四声と平仄

 私はときどき掛軸や色紙に書かれた漢文・漢詩の解読を頼まれることがあります。解読するためにはまずは書かれている文字を明確にしなければなりません。私は書道を本格的にしたことはないので,草書体などの文字の確定には難儀することがしばしばです。『五體字類』などで調べても,わからないこともあり,平仄で文字を推定することもあります。でも,漢詩を作るという趣味もなかったので,漢詩の作法もわかりません。特に韻律です。韻律が分かると不明の語句も推測できるというので,韻律関係,まずは「四声と平仄」について,商務印書館の《现代汉语词典》と白水社の『中国語辞典』,岩波の『広辞苑』,小学館の『大辞泉』で調べてみました。

 现代汉语词典

   【四声】 1. 古汉语声调有平声、上声、去声、入声四类,叫做四声。
           2. 普通话的声调有阴平(读高平调、符号是)、阳平(读高升调、符号是/)、上声(读先降后升的曲折调、符号
               是V)、去声(读降调、符号是\)四类,叫做四声(轻声在外)
              
              

【入声】  古汉语四声的第四音。普通话没有入声,古人声字分别读成阴平(屋、出)、阳平(国、直)、上声(铁、北)、去声(客、绿)
 有些方言有入声,入声字发音一般比较短促,有时还带辅音韵尾


  中国語辞典』(白水社

【入声】 ① 入声(音節語尾が〔p〕〔t〕〔k〕で終わるもので,現代中国語共通語では既に消滅して存在しないが,方言ではなお存在することが多い)。

② 入声(中古漢語の四声の一つで,現代語の平声・上声・去声に混入した)。

広辞苑』(岩波書店

にっ-しょう【入声】 漢字の四声の一つ。仄声に属する。ptkに終わる音声に特有の短促な音調,入声の字は日本の漢字音(旧仮名づかい)ではフ・チ・ツ・ク・キのいずれかに終わる。「一」(イチ)「十」(ジュウ)」などの類。入声は現代中国の北方方言では多く失われて平声・上声・去声と合わさり,南方方言では保存されている。にゅうせい。

大辞泉』(小学館

にっ-しょう【入声】 漢字の四声(しせい)の一。屋・妖(よく)・覚・質・物・月・曷(かつ)・黠(かつ)・屑(せつ)・薬・陌(はく)・錫(しゃく)・職・緝(しゅう)・合・葉・洽(こう)17の類の字に分ける。これに属する語はすべて仄韻(そくいん)の文字で,発音が短く急である。日本語のチ・ツ・ク・キ・ウ(歴史的かなづかいではフ)で終わるもの。


上記の説明から中古漢語の四声と北方方言を主とする現代漢語の四声は異なるということがわかる。どう異なるのかを以下にまとめる。

中古漢語の平声(陰平と陽平)は現代漢語の第1声と第2声に,上声は第3声に,去声はが第4声になり,中古漢語の入声は現代漢語では平声・上声・去声に混入している。ただし,現代漢語では入声の文字を特定できなくなっているが,漢音・呉音をもとにしている日本語の漢字音では入声の文字を特定することができる。つまり,日本語で漢字音で音節末音がフ・チ・ツ・ク・キのいずれかに終わるのが入声の文字である。


[PR]
# by damao36 | 2017-11-01 10:48 | 中国語 | Comments(0)