれることによって」というニュアンスの違いはあります。
 按照根据依照は丁寧な言い回しの言葉です。
 通过は「~を通したことによって」、「~を通じて」の意味です。


<原因・理由・目的>を表す  ~のために/~の代わりに/~によって(~する)
   yīn     因为yīnwei  
   wèi     为了wèile
   yóu     由于yóuyú
  
 は書面語。
 も「もとづく」、「ふまえる」の意の動詞、「~なので」という連詞、「~によって」という介詞の用法で、原因・理由を表します。
 は動詞の「~となる」、介詞の「~される」という受身の意と、動詞の「~のためである」、介詞の「~のために」という目的の意のときがあります。ここはもちろん目的です。なお、このは受身のときは2声に、目的のときは4声に発音するので、注意が必要です。
 因为为了と同じ意味・用法です。
 はもともと「もとづく」という意の動詞、「わけ」という意の名詞ですが、いまは動詞や名詞の用法は単語や成語として見られますが、主として「(動作・行為の実行者/事物構成の成分・材料)によって」という原因の意味の介詞として使われています。
 因为由于が介詞として用いるときは、ともに「~のために」、「~によって」と原因・理由を示すはたらきをします。また、ともに動詞性の成分を後ろにとって、「~なので」、「~だから」という因果関係を示す連詞にもなります。しかし、語構成の漢字の意味の違いから、由于因此因而と呼応でき、因为は複文の後半にも用いることができるという違いはあります。また、由于の方が書き言葉で、話し言葉では因为の方がよく使われます。
 は「~に代って」の意味です。


<受身>を表す  ~に(~される)/~によって(~する)           
  bèi     jiào     ràng
 
  「」の「」の2語は使役文でも使われます。受動文ではこの語は介詞と説明されているのに、使役文ではほとんどの書が動詞でとして扱っています。使役文の代表である「使」もまた動詞です。どうしてでしょうか。


<比較>を表す  ~にくらべて(~である) 
  bǐ     gēn      dóng

 ここは「比較文」をご覧ください。



 以上紹介した介詞は全部で52語ほどでした。これで全部だとはいえませんが、ほぼこの程度でしょう。

 
 ところで、中国語の介詞となる語のルーツを考えると、英語の前置詞と大きく違うとこがあります。

 それは動詞性が強いということです。

 介詞というのは紀元前の中国古典、いわゆるわが国でいうところの漢文ですでに「在  于  由  自  从  与  以  将  因  为  以  被」といった文字が介詞として使われています。わが国漢文では「助字」の呼ばれていた文字群の一つです。
   
 この中にはいまも日常的に会話の中で使われているのはですが、多くの語は書面語として、あらたまった書き言葉として使われています。また、因为为了 のように、二字熟語として使われています。
 
 次に古典の中ではもっぱら動詞として使われていた語が、現代会話の中ではしだいにその動詞性が弱まって、介詞として使われている語が以下のように多数あります。
  在    当    离   到    顺   沿    除    朝   往   向   给 把
  拿    对   拿    按    依   照    据    替   被    叫   让   比 

 この語の中には主として介詞として使われがちなもの、主として動詞としてもちいられがちなものとがあり、語の動詞性には強弱があります。

 また、口語的なものとして「」があり、これもまた動詞からの転用です。
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by damao36 | 2009-10-26 23:07 | 中国語文法 | Comments(0)
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